古都京都の文化財 拡大登録計画

古都京都の文化財

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/02 01:25 UTC 版)

拡大登録計画

1994年の登録後、マンション建設やオーバーツーリズムなどによる周辺環境や景観の悪化が進行しつつあるため[4][5][6]、京都市を中心に遺産の追加登録計画が立ち上がっている。これと同時に景観保護対策として、都市計画の変更や条例の制定・改正[7][8]無電柱化[9][10]、森林の整備なども行われている[11]

1996年9月4日に発足した市民団体「世界遺産の追加登録をすすめる市民ネットワーク」は、五山送り火南禅寺京都御苑桂離宮および修学院離宮を追加登録を文化庁と京都市に申し入れている[12][13]

また、第22回世界遺産委員会京都会議の開催にあわせて、1998年11月より京都・奈良・鎌倉の各市民団体による「三都市民フォーラム」が追加登録や歴史的景観の保全を訴えシンポジウムを開催している[14][15]

このため、京都市は古都保存法対象地の嵯峨野嵐山一帯、東山一帯、郊外の大原八瀬地区、鞍馬貴船地区の追加登録を目指しているほか、産業遺産としては琵琶湖疎水[16]、2007年9月16日に設立された民間団体「保津川の世界遺産登録をめざす会」は保津峡を推挙している[17][18][19][20]。また、2006年7月より知恩院大徳寺および禅林寺(永観堂)は、追加申請に向けて会合を行なっている[1]

2008年8月30日、当時の門川大作京都市長松浦晃一郎ユネスコ事務局長と会談し、妙心寺や南禅寺、東本願寺、桂離宮などを含める約10か所の追加登録を目標とする方針を明らかにしている[21]

なお、宮内庁が管理している皇室ゆかりの京都御所桂離宮修学院離宮御陵のある月輪陵泉涌寺などは、法整備などで難しい問題もある[注釈 1][22]


注釈

  1. ^ 国有財産法に基づく皇室財産は世界遺産推薦時に求められる法的保護根拠として適用しない。

出典

  1. ^ a b 『読売新聞』2007年2月14日夕刊夕2社面14頁「御所・嵯峨嵐山・知恩院… 京都市、世界遺産追加申請へ 景観保護の切り札」(読売新聞大阪本社)
  2. ^ 世界遺産(文化遺産)一覧文化庁
  3. ^ 『世界遺産年報2017』講談社、2016年、pp.32, 47
  4. ^ 『読売新聞』2004年11月4日朝刊山城面31頁「マンション計画変更を再度拒否 宇治市景観審で業者=京都」(読売新聞大阪本社)
  5. ^ 『朝日新聞』2015年9月26日朝刊京都市内・1地方面24頁「景観審査合格、11月にも着工 下鴨神社マンション計画 /京都府」
  6. ^ 『読売新聞』2019年12月14日朝刊セ京都面30頁「観光公害緩和へ対応 左京 国際会議で京都宣言=京都」(読売新聞大阪本社)
  7. ^ 『読売新聞』2007年3月14日朝刊京市内面33頁「京都市景観条例可決 日本の顔、100年後も 38地点の眺め保全=京都」(読売新聞大阪本社)
  8. ^ 『朝日新聞』2007年11月1日朝刊3総合面3頁「京都の景観、再生なるか ほぼ全市対象、新規制から2カ月」(朝日新聞東京本社)
  9. ^ 『朝日新聞』2010年11月25日朝刊京都市内・1地方面27頁「渡月橋そばの電線隠します 京都市、13年度までに着工 /京都府」
  10. ^ 『読売新聞』2022年1月8日夕刊夕社会面9頁「無電柱化進まぬ 京の財政難 わずか2% パリ・香港は100%」(読売新聞大阪本社)
  11. ^ 『朝日新聞』2007年12月27日京都市内・1地方面26頁「「東山風景林」整備へ推進協 設立総会開く /京都府」
  12. ^ 『毎日新聞』1996年9月4日京都版21頁「世界文化遺産登録求め「市民ネット」発足 4日、京都市で結成会 /京都」
  13. ^ 『朝日新聞』1997年5月17日朝刊京都版「五山の送り火など追加推薦を要望、京都市に市民団体 世界遺産/京都」
  14. ^ 『読売新聞』1998年11月12日朝刊京セ2面22頁「世界遺産京都会議を前に 「三都市民フォーラム」があす13日、シンポ=京都」(読売新聞大阪本社)
  15. ^ 『毎日新聞』1998年12月1日京都版25頁「「第22回世界遺産委員会京都会議」 市民レベルでも声高く /京都」
  16. ^ 『読売新聞』2016年9月26日朝刊セ京都面25頁「産業遺産 一帯で目指す 蹴上発電所 琵琶湖疏水=京都」(読売新聞大阪本社)
  17. ^ 新たな世界遺産登録をはじめとする京都の歴史的・文化的資産の保存・継承・活用 (PDF) 文化庁・国土交通省・京都市
  18. ^ 『日本の世界遺産歩ける地図』山と渓谷社、2007年、218頁。ISBN 978-4635922586 
  19. ^ 京都の世界遺産 追加すべきか、このままでいいか 世界遺産ブランド超えた京都ブランド。宮内庁管理や漏れている寺社に価値はないのか? 論座(朝日新聞) 2019年9月1日
  20. ^ 『読売新聞』2007年9月8日朝刊京市内面29頁「亀岡・保津川を世界遺産に 市中心に「めざす会」16日設立=京都」(読売新聞大阪本社)
  21. ^ 『読売新聞』2008年8月30日夕刊夕2社面12頁「世界遺産10か所追加を 門川・京都市長、ユネスコ事務局長と会談」(読売新聞大阪本社)
  22. ^ 「宮内庁のおかしな理屈」京都御所や桂離宮が文化財指定を受けずに朽ちていく恐れ”. PRESIDENT Online. プレジデント社 (2021年8月13日). 2023年3月21日閲覧。


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