仕込み刀
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/17 13:48 UTC 版)
現存する仕込み刀剣
- 正倉院には「杖刀(じょうとう)」と呼ばれる、杖の外観を模した拵え(外装)に刀身を収める直刀が2口(呉竹鞘御杖刀、漆塗鞘御杖刀)保管されている。
- 「戒杖刀(かいじょうとう)」と号される、上杉謙信が上洛した際に、高野山で舜学坊清胤に教えを受けた際に携えていたと伝えられる仕込み杖が現代に伝わっている(重要美術品認定、上杉神社蔵)。
- この仕込み杖は、備前三郎国宗作の刀身(銘「国宗」)を流木を模して作られた杖様の拵えに収めたもので、全体を黒漆で塗り、柄頭に当たる部分には撞木に似た握りがあり、柄に当たる部分には浅葱色錦地に紫色平紐を平巻にした、杖と刀を両立させた高度な作りの仕込み杖となっている。
この他、仕込み刀は戦前、特に明治初期に多く製作されたため、これらの著名な品の他にも現存しているものは多い。刀剣店にて販売されていることも珍しくはなく、特別な手続きなく購入は可能であるが、前述のように拵えに刀身を組み込んで「仕込み刀」として所持することは違法である。
注釈
- ^ a b 銃砲刀剣類所持等取締法 第三条(所持の禁止)
何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。
三 第四条又は第六条の規定による許可を受けたもの(許可を受けた後変装銃砲刀剣類(つえその他の銃砲又は刀剣類以外の物と誤認させるような方法で変装された銃砲又は刀剣類をいう。以下同じ。)としたものを除く。)を当該許可を受けた者が所持する場合[1]。 - ^ 銃砲刀剣類所持等取締法第二十二条(刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物の携帯の禁止)
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない[1]。 - ^ 銃砲刀剣類所持等取締法第二十二条の四(模造刀剣類の携帯の禁止)
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、模造刀剣類(金属で作られ、かつ、刀剣類に著しく類似する形態を有する物で内閣府令で定めるものをいう。)を携帯してはならない[1]。 - ^ これらは法律上は「古式銃砲」とみなされるが、撃発機構が完全に破損、もしくは失われており「銃砲」とはみなされない状態のものも多い。
- ^ 戦前の日本の銃規制では一般人の合法的な銃器の所持・携帯が現在では想像できないほど容易であり、一般の新聞や雑誌の通信販売の広告で拳銃等が掲載されていた。
出典
- ^ a b c “銃砲刀剣類所持等取締法”. e-Gov. 2019年12月28日閲覧。
- ^ 所荘吉『図解古銃事典』(雄山閣、平成8年)222 - 223ページ参照
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