国鉄ED12形電気機関車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/18 11:34 UTC 版)
運用
性能面では不具合はなく、他線に転属することなく国鉄で戦後まで運用されたが、1949年に2両とも西武鉄道に譲渡された。
本形式は電動機をはじめとする搭載電気機器がスイス製機関車の通例に漏れず非常に優秀な性能で高評価を得た。もっとも、その反面精緻な造りで保守にも高精度が要求され、特に駆動装置の歯車は研磨に専用の旋盤が必要となるため、その煩雑さが嫌われたという説がある。
西武鉄道移籍後
当初、形式称号および車号が51形51・52とされたが、後にE51形E51・52に改められた。また自重が重かったことや使い勝手の悪さを改善する目的で、以下の改造工事が施工された。
- 運転台からの視界改善のため、計器類の移設を行った上で運転台側の面取り部分に窓を新設。
- 軸重軽減のため主電動機冷却用送風機を撤去。これに伴う冷却性能不足を補うべく、機械室部の車体腰板に開口してルーバー増設と側窓一部をルーバーに交換。
- 空気圧縮機を小型のものに交換。
- 塗装を青みがかった明るいグレーに変更。さらに後に標準色となったローズレッドに変更。
当初は新宿線へ配置されたが、後に池袋線・国分寺線などで貨物列車牽引に充当された。
セメント輸送以外の貨物列車廃止後は工事列車・新車輸送などの事業用となった。
E51が輪軸の損傷により1976年、E52が老朽化とE31形(2代)の新製により1987年に、それぞれ廃車されている。この内、先に廃車となったE51は小手指車両管理所にて長期間保管後に解体された。
保存車
E52(鉄道省1021 → ED12 2)が横瀬車両基地にて整備の上で静態保存されている。
脚注
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- ^ 台車の首振りに合わせてデッキと車体の位置関係も変化する。
- ^ 連結器交換後の端梁には連結器の左右にバッファ撤去跡の丸穴が残されていることが現存する保存機でも確認できる。
- ^ 鉄道省としての形式はMT11。端子電圧540 V時1時間定格出力187.5 kW/350 rpm、端子電圧750 V時1時間定格出力258.75kW/530rpm。
- ^ 端子電圧は電圧降下を見込んで1割減の値として設定されている。
- ^ ハス歯の傾きは左右で反転している。
- ^ この機構は合成ゴムがない時代の設計であり、ユニバーサルジョイントの保守や心出しが煩雑であったという。
- ^ 2組を直並列切り替えすることで複電圧に対応する。
- ^ 機械的には結合され一体となっているが、電気的には複数で構成され、直並列接続切り替えで複電圧に対応する。
固有名詞の分類
国鉄・JRの車両形式 |
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