制服 (自衛隊)
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海上自衛隊
制服の変遷
海上警備隊・警備隊時代
海上警備隊では当初、海上保安官の制服を流用していたが、新生海軍に相応しい制服が要望されたことにより検討が行われ、員長(士クラス)以下は女性からも人気があるセーラー服の採用が決定した[18]。幹・曹クラスの制服は旧海軍の詰襟服を推す声が出ていたが、国民から軍国復活を連想されかねないとの理由で除外され、最終的には、冬は各国海軍共通で国際的にも通用する黒ダブルのネクタイスタイル[18]、夏は幹部は灰色の背広型、曹は白色詰襟型が採用された。
昭和29年(1954年)7月
海上自衛隊発足に際し、常装冬服・夏服が警備隊から継承されたものが制定される[6]:p316(夏服は幹部は灰色の背広型、海曹は白色詰襟型、海士は白色セーラー服が継承され、海士の第2種夏服として淡い灰色のセーラー服が支給された)。 初期の制服は旧海軍型の上衣で、セーラーカラーのラインは白線1本で、袖にはカフスは無く袖口はオープンであったが、海上自衛隊になりセーラーカラーは白線2本で袖にも白線2本のカラーが付いた物になった裾の大きく広がったパンタロンスタイルで、前は左右3つボタンの四角方で前に開くタイプで後ろはVカットされており、ウエスト調節用の細紐が付けられていた。後に上衣はそのままでズボンが前ジッパーのスラックスタイプとなる。自衛隊法施行規則では黒色とされているが、実際には濃紺である。これは現在でも同様である。 制帽については、幹部及び警備士(現在の海曹)用、警査(現在の海士)用セーラー帽は現行の常時白天井とは違い、帽体は黒色の旧海軍と同様の物で夏服は白い帽子覆いを付けていた。
昭和33年(1958年)6月
旧幹部夏服が幹部第1種夏服と、旧海曹・海士夏服が第2種夏服となる。幹部第2種夏服(白色詰襟型)・略衣(白色半袖)が制定される[6]:p316。 幹部、海曹、海士セーラー帽が通年白色となる。帽体が白の覆いを付けるのではなく現行タイプの物となる。また、幹部、海曹用の帽章は別々となり、意匠はそのままではあるが大きさ等差別化された。
昭和39年(1964年)8月
旧略衣が防暑衣となる[6]:p316。
昭和45年(1970年)10月
旧防暑衣が第3種夏服となる[6]:p316。隊員間では第3種夏服とは呼ばず、通称は略衣と呼ばれる。また、海士に共通のセーラー服であった航空学生等に詰襟短丈で7つボタンの濃紺の制服(旧海軍の予科飛行練習生と同様の物)が制定される。この制服は少年術科学校生徒、及び昭和50年度から開始の一般海曹候補生にも継承された。 海士制服は昭和40年代の終り頃にセーラーカラーの白線が1本で袖口にカラーの無い旧軍タイプの物が支給されたが一時的でありすぐに以前(現行型も同じ)からの白線2本襟のカフスが付いた上衣に変わった。後にズボンも変更され、前ジッパーのスラックスタイプとなる。 入隊時の夏1種・冬制服の貸与は2着であったが、昭和50年 - 54年位までは上衣については白線1本と白線2本の両タイプの制服が1着ずつ貸与される重複期間があった。昭和55年には2着とも従来の2本線制服の貸与となっていたが、1本線の旧型制服はその後の被服交換で順次2本線の新制服に交換されていった。
実際の夏服の着用について、幹部及び、海曹については第1種は礼式や分隊点検等の行事以外ほとんど着用する事が無いが、海士は夏場の肌寒い日などでは第1種とするなど頻繁に着用されている。幹部は灰色背広型の第1種が廃止されるまでは寒いときなど頻繁に着用していたが、廃止後は海曹とともに寒いのを我慢して第3種(略衣)を着用している。常装で第1種を着用してはいけないという規則は無いが、着用していると目立つ上、微妙に違和感があったりする。平成8年に幹部・海曹に第2種夏服が制定されるまで我慢しなければならない状態が続く。
幹部、海曹の正帽章の意匠が変わり、現行の制帽章になった。
服の手入れでは、セーラーとパンタロンは裏返してアイロンをかけ、スラックスは表からアイロンをかける事とされていた。そのため折目が上衣とパンタロンは谷になり、スラックスは普通の服と同様の山になる。セーラーカラーは均等に3つの山が出来るようにアイロンをかける。現在では裏返してアイロンをかけるかどうかは部隊による。 当時、海上自衛隊は夏服冬服共に海士が私物の制服をオーダーする事が多く、上衣は官品と同様セーラーカラーに2本線の物であるが、セーラーカラーは小さめにし、ズボンは前ボタンのパンタロンの物で裾は大きく開け、冬服は黒い生地で階級章と精勤章は光沢のある赤糸で刺繍した物を好んでオーダーしていた。分隊点検等の行事には着用出来ないが舷門当番等の当直勤務、出入港時の着用等、通常は私物を着用していた。 また、一つの伝統のようなもので、海曹に昇任した場合に後輩に譲るという事が繰り返され長く着用されていた。譲られた者はお返しと昇任祝いとして海曹用の正帽を送るという事もあった。
昭和49年(1974年)
婦人自衛官(現在の呼称は女性自衛官)の制服が制定された[6]:p316。
平成8年(1996年)7月
灰色4つボタン背広型の幹部第1種夏服とワンピース型の女子第2種夏服が廃止され、男子は旧第2種夏服(白色立襟型)が第1種夏服となり、陸上自衛隊・航空自衛隊と同様の第2種ワイシャツにネクタイの第2種夏服が男女共通で制定される[6]:p316。
通常の白ワイシャツ(市販品同等)は第1種ワイシャツに、両胸にフラップ付ポケット、肩にエポレット(乙階級章装着)のある第2種夏服用白ワイシャツが第2種ワイシャツに制定された。冬服はどちらのワイシャツ着用でもよいが、上着を脱いだ時に階級の判別が出来る第2種ワイシャツが好ましいとされる。
平成31年(2019年)4月
幹部及び、海曹用にカーキ色のシャツとパンツの第2種制服が制定(ただし、自衛隊法施行規則の改正は1年前の平成30年3月)される。通称「勤務服」。この新第2種夏服制定に合わせて黒色ベレー帽型の第2種略帽が制定される。幹部・海曹は正帽同様、帽章で差別化されている。 旧第2種夏服は廃止(種別がなくなる)された。種別指定が無くなっただけで、従来と同じく冬服で第2種ワイシャツを着用して上衣を脱いだ格好は変わらない。なお、旧型も新型の支給が完了するまでの間は第2種夏服として着用される併用期間になる。(経過措置)[19]また、旧第2種夏服は冬服着用期間中には「冬略装」として着用したが、現在の第2種夏服の着用期間は各地方隊(東京のみ海幕)が定める警備区内の制服の着用時期の文書にて、基本的に年間を通じて着用できるよう定めている。(例:第2種夏服の常装混用期間を4月1日~3月31日とする。)そのため、従来冬服着用期間中は「常装」ではないことから防衛記念章及び徽章は着用できなかった(実際は多くの隊員が着用していた、これは服装規則違反にあたる。)が、現在は経過措置及び各地方隊等で定める着用時期の関係で通年で「常装」という位置付けとなり、逆に防衛記念章及び徽章を冬服着用期間中も旧第2種夏服に着用できる状況となっている。 なお、この第2種夏服は常装と元来の作業服の中間に位置し、ある程度のフォーマルを追求する一方で、汚れ等の恐れがある一部の作業にも従事することを意図されている。
概要 | 1954年(昭和29年) | 1958年(昭和33年) | 1964年(昭和39年) | 1970年(昭和45年) | 1996年(平成8年) | 2019年(平成31年) |
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ダブルの黒背広 | 冬服 | 冬服 | 冬服 | 冬服 | 冬服 | 冬服 |
白詰襟 | 夏服(海曹) | 第2種夏服 | 第2種夏服 | 第2種夏服 | 第1種夏服 | 第1種夏服 |
第2種ワイシャツに黒ズボン(黒ネクタイ) | (なし) | (なし) | (なし) | (なし) | 第2種夏服 | 第2種制服
(経過措置) |
カーキ色長袖シャツにカーキ色ズボン | (なし) | (なし) | (なし) | (なし) | (なし) | 第2種夏服 |
半袖白開襟シャツに白ズボン | (なし) | 略衣 | 防暑衣 | 第3種夏服 | 第3種夏服 | 第3種夏服 |
シングルの灰色背広 | 夏服(幹部) | 第1種夏服(幹部) | 第1種夏服(幹部) | 第1種夏服(幹部) | (廃止) | (なし) |
帽章
保安庁警備隊創隊から防衛庁海上自衛隊発足以後1970年(昭和45年)までの間は、現在の帽章とは異なるものが用いられていた。この旧型帽章制定の際に参考にされたのは、当時の警備隊が属する保安庁の海上保安官の帽章である。錨の周囲を輪金で囲み、その上位に鴎をつけ、下部を桜葉及び桜蕾で囲んだものであった。ちなみに、海上保安庁のそれはほぼ配置が同じであるが、錨(海上保安庁はコンパス)、輪金(救命浮環)、桜(梅)の違いがあった。
1970年以降の帽章は上部中央にいぶし銀の桜花を配し中央部にアンカー、それを桜葉が囲むデザインで幹部用は金モール製、海曹用は金属製で一回り小振りに出来ている。 准海尉以上の幹部自衛官の帽章は旧海軍の物に酷似している。旧海軍との違いは中央の輪金のデザインが旧海軍は真円であるのに対し、海上自衛隊は楕円である事である。また、海曹の帽章と准海尉以上の幹部自衛官の帽章との最も大きな違いは、中央のアンカーを囲む輪金の有無である点は、昭和17年以降の旧海軍の士官と下士官の違いと同様である。
海士用帽章は創設以来変わりなく、旧海軍と同様の所属艦艇名、部隊名を標したペンネント(黒色八丈織の鉢巻式で、前面に所属部隊を示す文字。更に両端に錨各1個を金色の金版打としたもの)。旧海軍との違いは表示が右書きか左書きかの違いである。 ペンネントの文字は、「海士長以下の自衛官の帽章に表示する文字に関する訓令」(昭和43年海上自衛隊訓令第9号)及び「海士長以下の自衛官の帽章に表示する文字に関する達」(昭和43年海上自衛隊達第27号)により規定されている。
- 転勤で現所属を離れ、新部隊に着任するまでは「海上自衛隊」(例として、1術校を終了して1護隊所属艦への配属の場合、学校で「第1術科学校」を返納して「海上自衛隊」に付け替え、着任部隊で「第1護衛隊」を受領する)や、部隊名「横須賀潜水艦基地隊」や「第51護衛隊」、他艦艇と隊を組んでいない艦艇は「自衛艦○○」(○○にはこんごう等の艦名が入る)などである。艦隊所属の自衛艦であっても全自衛艦が自艦の名前のペンネントを持っている。これは、編成は変更となることが多く、また、何らかの理由で一時的に隊から離れる事もあり、その場合は個艦名のペンネントを使用するからである。通常は国名は入らないが練習艦隊の場合のみ、「日本国練習艦隊」という文字となる。音楽隊に配属された場合は「海上自衛隊」となる。
制服着用の男性の海士は一目で所属が分かる事になる。
現在の制服
常装
全体的に、黒と白を基調とした服制で、各国海軍との共通性が見出される。 陸上自衛隊や航空自衛隊は創設から現在までの間に、複数回の大きな変更をしてきたが、海上自衛隊の男性用制服については殆ど変更をしておらず、1970年(昭和45年)に変更された幹部正帽章と1996年(平成8年)に廃止された第1種夏服以外は、冬服夏服共に1950 - 60年代制式の物が現在でも通用し見た目の違いは殆ど無い。
制帽
制帽には、正帽(女性正帽)・冬略帽・夏略帽(女性自衛官は夏冬の区別なく女性略帽が定められている)・作業帽(海曹長以下 、准海尉以上の幹部自衛官につては主に冬略帽を着用する)などがある。幹部候補生たる海曹長については、例外が多く定められているので、ここでは幹部候補生学校での制式の正帽について記述。 正帽は、天井及びまちが白色で、その他の部分は黒色である(正帽は夏・冬の区別がない)。陸上自衛官と異なり、海上自衛官は礼装においても常装と同様に正帽を着用する。旧海軍では軍帽は紺色で、夏季のみその上に白布の日覆いをかけていたが、海上自衛隊の場合は始めから天井及びまちは白色である。
- 正帽 (准海尉以上の幹部、及び幹部候補生たる海曹長)
- 准海尉以上の幹部自衛官の正帽は、海曹の制帽の形状を基本に、顎紐の外側に縞織金線をつける。帽章は、黒色羅紗の台地に金色金属製の錨の周囲を金色輪金で囲み、その上位に銀色金属製の桜花をつけ、下部を金モール製の桜葉及び銀モール製の桜蕾で囲んだもの[7]。なお、2等海佐以上(陸上自衛官及び航空自衛官は3佐以上)は、鍔表面の前縁に沿って金モール製の桜葉と実の模様(陸上自衛隊及び航空自衛隊は共通の模様で、海上自衛隊のそれとは別の模様が施されている。陸上自衛隊は金モール、航空自衛隊は銀モールで鍔表面の前縁に沿った桜葉の連なりの中に左右1輪ずつの桜花がデザインされている)をつける[7]。
- 海上自衛隊にあっては前身である海上警備隊発足当初から現在と同様に2等海佐以上について鍔表面の前縁にモール製の桜葉模様の装飾が施されていたが、陸上自衛隊と航空自衛隊については58式・70式時代までは曹士 - 1佐まで同様の正帽で将官のみが顎紐が縞織金(銀)線で鍔表面の前縁に沿って、金(銀)モール製の桜葉に桜花の装飾が施されていた。91式制定後に3佐以上について顎紐と鍔のモール装飾を海上自衛隊と同様に施すこととされた。これは陸上自衛隊と航空自衛隊だけの変更で、海上自衛隊は金モールの装飾は2等海佐以上である事を変更しなかった。
- 海上自衛隊は伝統と格式を重んじる傾向にあり、この制服の階級による装飾での差別化にも基本的指揮権の原則があるため陸上自衛隊や航空自衛隊と同様にする事はなかった。独立した戦闘部隊である護衛艦や大型艦の艦長、陸上部隊の隊司令等は2等海佐以上であり、3等海佐までは艇長や部隊長・分隊長でしかなく金モールは烏滸がましい。指揮権の重さが違うので2等海佐以上に制帽の装飾を施しているのである。
- また、桜葉は佐官と将官では枚数が違い、将官用は佐官用の桜葉の内縁側に大小の桜葉が左右7枚ずつ多くなっている(陸上自衛隊と航空自衛隊においては中心部で内縁に向かって左右3枚ずつの葉がY字型に足されている)。
- 幹部候補生学校の学生である 幹部候補生たる海曹長にあっては、准海尉以上の幹部自衛官の正帽に海曹用の帽章を着けた物になる。
- 正帽 (海曹)
- 海曹の正帽は、黒色の革製前庇及び黒色の革製顎紐をつける。顎紐の両端は、帽の両側において、錨を浮き彫りにした金色の耳ボタン各一個で留める。帽の腰周りには、生地と同色の七子織の周章をつける。帽章は黒色羅紗の台地に金色金属製の錨とその上位に銀色金属製の桜花をつけ、下部を金色金属製の桜葉及び銀色金属製の桜蕾で囲んだもの。
- 女性自衛官(WAVE)は海曹正帽と海士正帽は同じものである。
- 正帽(海士)
- 男性海士の正帽は旧海軍同様の水兵帽型。前庇がなく、顎紐は革製ではなく黒色のゴム入布製のものである。海上警備隊から1960年代末頃までは旧海軍と同じ黒色の帽体で夏用に白色の覆いをかぶせるものであった。1960年代末頃以降は幹部・海曹と同じく腰部分以外は白色で年間を通して着用する。私物を購入する場合は、現在の官品型の販売はなく1960年代末頃までと同様の旧海軍型を購入し通年白布の覆いを被せ着用する。また、私物は天張が番線によって張られているので曲げやすく、往々にして天井正面中心部を支点に両サイドを下げて三角形になるように形を変えて着用するのが定番である。
- 女性海士の正帽は女性海曹の正帽に準ずる。
- 略帽
- 略帽は、旧海軍以来の戦闘帽型のもの。舟型であって、共布の前庇及び顎紐をつける。顎紐の両端は、帽の両側において、錨を浮き彫りにした金色の耳ボタン各一個で留める。冬略帽は冬服(黒色毛織物等)、夏略帽は夏服(白色綿等)の生地にそれぞれ同じ。帽章は、略帽の共布の台地に、金色金属製の桜花をつけた金色金属製の錨の周囲を金色輪金で囲んだもの。旧海軍では帽体下縁に沿って下士官は1本、士官は2本の周章(冬用は白、夏用は黒の下縁部を1周するライン)がつけられていたが、海上自衛隊には周章などはなく、無地で全階級で同じものが用いられている。略帽は常装(第1種夏服を除く)等で用いる。陸上自衛隊や航空自衛隊では頻繁に着用されるが海上自衛隊ではあまり着用されない。常装を着用する場合は甲板要員など特殊な部署以外では正帽が用いられることが多く、曹士にあっては装備品として貸与されているが着用の機会は少なく、被服点検の際に確認される程度のことが多い。他方、冬略帽に関しては准海尉以上の幹部自衛官が作業服装をする際などに夏であっても作業帽として着用するので比較的着用の機会はあるものの、近年では部隊識別帽の着用が多くなり、幹部自衛官の作業帽としての着用機会も減っている。
2019年4月に黒色ベレー帽が第2種略帽として追加装備された。
短靴
ズボンの色が黒色の場合(冬服ズボン及び第2種夏服ズボン)に着用する短靴は黒色に限られている。ズボンの色が白色の場合(第1種夏服ズボン)は、幹部及び幹部候補者たる海曹長は白又は黒色のいずれでもよいが、以前は幹部夏服は白色に限定されていたため今でも殆ど白色の短靴を着用している。礼装の場合は白色とされている。その他の海曹及び海士は黒色に限られている。幹部自衛官の短靴は、内羽式のストレートチップである。
冬服
- 海曹、及び准海尉以上の幹部自衛官
- 海曹以上の冬服は、黒色のダブル6つボタンでノーベントの背広型が用いられている。創設当時から基本形状は変わらず大きな変更はない。剣襟で、胸部の左に隠しポケットをつけ、腰部の左右に各1個のふたつき隠しポケットをつける。90年代に入り左胸部隠しポケットが追加装備され米海軍の冬服と同じになったが、現在でもポケットの無いものを着用している者は多い。冬服上衣のほかに、冬服ズボン、正帽又は冬略帽、第1種Yシャツ又は第2種Yシャツ(第2種夏服上衣)に黒色のネクタイ、黒色の短靴、黒色の冬服バンド、海曹は左上腕部に准海尉以上の幹部自衛官は両袖口に甲階級章を着用する。ボタンについては冬服夏服、制帽の耳章、及び男性用女性用共通で、金色金属製でアンカーとアンカーチェーンがデザインされている。よく勘違いされるが、桜に錨のデザインは旧海軍制式の物である。
- 海士
- 男性海士の冬服はセーラー服型である。旧海軍と異なり現在の海上自衛隊では、冬服の袖口にカフスがつき、襟に付されている白線が2条(旧海軍は1条)などの細部においては差異がある。自衛隊法施行規則上は海士のセーラー服は黒色とされている。しかし、官給品については濃紺である。袖口にカフスをつけ、ホック各2個で留める。襟の周囲及びカフスに白色布線各2条をつける。前面V字形襟の裏側に白色の胸あてをつけ、上縁に黒色布線1条をつける(中のシャツが見えているのではなく、別の布を胸当てとして付けている)。胸部の左に1個の隠しポケットをつける。襟飾は黒色とし、地質はネクタイと同じ。
- 女性海士の冬服は女性海曹の冬服に準ずる。なお、女性自衛官については基本スタイルは全ての階級で同じであり、准海尉以上の幹部自衛官と海曹士との違いは帽章、き章、階級章の装着位置、モール等の装飾である。
- 航空学生
- 航空学生並びにかつての海上自衛隊生徒及び一般海曹候補学生の冬制服は、旧海軍飛行予科練習生と同じ濃紺色の短ジャケットに7つボタンが付いた詰襟制服を着用する。正帽は海士の階級にあっても海曹と同じものを着用する。左腕に付される甲階級章のV字形線及び桜花の色は金色(一般の海士は赤色)。航空学生はさらにワッペン型の航空学生徽章をつける[21]。
- 航空学生には22期から男子制服に採用された[22]。女子は一般海曹と同等の制服に航空学生徽章をつけていたが、女性隊員の希望により2016年から詰襟制服採用を目指し試行が始まった[22]。正帽の変更はなく女性自衛官用のままである。
外套
- 海士
- 濃紺色のPコートで、錨マークの入った8つボタン。左腕上部に甲階級章を付ける。
- 海曹
- 黒色のトレンチコートで、幹部用と同じもの。左腕上部に甲階級章をつける。
- 幹部
- 黒色のトレンチコートで、海曹用と同じもの。陸・海・空自衛隊の中で唯一階級章を付けない。
- 民生ファッションとして有名なPコートは元々水兵の制服から派生したファッション。トレンチコートも第1次世界大戦の塹壕(trench)戦でイギリス軍が用いた防雨外套から派生したファッションである。
第1種夏服
3等海曹以上の常装第1種夏服では、第1種夏服上衣(白色立襟型の5つボタン。胸に外貼り式のポケット2つ。腰には外ポケットなし)、第1種夏服ズボン、正帽(略帽は着用しない)、短靴(幹部及び幹部候補者たる海曹長は白又は黒色。その他の海曹は黒色に限る)、丙階級章(幹部は肩章、海曹は左腕)及び第1種夏服バンドを着用する。旧海軍と海上自衛隊とでは、士官・下士官の夏服はともに白の立襟(詰襟)に5つ金ボタンと共通であるが、海上自衛隊では米海軍式で胸ポケットが外貼り式となっている)。 また、冬服の左胸部隠しポケットが足された時期に、夏服ズボンの右ポケット上部に小さいコインポケットが追加された(海士夏服ズボンも同様に追加されている)。 男性海士の第1種夏服はセーラー服型である。
また、海曹、幹部の第1種夏服上衣はその殆どが下着のシャツの上に着用するため、陸上自衛隊、航空自衛隊のように第2種ワイシャツを着用し、その上に夏服上衣を着用する事は無い。しかし、稀に第1種夏服用としてPXで販売されている旧軍のようなスタンドカラーのワイシャツを自費購入し着用することもある。第1種夏服の着用は礼式や分隊点検が主であるが、下着の上に着用する前者は待機室内等以外では上衣を脱ぐ事が出来ないが後者は室外でのその場待機時に上衣を脱ぐ事ができる。
女性海士の第1種夏服は女性海曹の第1種夏服に準ずる。
航空学生及びかつての海上自衛隊生徒は、冬服と同型だが白色となる。
第2種夏服
(2008 - 2019)
幹部のグレー背広型の第1種夏服が廃止され、幹部、海曹の白詰襟夏服が第2種制服から第1種制服に種別変更された事に伴い新たに別の第2種夏服が1996年(平成8年)の服制改正時に陸上自衛隊(91式)・航空自衛隊(84式)の第2種夏服に合わせて改制された[6]:p315-316。この制服はそれまでの海上自衛官の制服とは異なり、上下色違いで准尉以上・海曹・海士全ての階級で形状が同じという特徴を有している。
第2種夏服では、第2種夏服上衣(種別第2種Yシャツ、両肩にエポレットと左右にフラップ付き胸ポケットが付いた白色長袖ワイシャツ型)、第2種夏服ズボン(黒色。生地・形状とも冬服ズボンと同じであるが、冬服ズボンとは別に第2種夏服ズボンという名称で規定されている)、黒色ネクタイ、正帽又は夏略帽(略帽は冬服のものと同じ形状。但し、生地及び色が夏服の生地と同じになっている。なお、帽章は黒色ではなく金色)、短靴及び、冬服バンドを着用する。また、上衣には防衛記念章、ネームプレート、各種徽章等、乙階級章を着用する。
2019年4月以降夏服の種別を無くし、年間を通して着用できる「第2種制服」とされた。
(2019{ - ) 2019年4月にカーキ色上下の新型が第2種夏服に制定された。形状は幹部用作業服に酷似しており、濃紺をカーキ色にしただけのような感がある。この第2種夏服制定と同時に黒色ベレー帽型の第2種略帽が制定された。
第3種夏服
海曹以上の第3種夏服は半袖開襟シャツの白色の上下、男性海士の第3種夏服は半袖のへちま襟の簡易セーラー服型、女性海士の第3種夏服は女性海曹の第3種夏服に準ずる[6]:p316。
3等海曹以上の常装第3種夏服では、第3種夏服上衣(白色半袖開襟シャツ)、第1種夏服ズボン、正帽又は夏略帽、短靴、丙階級章及び第1種夏服バンドを着用する。女性海曹以上・女性海士と、男性海士の場合は上衣の裾はズボン・スカートの中に入れない。 海曹用は肩に陸上自衛隊・航空自衛隊と同様のエポレットが付いているが、陸上自衛隊・航空自衛隊のように乙種階級章は装着せず従来通り丙階級章を左袖につける。幹部用は肩に丙階級章を装着するためエポレットではなく階級章固定用のループが付いている。 裾は海曹用は陸上自衛隊・航空自衛隊と同様のスクエアボトム、幹部用は第2種夏服と同じワイシャツ型のラウンドボトムである。
海曹以上の第3種夏服上衣は71式以降の陸上自衛隊・航空自衛隊と同じ形の4つボタンの半袖開襟シャツであるがそれぞれに生地が違う。 陸上自衛隊は91式で開襟型ではあるが首元最上部にボタンを付け5つボタンとし、航空自衛隊は平成20年の改定で開襟ではない折襟半袖ワイシャツ型5つボタンに変更したが、海上自衛隊は変更なく白色半袖開襟シャツのままである。
-
海将の第3種夏服。脱帽。香田洋二海将。
第1種礼装
冬服又は第1種夏服に白手袋を着用する。
第2種礼装
准海尉及び幹部自衛官は、礼服と呼ばれる冬は黒色、夏は白色の、剣襟のメスジャケット型の礼服が定められている。この場合の階級章は冬用は袖章の甲階級章、夏用は肩章の丙階級章が用いられる[6]:p316。
通常礼装
第1種礼装に同じ。 通常礼装は冬服、及び旧第1種夏服又は旧第2種夏服(現第1種夏服)に白手袋を着用する。しかし、幹部自衛官の制服であった第1種夏服は1996年に廃止となり、第2種夏服が第1種夏服に変更となった。そのため、通常礼装は冬服又は第1種夏服に白手袋を着用することとなり、第1種礼装と全く同じである。
ファンシードリル用
航空学生がファンシードリルを披露する際に着用する制服。
階級章
陸上自衛隊の91式制服制定に伴い、海上自衛隊においても新種別制定と種別変更が行われた。また、細部の仕様変更も行われた、
海上自衛隊の夏服用階級章は冬用と色が異るため、冬を甲階級章、夏を乙階級章としていたが、昭和59年に航空自衛隊が第2種・第3種夏服用の乙階級章を制定し、冬服・第1種夏服用を甲階級章としたのに続き、91年に陸上自衛隊も同様に乙階級章の制定をしたのに合わせて従来からの海上自衛隊の夏服用階級章を丙階級章とし、陸上自衛隊・航空自衛隊と同様の筒形で肩のエポレットに通す形式の階級章を乙階級章、従来の冬服用を甲階級章と制定した。現在丙階級章が存在するのは海上自衛隊だけである。
作業服装
作業服装で着用する制帽は、准海尉以上は略帽、海曹長以下は作業帽を着用するか、または幹部・曹士共に部隊識別帽を着用する。冬季は更に簡易服ジャンパーを羽織ることもある。
- 幹部候補生たる海曹長、及び准海尉以上の幹部自衛官の作業服装
- 幹部自衛官の作業服は濃紺のズボンに濃紺のYシャツ型エポレット付上衣に作業靴、夏服・冬服があり冬服は裏地の付いた長袖のもので、夏服は薄手で長袖と半袖がある。上衣方のエポレットに乙種階級章を装着する。作業帽は略帽。
- 1990年初期まではグレーのズボンにグレーのYシャツ型上衣に黒短靴、作業に応じて安全靴等着用。作業帽は冬用略帽であった。夏冬共用の1種類だけで階級章は左ポケット上に略章を装着する。現行と違い陸上勤務の幹部はほぼ通年常装、艦艇勤務の幹部は停泊中は甲板士官以外殆ど常装であった。そのため幹部が作業服装を着用する事は少なかった。これは旧海軍からの伝統で士官が汚れ仕事をする事は無いという風習からであり、唯一甲板士官が作業服装を多用するのは兵に口うるさく規律や清掃について指導(率先実行)する立場にあるからである。
- 海曹士の作業服装
- 警備隊創隊から昭和50年初めまで旧海軍同様の上下白色で上衣はVネック無ボタンシャツ型で首元を紐で結ぶ作業服であり、昭和40年中頃より上下青色で上衣はジッパー式短丈のジャンパー型に変更された。昭和53年頃までは重複着用可能期間であり白色作業服も若干の着用者がいた(好んで白色作業服を着用する者がいた)。
- また、昭和54年頃に作業服変更のための着用試験が行われており、一部部隊の曹士に試験用作業着が支給され着用された期間があった。当時の作業服は厚手のコットン主体の物であったが、試験用の物は化繊主体で薄手の前ボタンシャツ型であり色は濃紺で、エポレットは無いが現行の物に似ていた。ただ、ほんの短期間で着用している者はいなくなり、その後10年以上短ジャケット型が現行であった(下・中央の写真右端の作業服)。
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左側が幹部の作業服装
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新旧曹士の作業服装・左2名が新型(前ボタンのシャツ型)、右1名が旧型(前ジッパーの短ジャケット型)
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作業服装に簡易服ジャンパーを羽織った姿
作業帽
作業帽は、野球帽型。半球型であって、共布の前庇及び顎紐をつける。顎紐の両端は、帽の両側において縫いつける。天井に6個の鳩目をつけ、通風口とする。後面に共切れのバンドをつけ、帽子用調整具で留める。前面に共切れの楕円型台地に金色の糸で桜花をつけた錨を刺繍し、台地の周囲を金色の糸で縁どりした帽章をつける。この作業帽は、曹士のみが着用し、曹士の作業服類似の色となっている。
幹部自衛官の作業帽については冬略帽を着用する。
部隊識別帽
部隊識別帽は、野球帽型。生地の素材、色、帽章となる部隊識別用のマーク・インシグニア等は各艦艇、部隊、護衛隊、群等で制定し、将 - 士まで同一の物を着用する。2佐以上の者は制帽同様鍔に金モール(俗語でカレーライスと呼ぶ)が刺繍された物を着用する。制服・作業服・体操服全てで着用出来る。ただし、艦艇の舷門当番、陸上部隊の当直室勤務の当直員(マーク当直)、公用使は着用出来ない。その他、出入港時の制服着用での答舷礼、分隊点検、式典礼装時等も着用出来ない。
作業服上衣・ズボン
幹部自衛官及び幹部候補生たる海曹長は、濃紺色。海曹長以下は、淡紺色(青色に近い)又はその類似色が用いられている。階級章は、現在は、胸部に略章を付するのではなく、肩章部分に乙階級章を着用することとなっている。
甲武装
第1種礼装に、白手袋、白弾帯、脚絆を着用する。
乙武装
通常演奏服装
演奏用外とう(コート)も定められている。また、女性隊員は室内演奏時には通常演奏服装乙服、式典時には式典用の帽子(男性隊員の通常演奏服装用と同じもの)を着用する。
演奏略服装
特殊服装
海上自衛隊では海上自衛官服装細則により特殊服装として以下のものを定めている。
服装 | 着用基準 | 構成 |
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航空服装 | 航空機に搭乗することを任務とする者が、航空機に搭乗する場合及び地上において航空機に搭乗するために必要な教育訓練に従事する場合で部隊等の長が必要と認めるときに着用する。 | 航空帽、航空マフラー、航空服、航空服上衣、航空手袋、航空靴、航空眼鏡、略章 |
航空保護服装 | 航空機に搭乗することを任務とする者が、航空機に搭乗し、身体の保護上必要がある場合に着用する。 | 航空帽、耐水服、耐寒服、航空マフラー、航空手袋、耐水手袋、耐水靴、航空眼鏡 |
防寒服装 | 寒冷時の場合に部隊等の長が定めるところにより着用する。 | 防寒帽、防寒服上衣、防寒服ズボン、潜水艦等服(潜水艦等及びミサイル艇の乗員に限り防寒服に代えて潜水艦等服を着用することができる)、防寒マフラー、防寒手袋、防寒眼鏡、防寒靴、防寒覆面、防寒耳覆い、防寒靴下。 |
防暑服装 | 別に定める場合のほか、赤道を中心とする南北緯度各29度以内の地域に所在し、又は行動する部隊等に勤務する者が、酷暑の場合に部隊等の長の定めるところにより着用することができる。 | 正帽、夏略帽、防暑帽、防暑服上衣、防暑ズボン、短靴(白色又は黒色、海曹長以下は黒色)、防暑長靴下(准海尉以上は白色、海曹長以下は黒色)、丙階級章、第1種夏服バンド。 |
防暑作業服装 | 酷暑時の軽作業等に従事する場合に、部隊等の長が定めるところにより着用することができる。 | 作業帽(准海尉以上は冬略帽)、防暑作業服上衣、作業服ズボン又は防暑作業服ズボン、短靴(黒色) 、作業靴又は防暑靴、略章。 |
調理服装 | 調理作業に従事する者が、調理を行う場合に着用する。 | 調理帽、調理服上衣、調理服ズボン、調理用前掛け、調理用長靴。 |
航空整備服装 | 航空機の整備(航空電子、航空武器及び航空救命を含む。以下同じ)を任務とする者が航空機の整備を行う場合に着用する。 | 整備帽、特殊作業服、作業外衣、誘導服、整備靴、略章。 |
艦船等整備服装 | 艦船の甲板作業又はこれに準ずる作業並びに陸上部隊において主として屋外作業に従事する者が、これらの作業を行う場合に着用する。 | 作業帽(准海尉以上は冬略帽)、作業外衣(航空整備服装の作業外衣に同じ) |
機関作業服装 | 艦船の機関部作業又はこれに準ずる作業に従事する者が、これらの作業を行う場合に着用する。 | 作業帽(准海尉以上は冬略帽)、特殊作業服、安全靴、略章。 |
潜水艦作業服装 | 潜水艦及び練習潜水艦(以下「潜水艦等」という)に乗り組む者が、潜水艦等の艦内において部隊等の長の定めるところにより着用する。 | 作業帽(准海尉以上は冬略帽)、潜水艦作業服、潜水艦作業靴、略章。 |
雨天作業服装 | 艦船の甲板作業及び陸上部隊の屋外作業に従事する場合並びに災害派遣又は地震防災派遣に従事する者が、雨天時にこれらの作業を行う場合に着
用する。 |
作業帽(准海尉以上は冬略帽)、特殊雨衣上衣、特殊雨衣ズボン、ゴム長靴。 |
衛生作業服装 | 衛生に関する業務を任務とする者が、その業務を行う場合に着用する。 | 手術帽・看護帽・手術衣、看護衣、外衣。 |
患者服装 | 海上幕僚長の監督を受ける自衛隊地区病院に入院し、又は医務室(艦船内のものを含む)に入室した場合に着用する。 | 患者衣、患者用外衣。 |
消防服装 | 消防業務の任務を命ぜられた者が、消防作業を行う場合及び消防訓練を行う場合で部隊等の長が必要と認めるときに着用する。 | 防火ヘルメツト、防火衣上衣、防火衣ズボン、防火手袋、防火靴。 |
体操服装 | 主に体育としての体操を行う場合に着用する。 | 体操帽、体操服上衣、体操服ズボン、体操靴。 |
陸上戦闘服装 | 出動、教育訓練等において、部隊等の長が必要と認める場合に着用する。 | 鉄帽(鉄帽用中帽)又は陸上戦闘帽若しくは陸上戦闘用白色帽(陸上戦闘用白色面覆)、陸上戦闘鉄帽覆、陸上戦闘服上衣(陸上戦闘外衣)又は陸上戦闘用白色外被、陸上戦闘服ズボン又は陸上戦闘用白色ズボン、陸上戦闘用雨衣、陸上戦闘手袋又は陸上戦闘用白色手袋、半長靴又は陸上戦闘用白色防寒靴、略章。 |
艦艇戦闘服装 | 自衛艦(砕氷艦を除く)に乗り組む者が、戦闘部署につく場合及び監視業務を行う場合で部隊等の長が必要と認めるときに着用する。 | 鉄帽又は作業帽(准海尉以上は冬略帽)、艦艇戦闘面覆、艦艇戦闘服上衣、艦艇戦闘服ズボン、艦艇戦闘服バンド、艦艇戦闘靴、艦艇戦闘手袋、略章。 |
立入検査服装 | 対象船舶(不審船を含む)の立入検査を任務とする者及び船舶検査活動において対象船舶に乗船しての検査、確認等を任務とする者が、その作業を行う場合及び当該作業を行うための教育訓練に従事する場合で部隊等の長が必要と認める場合に着用する。 | 立入検査帽、立入検査服、立入検査手袋、立入検査靴、略章。 |
特別警備服装 | 特別警備隊の隊員が、任務を遂行する場合及び当該任務を遂行するために必要な教育訓練に従事する場合並びに特別警備隊以外の隊員が、特別警備隊の隊員として必要な技能修得のための教育訓練に従事する場合で部隊等の長が必要と認めるときに着用する。 | 顔面覆又は作業帽(准海尉以上は冬略帽)若しくは立入検査帽、特別警備服、特別警備服上衣、特別警備手袋、特別警備靴、特別警備き章、略章。 |
エアクッション艇服装 | エアクッション艇に乗り組むことを任務とする者が、エアクッション艇に乗り組む場合及び輸送艦上又は陸上においてエアクッション艇に乗り組むために必要な教育訓練に従事する場合で部隊等の長が必要と認めるときに着用する。 | 作業帽(准海尉以上は冬略帽)、エアクッション艇服、エアクッション艇服上衣、エアクッション艇手袋(航空手袋に同じ)、安全靴、略章。 |
エアクッション艇誘導服装 | エアクッション艇の発進、収容等の運用作業に従事する者が、これらの作業を行う場合に着用する。 | 作業帽(准海尉以上は冬略帽)、特殊作業服、作業外衣(航空整備服装の作業外衣に同じ)、誘導服(航空整備服装の誘導服に同じ)、安全靴、略章。 |
特殊勤務服装 | 警務、情報、募集及び援護の関係の職務に従事する場合において、部隊等の長が必要と認めるとき着用する。 | 一般用の背広服上下、防寒コート。 |
海上自衛官の職務又は技能を識別するために用いるき章等
海上自衛官のき章、識別章としては次のものがある。
- 幹部候補生き章
- 幹部候補生たる海曹長が着用する。曹長の階級章と併用する陸上自衛隊、航空自衛隊とは違い、海上自衛隊では海曹長の階級章は付けずに1本の金モール細線(6mm)に錨をかぶせた袖章(冬制服)と肩章(夏制服、作業服)の幹部候補生き章を着ける。幹部候補生き章ではあるが階級章に近いものである。
- 水上艦艇き章
- 潜水艦き章
- 潜水員き章
- 特別警備き章
- 航空き章
- 航空管制き章
- 潜水医官き章
- 航空医官き章
- 体力き章
- 体育訓練の種目等に関する訓令(昭和33年防衛庁訓令第82号)第3条の規定により実施される体力測定において、陸上幕僚長、海上幕僚長又は航空幕僚長が定める基準以上の成績を修めた陸上自衛官、海上自衛官及び航空自衛官が着用する。燻し銀色の金属製のもの又は緑色の布製台地に銀糸で縫取りをしたものとし、表面が6面の星を模したものを中心にして、その両側に月桂樹の葉を配したものとする。体力測定の他、水泳能力検定1級も取得した者は中心の星が金色の物を着用する。これは海上自衛官だけである。
- 航空学生き章
教官経験章[23]
先任伍長識別章
先任伍長には、先任伍長識別章が設けられている。楕円形金色で、中央に絡み錨と「MSDF」(海上自衛隊の略称)の文字、上部に桜星が付される。
桜星の数は、海上自衛隊先任伍長、自衛艦隊等先任伍長、護衛隊群等先任伍長又は部隊等先任伍長の種別に応じて、それぞれ、4個から1個まで分かれている。
国籍記章
国籍記章[24](「JAPAN」の文字のものを除く)は、陸空では日章旗が用いられているのに対して、海上自衛隊のみ旭日旗が用いられている。自衛艦旗と同一の形状である。常装用の場合、縦12mm、横18mm、日章直径6mm。作業服装及び特殊服装の上腕部用の場合、縦40mm、横60mm、日章直径20mm。
注釈
- ^ 幹部用も支給され返納義務はあるものの、その立場上制服を着用する機会は曹士と比べ比較的多くなるため私物を購入する者が殆どである。陸上・航空自衛隊については曹士の私物購入は少ないが、海上自衛隊については曹士においても私物購入着用者は多い。
- ^ 「准・幹部用」と「曹士用」に大きく分類され、准・幹部用は肩章部分が取り外し可能で袖側はマジックテープで固定出来るように加工されており、また礼装用階級章を取り付けるための固定具を通せるよう肩から襟にかけて2カ所加工されている。曹士用は袖付近にて縫い付けられている。
- ^ 部隊編制上先任上級曹長・付准尉職を配置しない部隊や学校等においても、指導准尉等の役職にある者はこれを着用し営内班や部隊等を統率するよう規定されている。このため学校内生徒隊の本部や教育隊・小隊編制の部隊や派遣隊といった小規模部隊でも当該き章を着用している者は存在する
- ^ 自衛隊の第2種礼装に相当する服装。米陸空軍では第1種礼装相当の服装にこのタイプの肩章は使用しない。また、陸軍では大佐以下の将校用となっており、将官の夜会服用肩章は陸上自衛隊のものと同様である。
- ^ 平成20年9月1日公布の平成20年防衛省令第6号による改正。
出典
- ^ “自衛隊法(昭和29年法律第165号)第33条:服制”. e-Gov法令検索. デジタル庁 (2019年6月19日). 2020年1月5日閲覧。
- ^ “自衛隊法施行規則(昭和29年6月30日総理府令第40号)”. e-Gov法令検索. デジタル庁 (2019年6月26日). 2020年1月5日閲覧。
- ^ 自衛官服装規則(昭和32年防衛庁訓令4号)防衛省情報検索サービス
- ^ 自衛隊の謎検証委員会編『知られざる自衛隊の謎』、彩図社、2011年10月、133p
- ^ カーネル嶋田「カーネル嶋田の装備開発実験団」『Molibito』 Vol.4、(株) 角川書店、2009年11月 。ISBN 9784048682350
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 「防衛庁・自衛隊50周年特集:服装の変遷」『平成16年版 防衛白書』防衛庁、2004年。 オリジナルの2013年7月27日時点におけるアーカイブ 。2018年4月9日閲覧。
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- ^ a b c “陸自:27年ぶり制服変更 階級を分かりやすく”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2018年3月22日). オリジナルの2018年4月13日時点におけるアーカイブ。 2023年1月5日閲覧。
- ^ 辻元よしふみ [@tujimotoyosi] (2018年3月9日). "本日、防衛省陸上幕僚監部にて、辻元よしふみ、辻元玲子を含む、陸自制服(常装)改正にかかわった有識者および企業代表に、山崎幸二・陸上幕僚長より「陸上幕僚長感謝状」が授与されました。…". 2018年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。X(旧Twitter)より2023年1月5日閲覧。
- ^ “陸自が27年ぶりに制服一新…でも配布を終えるまでに10年も”. 産経ニュース (産経デジタル). (2018年3月22日) 2023年1月5日閲覧。
- ^ “ガードマンの制服物語 vol.12”. 綜合警備保障. 2023年12月31日閲覧。
- ^ 陸上自衛官服装細則 (昭和43年2月28日陸上自衛隊達第 24―8号、最終改正 令和4年3月 10 日陸上自衛隊達第 24-8-31 号) - 陸上幕僚監部(2023年4月30日閲覧)
- ^ 陸上自衛隊 第15旅団 [@jgsdf_15b_pr] (2020年3月31日). "【第15旅団新部隊章の紹介(その1)】". X(旧Twitter)より2020年3月31日閲覧。
- ^ 陸上自衛隊第13旅団【公式】 [@13b_jgsdf] (2020年3月30日). "【部隊章】第13旅団の部隊章が新しくなりました。". X(旧Twitter)より2020年3月31日閲覧。
- ^ a b 陸上自衛官及び陸上自衛隊の自衛官候補生の部隊章に関する達 (昭和31年3月2日 陸上自衛隊達第24―1号、最終改正 令和4年3月10日達第24―1―15号) - 陸上幕僚監部
- ^ 陸上自衛官及び陸上自衛隊の自衛官候補生の部隊章に関する訓令
- ^ a b 『軍事研究』2019年10月号 p.233-234
- ^ “自衛官服装規則附則(平成30年3月26日省訓第15号)(妙)”. 防衛省. 2024年1月3日閲覧。
- ^ “日米両国にとって神聖な島”. 吹浦忠正(ユーラシア21研究所理事長)の新・徒然草. 2018年5月30日閲覧。
- ^ 徽章|階級章等アクセサリー|海自のファッション - 海上自衛隊八戸航空基地
- ^ a b “女性航空学生 7つボタンの制服 着用の試行”. 海上自衛隊 小月教育航空群. 2016年1月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月13日閲覧。
- ^ 海上自衛官服装細則第23条の3
- ^ 海上自衛官服装細則第26条
- ^ 平成20年防衛省令第6号附則第2項。
- ^ 『MAMOR』(扶桑社)各号の「Air Mail」参照。
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