ライトガン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/12 09:49 UTC 版)
ライトガンやそこから派生したライトペンは、マウスの発展やディスプレイ技術の変化により最近ではほとんど使われない。ライトガンは基本的にはブラウン管モニターでないと機能しないのである。
歴史
世界初のライトガンは1930年代、光電効果を用いた真空管が開発されたころに登場した。それがアーケードゲームに使われるまで時間はかからず、1936年に Seeburg Ray-O-Lite というゲームが登場している。このころのライトガンを使ったゲームは、動く標的に光電管が装着されていて、プレイヤーが光のビームを発する銃でそれを狙うものである。ビームが光電管に当たると命中と判定される。ブラウン管を使ったライトガンはこれとは全く逆に作用する。センサは銃に組み込まれていて、ブラウン管の表示制御とあわせ、銃の狙っている先が光ったタイミングを検出する。これは構造的に細くできるためライトペンに分化した。ライトペンは1950年代のリアルタイムシステムを目標として研究されたコンピュータWhirlwindで開発され、それをベースとした「冷戦の実戦」防空システムであるSAGEに実戦投入された。
1966年、セガ(後のセガ・インタラクティブ)初の世界的ヒットとなったアーケードゲーム「ペリスコープ」にも紙に描かれた標的を狙うのにライトガンの原理が使われていた[1]。ペリスコープは初期の「エレメカ」ゲームであり[2]、1回のプレイ料金が25セントとなった初めてのアーケードゲームだった[3]。セガの1969年のゲーム「ミサイル」は電子音と動画をスクリーンに投影する方式を採用し[4]、1972年の「キラーシャーク」では据付型ライトガンでサメを狙うのだが、ターゲットは後方からスクリーンに投影されている[5]。任天堂は1970年に Beam Gun をリリースし、1973年にはレーザークレー射撃システムをリリース。1974年にはアーケードゲーム「ワイルドガンマン」をリリースした[6]。1975年、セガは2人協力プレイ型の「バルーンガン」[7]や「バレットマーク」[8]をリリースした。
ゲームにおけるライトガン
ゲーム機用ライトガンは銃(とくに拳銃)の形態でディスプレイ上の物体を狙うのに使われる。フィードバック機構によって、火薬式の拳銃の発射時の跳ね上がり(反動)を再現したものもあるほか、引き金以外のボタンを備えるものもみられるが、この辺りの事情に関しては、ガンシューティングゲームの項を参照。
ライトガンはアーケードゲームでは一般的だが、家庭用ゲーム機では、やや表示機材(ディスプレイ)を選ぶ。小型のテレビでは使いにくい、プロジェクターや液晶ディスプレイ・プラズマディスプレイではライトガンが使えないという問題もあったが、プレイステーション3用ゲームタイムクライシス4に同梱される「ガンコン3」で、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイに業界初対応した。
コンシューマーゲーム(家庭用ゲーム機)では追加のコントローラを購入する必要があったり、ライトガンが汎用的でなく通常のコントローラの代わりにはならない点など、普及しにくい要素も見られる。ただコンシューマーゲームのオプション機器扱いという部分に関しては、任天堂のWiiにおいて標準コントローラーがトリガーボタンを備えるなど、2006年よりやや状況が変化している。
以下に主なライトガンを挙げる:
- 任天堂ファミリーコンピュータの光線銃シリーズ
- セガ・マスターシステムの Light Phaser
- スーパーファミコンのスーパースコープ。バズーカ風の形状。
- メガドライブの Menacer
- セガサターンのバーチャガン
- コナミ(後のコナミデジタルエンタテインメント)のハイパーブラスター(プレイステーションシリーズ向け)[9]。
- ナムコ(後のバンダイナムコエンターテインメント)のガンコンシリーズ。プレイステーションシリーズ向け。
- ドリームキャストのドリームキャストガン
その他の家庭用ゲーム機にもライトガンは存在した。ライトガンを使用するゲームとして、タイムクライシスシリーズ、バーチャコップシリーズ、ザ・ハウス・オブ・ザ・デッドシリーズ等がある。
Wiiリモコンは、この技術の後継と見ることもできる。Wiiリモコンはブラウン管以外のディスプレイでも問題なく使用でき、標準のコントローラとなっている。通常のコントローラとしても、ライトガン的なコントローラとしても使用可能である。また、Wiiリモコンとヌンチャクを組み合わせ、ライトガンとして使用するアタッチメント『Wiiザッパー』が2007年10月より発売されている。
- ^ Ashcraft, Brian, (2008) Arcade Mania! The Turbo Charged World of Japan's Game Centers, p. 133, Kodansha International
- ^ “Periscope”. Killer List of Videogames. 2013年6月10日閲覧。
- ^ Steven L. Kent (2000), The First Quarter: A 25-Year History of Video Games, p. 83, BWD Press, ISBN 0-9704755-0-0
- ^ “Missle”. Killer List of Videogames. 2013年6月10日閲覧。
- ^ “Killer Shark”. Killer List of Videogames. 2013年6月10日閲覧。
- ^ “Wild Gunman”. Killer List of Videogames. 2013年6月10日閲覧。
- ^ “Balloon Gun”. Killer List of Videogames. 2013年6月10日閲覧。
- ^ “Bullet Mark”. Killer List of Videogames. 2013年6月10日閲覧。
- ^ 『サイレントヒル』では、2Pコントローラとしてこれを接続すると、特別なアイテムを持った状態でゲームを始められる。
- 株式会社QBQ編 『プレイステーションクソゲー番付』マイウェイ出版発行、2018年。ISBN 9784865118346 p60
- ^ “Wiimote”. WiiBrew (2011年4月26日). 2011年6月1日閲覧。
- ^ Sinden Lightgun – The official site for the Sinden Lightgun
- ^ Morgan McGuire & Odest Chadwicke Jenkins (2009), Creating Games: Mechanics, Content, and Technology, A K Peters, Ltd., p. 408, ISBN 1-56881-305-8 2011年4月3日閲覧, "Light guns, such as the NES Zapper or those used in the House of the Dead series, are distinctly different from positional guns used by arcade games such as SEGA's Gunblade NY. ... Light guns differ from positional guns, such as in Gunblade NY (bottom), that are essentially analog joysticks. ... Positional guns are essentially analog sticks mounted in a fixed location with respect to the screen. Light guns, in contrast, have no fixed a priori relationship with a display."
- ^ Yo-Sung Ho & Hyoung Joong Kim (November 13–16, 2005), Advances in Multimedia Information Processing-PCM 2005: 6th Pacific-Rim Conference on Multimedia, Jeju Island, Korea, Springer Science & Business, p. 688, ISBN 3-540-30040-6 2011年4月3日閲覧, "The two routes to conventional gun control are light guns and positional guns. Light guns are the most common for video game systems of any type. They work optically with screen and do not keep track of location on the screen until the gun is fired. When the gun is fired, the screen blanks for a moment, and the optics in the gun register where on the screen the gun is aimed. That information is sent to the computer, which registers the shot. ... Positional guns are mounted stationary on the arcade cabinet with the ability to aim left/right and up/down. They function much like joysticks, which maintain a known location on screen at all times and register the current location when fired."
- ^ “Sea Devil”. Killer List of Videogames. 2013年6月10日閲覧。
- ^ “Attack”. Killer List of Videogames. 2013年6月10日閲覧。
- ^ “Cross Fire”. Killer List of Videogames. 2013年6月10日閲覧。
- ^ “Battle Shark”. Killer List of Videogames. 2013年6月10日閲覧。
固有名詞の分類
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