国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/25 14:36 UTC 版)
構成
- 第1章 総則
- 第2章 国際平和協力本部
- 第3章 国際平和協力業務等
- 第1節 国際平和協力業務
- 第2節 自衛官の国際連合への派遣
- 第4章 物資協力
- 第5章 雑則
PKO参加五原則
PKO協力法には、PKOに参加するための基本方針が示されており、これを参加5原則と呼ぶ[7]。2012年(平成24年)3月の時点で、5原則は、以下の通りとなっている。
- 紛争当事者の間で停戦合意が成立していること。
- 当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊への我が国の参加に同意していること。
- 当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的立場を厳守すること。
- 上記の基本方針のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、我が国から参加した部隊は、撤収することが出来ること。
- 武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること。
このうち、武器の使用に関する項目において「要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られる」とある事については、自衛隊の参加実績が積み重なるに連れて、実態と乖離していると指摘されるようになり、予てから基準を変更するよう議論されるようになっている。例として、襲撃を受けた民間人を保護するため、自衛官を派遣した場合でも武器を使用することができないなど、現場の実態に即していない状況がある。これを解決するために、現在、他国の部隊が攻撃された場合、これを救助することを可能にする「駆け付け警護」の許可など、使用基準の緩和が検討されている[8][9]。
なお、武器使用基準の緩和については、より広範な任務遂行のため権限拡大を求めて外務省が賛成しているのに対し、当事者の防衛省は、自衛隊員が危険に晒されるとして、緩和には慎重な姿勢である[10]。
1992年(平成4年)のPKO参加五原則は、南スーダンPKOでは成立していないのに、民主党政権時に停戦合意が破られたら撤退が見直されず自衛隊を派遣、現行法もそのままである[11]。
脚注
- ^ PKO協力法コトバンク
- ^ “自衛隊の海外派遣を巡り令和のいま議論すべきこと 政府がホルムズ海峡への自衛隊派遣の検討開始。海外で実績を積んだ自衛隊の今後は?”. 朝日新聞 論座. (2019年10月26日)
- ^ “国連PKO協力20周年記念切手 国内外に広く活動が理解されるようデザイン”. 朝雲新聞. (2012年5月24日)
- ^ ビジネス社発行 井筒高雄著「安保法制の落とし穴」216ページ
- ^ ビジネス社発行 井筒高雄著「安保法制の落とし穴」98ページ
- ^ “自衛官の監視軍への派遣、閣議決定 安保法で初の事例”. 朝日新聞. (2019年4月2日) 2023年5月21日閲覧。
- ^ “国連平和維持隊への参加にあたっての基本方針(いわゆるPKO参加5原則)”. 外務省. 2012年3月12日閲覧。
- ^ “PKO武器使用を緩和=民間人保護へ法改正検討-政府”. 時事通信. (2012年2月29日)
- ^ “自衛隊駆けつけ警護 首相「検討の余地ある」 迷走防衛相任命は「私の責任」”. 産経新聞. (2012年3月14日)
- ^ “PKO法改正、今国会見送り=武器使用緩和で調整難航-政府”. 時事通信. (2012年6月30日)
- ^ ビジネス社発行,井筒高雄著「安保法制の落とし穴」85ページ伊勢崎賢治の文
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