三党合意 年金改革法案

三党合意

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/20 09:17 UTC 版)

年金改革法案

被用者年金一元化、およびパートタイマーの厚生年金適用拡大の法案である。

  • 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案[8]
  • 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案[8]

社会保障制度改革推進法

三党合意によって社会保障制度改革推進法が成立し、今後の社会保障制度の基本理念が定められた。

第二条 社会保障制度改革は、次に掲げる事項を基本として行われるものとする。

一 自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくこと。
二 社会保障の機能の充実と給付の重点化及び制度の運営の効率化とを同時に行い、税金や社会保険料を納付する者の立場に立って、負担の増大を抑制しつつ、持続可能な制度を実現すること。
三 年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とすること。
四 国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点等から、社会保障給付に要する費用に係る国及び地方公共団体の負担の主要な財源には、消費税及び地方消費税の収入を充てるものとすること。
—  社会保障制度改革推進法

具体的な個別政策については以下と定められた。

  • 年金記録の不備に起因する問題への対処、およびマイナンバー制度の早期導入を行う(第5条2)。
  • 健康の維持増進、疾病の予防及び早期発見等を積極的に促進するとともに、医療従事者、医療施設等の確保及び有効活用等を図ることにより、国民負担の増大を抑制しつつ必要な医療を確保する(第6条1)。
  • 医療保険制度については、財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に関する公平の確保、保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等を図る(第6条2)。
  • 医療の在り方については、個人の尊厳が重んぜられ、患者の意思がより尊重されるよう必要な見直しを行い、特に人生の最終段階(ターミナルケア)を穏やかに過ごすことができる環境を整備する(第6条3)。
  • 介護保険制度は、サービス範囲の適正化等により効率化及び重点化を図るとともに、低所得者をはじめとする国民の保険料に係る負担の増大を抑制しつつ必要な介護サービスを確保する(第7条)。
  • 少子化対策は、単に子ども及び子どもの保護者に対する支援にとどまらず、就労、結婚、出産、育児等の各段階に応じた支援を幅広く行い、子育てに伴う喜びを実感できる社会を実現するため、待機児童に関する問題を解消するための即効性のある施策等の推進に向けて、必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずる(第8条)。

社会保障制度改革国民会議

三党合意により成立した社会保障制度改革推進法を根拠として、野田内閣社会保障制度改革国民会議(しゃかいほしょうせいどかいかくこくみんかいぎ)を設置した。この会議は施行から1年を越えない範囲の2013年8月21日までに会議としての結論を得て、その後会議の設置は解かれる(13条)。課された議題は、今後の公的年金制度(第5条1)、および高齢者医療制度(第7条4)である。

2012年11月27日、委員15人を発表した[9]。会長は清家篤。初回の会合は2012年11月30日に開かれた。2013年8月6日安倍晋三内閣総理大臣に最終報告書を提出[10]

委員は次の通り[11]

報告書では、全世代型の社会保障の方針が以下に示された。

少子高齢化の進行と現役世代の雇用環境が変化する中で、これまでの日本の社会保障の特徴であった現役世代への給付が少なく、給付は高齢世代中心、負担は現役世代中心という構造を見直して、給付・負担の両面で世代間・世代内の公平が確保された制度とすることが求められる。
(略) こうした観点から、若い人々も含め、すべての世代に安心感と納得感の得られる全世代型の社会保障に転換することを目指し、子ども・子育て支援など、若い人々の希望につながる投資を積極的に行うことが必要である。こうした取組を通じて、若い人々の負担感ができる限り高まることのないようにすることが重要である。

社会保障制度改革国民会議 報告書 (2013年)[10]

脚注


注釈

  1. ^ 消費税の税率は消費税法29条に、地方消費税の税率は地方税法72条の83に、それぞれ定められる。
  2. ^ 国立長寿医療研究センター総長。
  3. ^ 読売新聞社会保障部次長。
  4. ^ 自治医科大学学長。
  5. ^ 目白大学客員教授
  6. ^ 神奈川県立保健福祉大学名誉教授

出典



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