丸沼 (群馬県)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/04 23:57 UTC 版)
成因
白根火山が流失した安山岩の溶岩によって作られた溶結疑灰でできている[5]。山の谷間を流れていた大滝川が堰止められて作られたものである[6]。
概要
もともと隣の大尻沼と共に一つの湖沼であったが、発電利用のため水位が下がり二つの沼に分かれたものである[1]。1921年9月に上毛電力株式会社が丸沼ダムを設け、水位が上昇し北へ面積を広げかつての円形から南北に広がる長方形型となった[1][3]。例年、12月中旬に結氷し、5月上旬に解氷する[7]。
流出入河川は、入りが3川、出が1川(大滝川)[8][2]。自然湖岸は94.29%で人工湖岸は5.71%である[9]。うち崖地が91.4%、非崖地が2.8%となっている[10]。
また湖底から温泉が噴出しているところがある[11]。
動植物相
沼の周りはブナ、ミズナラ、アスナロ、シラビソ、オオシラビソ、トウヒ、コメツガなどで覆われている[7]。
栄養度が高く、プランクトンや底生動物が多いため、ヒメマス、ニジマス、ワカサギ、コイ、ヘラブナなどが自然増殖をしている[12]。近くの沢にはかつてはヤマメやイワナも多く住み着いていたが減少している。水位の変動が激しいため、自然増殖は難しい[13]。
水生昆虫は、カゲロウ二種もカワゲラ一種が見られるくらいである[7]。植物プランクトンとしてツツサヤツナギ、ホシガタケイソウ、メロシラ、ケラチウム、ミドリムシがおり、動物プランクトンとしてオナガケンミジンコ、ゾウミジンコ、カワリゾウミジンコ、ホロミジンコなどの甲殻類プランクトンと、ハネウデワムシ、フクロウワムシ、ミツウデワムシの一種、スジワムシの一種、コシブトカメノコウワムシ、ツノテマリワムシなどの輪虫類プランクトンが見られ、個数は一リットル当たり10個体程となっている[14]。底生生物は、水深10mから20mくらいのところにイトミミズ、マメシジミ、オオユスリカ類、ナガスネユスリカ類がいる[14]。放流されたものとして、スジエビも生息している。
1926(大正元)年には菅沼、大尻沼とともに農商務省水産講習所の養鱒試験地に制定され、翌1927年にかけれて北海道西別産のの普通鱒の卵、1927年から1928年にかけて稚魚を放流。同1927年にアメリカ産の紅鱒の卵8万粒を輸入孵化をさせた[15]。
水質
pHは表層が6.8、底層が6.0である[14]。
- ^ a b c d e 『日本の湖沼と渓谷 5関東』、p.90
- ^ a b c d e f 『日本の湖沼環境』、p.116
- ^ a b 『群馬の湖沼』、p.77
- ^ 『片品村史』、p.551
- ^ 『群馬県百科事典』1979、p.519
- ^ 『群馬の湖沼』、p.72
- ^ a b c 『群馬の湖沼』、p.74
- ^ 群馬の地名、p.102
- ^ 『日本の湖沼環境』、p.117
- ^ 『日本の湖沼環境Ⅱ』、p.136
- ^ 『片品村史』、p.552
- ^ 『日本の湖沼と渓谷 5関東』、p.50
- ^ 角川地名大辞典、p.881
- ^ a b c 『群馬の湖沼』、p.78
- ^ 『片品村史』、p.345
- ^ 関越交通ホームページ時刻表を参照(2020年7月30日Lastaccess)
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