ラグビーワールドカップ ラグビーワールドカップの概要

ラグビーワールドカップ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/06 01:12 UTC 版)

ラグビーワールドカップ
前回大会:
ラグビーワールドカップ2023
ウェブ・エリス・カップ
競技 ラグビーユニオン
開始年 1987
主催 ワールドラグビー
参加数 24
前回優勝  南アフリカ共和国(4回目)
最多優勝  南アフリカ共和国(4回)
公式サイト
www.rugbyworldcup.com
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概説

1991年に女子大会が創設されたが、ここでは男子大会についての記述が中心となる。女子大会は「ラグビーワールドカップ (女子)」を参照のこと。

2019年8月21日、ワールドラグビーは、ラグビーワールドカップ女子大会(Women’s Rugby World Cup)について、性別に関する記述「Women's」を取り除くことを発表した[1][2]。これにより、ワールドカップは男子大会・女子大会のいずれも、「ラグビーワールドカップ」という名称となる。

2021年ニュージーランドでの女子大会(実際は2022年に延期開催)[3]は「ラグビーワールドカップ2021」(Rugby World Cup 2021)となり[4]、続いてフランスで開催する男子大会は「ラグビーワールドカップ2023」(Rugby World Cup 2023)となる。

ワールドラグビーは、法人企業「ラグビーワールドカップリミテッド(RWCL)」を作り、ワールドカップの運営管理を行っている[5][6]。オーストラリアで開催される2027年男子大会と2029年女子大会では、ワールドラグビーとオーストラリア協会との合弁企業を作り、運営される予定[7]

沿革

1983年、オーストラリアとニュージーランドの両協会がそれぞれ、国際ラグビーフットボール評議会(International Rugby Football Board、略称IRFB、現・ワールドラグビー)にワールドカップの開催を提案したが、却下された。

両協会はさらに検討し、1985年にIRFBの会合で計画を発表。サッカーFIFAワールドカップとオリンピックに被らないよう、開催年を1987年とした。夏季オリンピックの前年、冬季オリンピックとFIFAワールドカップの翌年に設定し、4年ごとに開催とする当時の案は、現在も男子大会で続いている。

IRFBメンバーの8協会(オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、フランス、イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランド)で投票が行われ、6対2でラグビーワールドカップ開催が決定した。スコットランドとアイルランドは、アマチュアリズムが脅かされるという理由で反対した[8][9]

1987年ニュージーランド協会オーストラリア協会による共催で、第1回となるラグビーワールドカップ1987を開催。予選は無く、IRFB7か国のほか、日本を含む9か国が招待され、16か国で行われた。南アフリカはIRFB加盟でありながら、アパルトヘイト問題のため参加ができなかった[9][10]。この年、招待された9か国(日本イタリアルーマニアカナダアメリカ合衆国アルゼンチンフィジートンガジンバブエ)が加わり、IRFBは加盟17か国となった[11]。以後、IRFBは加盟国を積極的に増やしていった[11]

第2回(ワールドカップ1991)からは、IRFB主催に変更され、予選大会と本大会による形式に変更となった。

第3回までは開催国の国内ラグビーシーズンに合わせて開催した(北半球の場合は10〜11月、南半球の場合は5〜6月)。ワールドカップ1995から南アフリカが参加した[9]

第3回ワールドカップ1995終了の2か月後にIRFBがプロ化宣言(アマチュアリズムの撤廃)を行った[12]。1997年には組織名を国際ラグビー評議会(International Rugby Board、略称IRB)へ変更した[13]

第4回大会以降は、いずれの開催国でも、9月から11月を中心とした日程になっている。

2014年、国際ラグビー評議会(International Rugby Board、略称IRB)は、競技人口やファンの増加と、スポーツ市場でのブランド力を高めるために、組織名称をワールドラグビーWorld Rugby、略称WR)に名称変更した[14][13]

ワールドラグビーのロゴは、「W」の形が楕円の一部となるようにデザインされている[15]。これを基本に、ワールドカップや7人制大会のイベントごとにアレンジを加え、統一性と大会ごとのイメージをアピールしている[16][17][18]

WRの新しいロゴに合わせ、ワールドカップ2019から、大会ロゴデザインを刷新した。ちなみに2014年のIRB時代までは、2019年大会も旧ロゴで表現していた[19]

ワールドカップ2015までの旧大会ロゴは、四角形対角線上の白いラグビーボール状の楕円線で分けられたグリーン (四角形右上)とブルー (同左下)のものを、毎回同じデザインで、年号周辺だけを変えていた[20][21]。また、ワールドカップ2015(イングランド大会)にはサブロゴも作られた[22]

新しい大会ロゴは、ワールドラグビーのロゴに、開催国ごとに独自のデザインが加わる。ワールドカップ2019(日本大会)では富士山にのぼる太陽をモチーフにした[23]ワールドカップ2023(フランス大会)では、青いWに、永遠の絆を意味するメビウスの帯を赤い「∞」の形にして、全体をトリコロールでまとめている[24]

代表資格

代表資格は国籍ではなく、選手が所属しているラグビー協会で規定される(所属協会主義)[25]ワールドラグビーレギュレーション8条により、以下の4条件で定められている。なお、過去に他国での代表戦出場が無いことが前提となる(他国でのジュニア代表出場は不問)。

  • 当該国で出生している、または、
  • 両親、祖父母の1人が当該国で出生している、または、
  • プレーする時点の直前の60ヶ月間(※)継続して当該国を居住地としていた、または、
  • プレーする時点までに、通算10年間、当該国に滞在していた。

(※)2021年12月31日までは、「60ヶ月間」ではなく「36ヶ月間」。

2022年1月1日から、以下の基準を満たす場合に選手が一つの協会(国)から別の協会(国)へ変更できるようになった[26]。これは、フィジーサモアトンガなどの南太平洋の国々出身の選手が、活躍の場や経済力を求めて外国に行ってしまい、出身国のラグビー運営に支障が出ることへの配慮を主とする規約改正である[27][28]

  • 36ヶ月間、ラグビーの国際試合に参加していない。
  • 選手が移動を希望する国で生まれている、または親や祖父母のうち誰かがその国で生まれている。
  • 選手は一度だけ協会を変更することができ、各ケースはワールドラグビーの承認が必要となる。

注釈

  1. ^ アイルランドラグビー協会 (IRFU)はアイルランド共和国発足前に発足し、英国北アイルランドとの合同チームであることから、アイルランド共和国旗ではなくこの旗を用いる。
  2. ^ イングランド、スコットランド、フランス、アイルランドでも試合が行われた。
  3. ^ ウェールズ、スコットランドでも試合が行われた。
  4. ^ ウェールズカーディフミレニアム・スタジアムでも準々決勝2試合などが行われた。
  5. ^ テレビ北海道は当時北見帯広釧路の一部で中継局がなかった他、北見ではケーブルテレビでも視聴できない地域が多数あった
  6. ^ ケーブルテレビや直接受信などを通して、兵庫県北西・南西・鳥取県西部、広島県東部、徳島県一部、愛媛県北東部などで見ることもできた
  7. ^ 当初は「アイルランド×サモア」戦を総合テレビで2019年10月12日に生中継する予定だったが、令和元年東日本台風(台風19号)関連の報道特別番組を放送することになったため、Eテレでの振替放送となった。
  8. ^ 当初は11試合を生中継する予定だったが、2019年10月12日に生中継を予定していた「イングランド×フランス」戦が令和元年東日本台風の影響で中止になったため。

出典

  1. ^ 女子ラグビーW杯の大会名から「女子」外す。ワールドラグビーが平等の問題に率先して主導へ。 - ラグビーリパブリック” (2019年8月21日). 2023年2月6日閲覧。
  2. ^ World Rugby announces gender neutral naming for Rugby World Cup tournaments』(プレスリリース)World Rugby、2019年8月21日https://www.world.rugby/news/4442502019年8月22日閲覧 
  3. ^ 女子ラグビーワールドカップ2021 大会概要 | J SPORTS【公式】”. www.jsports.co.jp. 2023年2月6日閲覧。
  4. ^ world.rugby. “ホーム | ラグビーワールドカップ 2021ニュージーランド” (英語). www.rugbyworldcup.com. 2023年2月6日閲覧。
  5. ^ world.rugby. “ラグビーワールドカップ2019試合会場視察を実施中 | ラグビーワールドカップ”. www.rugbyworldcup.com. 2024年2月5日閲覧。
  6. ^ ASCII. “迫るラグビーワールドカップ2019 日本に何を残すのか”. 週刊アスキー. 2023年2月6日閲覧。
  7. ^ world.rugby. “サー・ロッド・エディントン、ラグビーワールドカップ2027大会と2029大会の独立理事長に就任 | ラグビーワールドカップ”. www.rugbyworldcup.com. 2024年2月5日閲覧。
  8. ^ Rugby World Cup - The Origins”. Official RWC 2011 Site. 2011年9月13日閲覧。
  9. ^ a b c ラグビーワールドカップ開催の歴史”. allblacks.com. 2023年2月5日閲覧。
  10. ^ ラグビーと「アパルトヘイト」 50年前に何があった」『BBCニュース』。2023年2月5日閲覧。
  11. ^ a b [ラグnote]統括組織 1886年発足- 特集:ラグビーワールドカップ 2019 日本大会:読売新聞”. 【ラグビーワールドカップ2019】日本大会のニュース・実況解説:読売新聞 (2019年4月4日). 2023年2月5日閲覧。
  12. ^ worldrugby.org. “Inside the meeting that took rugby professional | ワールドラグビー”. www.world.rugby. 2023年2月5日閲覧。
  13. ^ a b worldrugby.org. “歴史 | World Rugby”. www.world.rugby. 2023年2月5日閲覧。
  14. ^ JRFU. “国際ラグビーボード(IRB)がワールドラグビー(World Rugby)に組織名称変更|日本ラグビーフットボール協会|RUGBY:FOR ALL「ノーサイドの精神」を、日本へ、世界へ。”. www.rugby-japan.jp. 2023年2月5日閲覧。
  15. ^ World Rugby” (英語). Logopedia. 2023年2月5日閲覧。
  16. ^ world.rugby. “ホーム | ラグビーワールドカップ 2021ニュージーランド” (英語). www.rugbyworldcup.com. 2023年2月5日閲覧。
  17. ^ world.rugby. “ホーム|ラグビーワールドカップセブンズ2022” (英語). www.rwcsevens.com. 2023年2月5日閲覧。
  18. ^ worldrugby.org. “ホーム | HSBCワールドラグビー セブンズシリーズ”. www.world.rugby. 2023年2月5日閲覧。
  19. ^ ラグビーワールドカップ2019、日本開催決定! 招致団帰国会見リポート”. JRFU. 2023年2月6日閲覧。
  20. ^ 2007 Rugby World Cup squads”. www.telegraph.co.uk. 2023年2月5日閲覧。
  21. ^ Impoter, Wicid (2011年8月28日). “Rugby World Cup 2011 Game” (英語). YEPS. 2023年2月5日閲覧。
  22. ^ RUGBY: Rugby World Cup 2015 logo infographic” (英語). Graphic News. 2023年2月5日閲覧。
  23. ^ world.rugby. “ラグビーワールドカップ2019日本大会のトーナメントマークを発表 | ラグビーワールドカップ”. www.rugbyworldcup.com. 2024年2月5日閲覧。
  24. ^ rugbybworldcup.com. “Striking new logo and brand identity launched for Rugby World Cup 2023 | Rugby World Cup 2023” (英語). www.rugbyworldcup.com. 2023年2月5日閲覧。
  25. ^ 国籍主義と所属協会主義~スポーツの国家代表について - 日刊イオ”. goo blog. 2023年2月6日閲覧。
  26. ^ worldrugby.org. “ワールドラグビー、プレーヤーの代表資格変更に関する 「生得権」の枠組みを承認 | ワールドラグビー”. www.world.rugby. 2023年2月6日閲覧。
  27. ^ ラグビー代表国が変更可能になる新規定 太平洋諸国の活性化、日本代表への影響は? - スポニチ Sponichi Annex スポーツ”. スポニチ Sponichi Annex. 2023年2月6日閲覧。
  28. ^ 国代表資格変更が可能に。元NZ代表らに太平洋諸国が注目、元豪代表フォラウにはトンガ熱視線 - ラグビーリパブリック” (2021年11月25日). 2023年2月6日閲覧。
  29. ^ 参加国数を20→24に拡大 ラグビーW杯 次回27年大会から PNCは毎夏開催へ(スポーツニッポン)
  30. ^ world.rugby. “ラグビーワールドカップ2019™日本大会についてのご報告 | ラグビーワールドカップ”. www.rugbyworldcup.com. 2024年2月5日閲覧。
  31. ^ 日本放送協会放送文化調査研究所放送情報調査部『NHK年鑑'88』日本放送出版協会、1988年、2-3頁。 
  32. ^ “日テレ、2大会連続W杯放送”. サンケイスポーツ(SANSPO_COM). (2010年10月22日). オリジナルの2010年10月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101025230834/http://www.sanspo.com/rugby/news/101022/rgd1010220515000-n1.htm 2014年6月30日閲覧。 
  33. ^ “ラグビー:W杯の放送に抗議殺到”. 毎日新聞. (2007年9月26日). https://megalodon.jp/2007-1001-0004-04/www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070927k0000m040114000c.html 2014年6月30日閲覧。 ※現在はテキスト部分のみウェブ魚拓に残存
  34. ^ “日テレがラグビーW杯で日本のトライを飛ばして放送、抗議1000件”. J-CASTニュース. (2007年9月27日). オリジナルの2014年6月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140630101028/http://www.j-cast.com/2007/09/27011703.html 2014年6月30日閲覧。 《》
  35. ^ @NHK_PR (2019年10月11日). "【 #RWC2019 関連情報】明日(12日 土曜)に総合テレビで放送の、ラグビーワールドカップ2019 1次リーグ・グループA「アイルランド×サモア」は、台風19号関連のニュースをお伝えするため #Eテレ で放送します。". X(旧Twitter)より2019年10月12日閲覧
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  39. ^ 『ラグビーワールドカップ2023 フランス大会』ニッポン放送 実況生中継決定!”. ニッポン放送 NEWS ONLINE (2023年8月15日). 2023年9月19日閲覧。
  40. ^ “Jスポーツ,ラグビーワールドカップ2011の独占放送権を獲得,ネット配信権なども”. ITpro(日経ニューメディア). (2009年11月16日). オリジナルの2014年6月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140630103046/http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20091116/340615/ 2014年6月30日閲覧。 《》
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  42. ^ 2019年9月20日開幕! ラグビーワールドカップ2019™日本大会 J SPORTSで全48試合を生中継! . J SPORTS(PR TIMES)(2018年6月8日). 2018年6月9日閲覧。
  43. ^ a b c d e f g Matt Slater (2014年12月4日). “Olympics and World Cup are the biggest, but what comes next?”. BBC Sport. https://www.bbc.com/sport/30326825 2019年11月24日閲覧。 
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  45. ^ Digital Divide: Global Household Penetration Rates for Technology”. VRWorld (2021年5月4日). 2015年9月1日閲覧。
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  47. ^ Michae Burgess (2021年5月4日). “Logic debunks outrageous numbers game”. The New Zealand Herald (APN New Zealand). http://www.nzherald.co.nz/sport/news/article.cfm?c_id=4&objectid=10761073 2014年12月2日閲覧。 
  48. ^ Phillip Derriman (2021年5月4日). “Rivals must assess impact of Cup fever”. The Sydney Morning Herald (Fairfax). http://www.smh.com.au/news/sport/rivals-must-assess-impact-of-cup-fever/2006/06/30/1151174394285.html?page=2 2006年7月1日閲覧。 


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