制御弁式鉛蓄電池
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/28 00:12 UTC 版)
吸収ガラスマット (AGM)
AGM電池は、電解液がガラスマットに保持されているという点で液式鉛蓄電池と異なっている。非常に細いガラス繊維を編んでマットとし、セルに十分な量の電解液を保持するのに十分な表面積を確保する。ガラスマットを構成するガラス繊維は酸性電解液を吸収せず、電解液によって影響を受けない。
AGM電池中の電極板はどのような形状でもよい。平らなものもあれば、曲がっていたり、巻かれているものもある。ディープサイクル型と始動型のAGM電池はどちらもバッテリー・カウンシル・インターナショナル(BCI)電池コード仕様にしたがって直方体の容器に組み込まれる。
AGM電池は、幅広い温度領域内で従来型の電池よりも自己放電を起こしにくい[13]。
鉛蓄電池と同様に、AGM電池の寿命を最大化するためには、メーカーの充電規定に従うことが重要である[14]。
ゲル電池
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元々、硫酸にシリカを添加したゲル電池の一種は1930年代初頭に持ち運び可能な真空管ラジオ用低電圧電源(2、4、または6 V)のために生産された[15]。この時までには、ガラス製容器はセルロイド製に置き換えられ、1930年代末にはその他のプラスチック製となっていた。ガラス瓶に入った初期の「湿式」セルは1927年から1931年か1932年には特殊な弁を使って、垂直方向から一方の水平方向に容器を傾けることが可能になった[16]。 ゲル型セルは乱暴の取り扱っても電解液がさらに溢れにくくなっている。
現代的なゲル電池はゲル化電解液を持つVRLA電池である。硫酸をフュームドシリカと混合することによって、ゲル様の動かない塊となる。液式セル鉛蓄電池とは異なり、これらの電池は真っすぐに立てる必要がない。ゲル電池は電解液の蒸発や液式セル電池で一般的な漏出(とそれに続く腐食問題)が少なく、衝撃や振動に対して耐性が高いこと誇っている。
応用
市販されている多くの現代的なオートバイと全地形対応車(ATV)はAGM電池を使用して、旋回中や、振動、あるいは事故の後に酸性電解液が溢れる確率を減らしている。また、取り付け方に自由度がある利点もある。より軽く、より小さなAGM電池は、オートバイの設計上の要請から水平/垂直でない半端な角度で搭載することもできる。液式鉛蓄電池と比較して高い製造経費のため、AGM電池は現在高級車で使用されている。車両はより重くなり、ナビゲーションシステムや横滑り防止装置などより多くの電子装置を装備するようになっており、車両重量を軽くするためや液式鉛蓄電池と比べて優れた電気的信頼性を得るためにAGM電池が採用される。
2007年3月以降のBMW・5シリーズはAGM電池を採用し、回生ブレーキを使った制動エネルギーの回収装置や車が減速中にオルタネータが電池を切り換えるためのコンピュータ制御を併せて、燃費向上を図っている。自動車競技で使われる車両は振動に対して強いAGM電池を使用することがある。
補機バッテリーをトランク下の制限された空間に搭載するハイブリッド電気自動車は、ガスの発生が少ないAGM電池を使用する。
ディープサイクルAGM電池もオフグリッド太陽光発電および風力発電設備でエネルギー貯蔵バンクとして一般的に使われている。
AGM電池は北極の氷監視ステーションといった遠隔センサー用として常に選択される。AGM電池は、寒い環境においても破損したり電解液が壊れたりしない。
VRLA電池は電動車椅子において広範に使用されている。これは、ガスや酸の発生が極めて低く、屋内での使用で液式電池よりもはるかに安全なためである。VRLA電池は停電の際のバックアップ電源として無停電電源装置(UPS)でも使われている。
VRLA電池はグライダーにおける標準電源でもある。これは、様々な飛行高度や比較的大きな大気温度に対して耐久性があるためである。しかしながら、充電管理は様々な温度に適合させなければならない[17]。
VRLA電池は米国の原子力潜水艦で使われている[18]。
AGMおよびゲル型セル電池は海洋レジャーでも使われており、AGMの方がより一般的に使用される。AGMディープサイクルマリン電池は数多くのメーカーから販売されている。
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- 1 制御弁式鉛蓄電池とは
- 2 制御弁式鉛蓄電池の概要
- 3 吸収ガラスマット (AGM)
- 4 脚注
- 5 外部リンク
- 制御弁式鉛蓄電池のページへのリンク