ユダヤ教 教派

ユダヤ教

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 06:18 UTC 版)

教派

改革派の礼拝

他にヒューマニズム・ユダヤ教 Humanistic Judaism、自由主義ユダヤ教 Liberal Judaism進歩主義ユダヤ教といった教派がある。

信徒分布

イスラエルの宗教別人口推移(1949年-2015年)
      ユダヤ教徒      ムスリム      キリスト教徒      ドゥルーズ派      その他

21世紀初頭において、ユダヤ教徒が多数を占めている国家はイスラエル一国のみであり、2014年においては人口の約75%がユダヤ教徒によって占められている[16]。これはイスラエルがもともと19世紀末以降に盛んになったパレスチナにユダヤ民族の故郷を再建しようとする運動、いわゆるシオニズムの結果として生まれた国家であり、ユダヤ教徒・ユダヤ人の祖国として建設されたことに由来する。このために、1920年代以降パレスチナにはユダヤ教徒が大挙移民として流入するようになり、1948年のイスラエル独立後にこの流れはさらに加速した。イスラエル独立とそれに続く第一次中東戦争によって、イスラエルとアラブ諸国との関係が極度に悪化し、それまでアラブ諸国内においてイスラム教徒と共存していたユダヤ教徒のほとんどがイスラエルへと移民したからである。この移民の波は1948年から1951年までの間に最盛期を迎え[17]、その後も継続した。イスラエル政府は1950年帰還法を制定し、国外のユダヤ教徒がイスラエルへと移民することを認めた。こうしたことからイスラエルにおいてユダヤ教徒は人口のみならず文化的にも経済的にも主流派となっている。しかし継続するユダヤ教徒移民の波にもかかわらず、イスラエルにおけるユダヤ教徒の割合は減少傾向にある。

イスラエルは宗教の自由を認めており、イスラム教徒などユダヤ教以外の宗教も信仰の自由は保障されている[18]が、ユダヤ教のイスラエル国家に対する影響力は強く、政治と宗教の関係に関しては同国内で激しい論争がある[19]。各教派の自立性も高く、超正統派に至ってはイスラエルのユダヤ人に義務として課せられている兵役が免除されているほどだったが、2014年にイスラエルのクネセトで超正統派にも兵役の義務を課す法案が可決され、2017年より超正統派にも兵役が課せられることとなった[20]。イスラエルのユダヤ教徒は多くの教派に分立しており、厳格に戒律を守るものが約20%、ある程度戒律を守っているものが60%、ほとんど戒律を気にしないものが20%となっている[21]。いくつかの教派は政界に進出してある程度の政治的発言力を有している。

それ以外の国家においてユダヤ教徒の割合が2%を超える国家は存在しないが、歴史的な事情からヨーロッパには古くからユダヤ人のコミュニティが存在し、現代においても各国ごとに数万人から数十万人のユダヤ教徒が存在する。新大陸の発見以降、ヨーロッパから移民の押し寄せた南北アメリカ大陸においても事情は同じで、多くの国にユダヤ教徒のコミュニティは存在する。特にユダヤ教徒の数が多いのはアメリカ合衆国で、統計によって数値が異なるもののおそらくイスラエルとほぼ同じかやや多い程度のユダヤ教徒が存在すると推定されている。

歴史

ユダヤ教の成立

ユダヤ教の組織の概略

タナハ(モーセ五書、預言書、諸書)時代

ヤハウェ信仰に改宗した、もと「異邦人」をゲール・ツェデク (gēr tzedeq、正しい改宗改宗者)、イスラエル人、あるいはヤハウェ信徒以外でイスラエルの地に住んだ人々をゲール・トーシャーブ (gēr tōšābh) Ger Toshav(正しい異邦人、寄留者)と呼んだ。

第二神殿時代

中世初期

中世後期

現代

派生した思想・組織

ユダヤ=キリスト教徒

ユダヤ教・キリスト教に共通の信条・教義を認める人々(Judeo-Christian, Judeochristianity)。ユダヤ教からの視点では、キリスト教は行動・行為の実践よりも信仰を重視するものが多く、イエスをメシアとする、原罪贖罪再臨信仰などの三要素ほか、さまざまな点において、ユダヤ教との違いが指摘される(教祖をメシアとするキリスト教的にも異端とされる物を含む)。

ユダヤ=イスラム伝統

イスラムは、キリスト教と違って正しい信仰より正しい行動を重視し、割礼イスラム法司法律法カシュルートハラールなどで共通点と持つ。二つの伝統の間に位置する人々もいる(Judeo-Islamic)。

隠れユダヤ教徒 (クリプト・ユダヤ)

弾圧などによってユダヤ教の信仰を密かに続けてきた人々(Crypto-Judaism)。

ユダヤ仏教徒とユダヤ=ヒンドゥー教徒

7つの戒めとは、タルムードの記載によれば神がノアを通じて全人類に与えたものといわれる七つの戒めのことである。7つの戒めを守ろうもユダヤ教並の神へ帰るであるとされる。

ユダヤ戒律を破らずれば、ユダヤ教と習合することができるとされる。たとえばユダヤ仏教ユダヤ=ヒンドゥー教などがある。


注釈

  1. ^ ラテン文字転記:Yahadut仮名文字転記:ヤハドゥート
  2. ^ 「ユダヤ教をヘブライ聖書と結び付けようとする試みは、ハラハーとは無関係であり … ルター主義的であって、ユダヤ教的ではない。イスラエルは聖典によって生活したこともなければ、そうしようとしたこともなく、そのように考えられたこともなかった …」とイェシャヤフ・レイボヴィッツ Yeshayahu Leibowitz はいう[1]
  3. ^ 例えばイスラエル国においてロシア系移民の改宗手続きをする場合、440時間を費やすので、一日2時間勉強しても最低7ヶ月かかる。
  4. ^ 「民族宗教」といっても、例えば神道のように、特定の地域・場面においての繋がりしかなく、改宗手続き・運動もなく、日本人になる絶対的要素でもないような「宗教」とは全く性質・意味の異なる部分がある。
  5. ^ コングリゲイション Congregation とは集会・会衆・宗派の意味、ユダヤ教では全ユダヤ教徒(イスラエル人)の意味も持つ。キリスト教ではキリスト教全体、カトリックでは聖省、修道会、修族、英国の会衆派教会などの意味。ユダヤ教では、シナゴーグにこの名前が使われることもある。

出典

  1. ^ Judaism, Human Values and the Jewish State, ed. E. Goldman (Cambridge MA, 1992) , p11
  2. ^ 創世記
  3. ^ イザヤ書』56章
  4. ^ 『ユダヤ5000年の知恵』 マーヴィン・トケイヤー ISBN 978-4408395746[要ページ番号]
  5. ^ Niddah 45a:9”. Sefaria. 2019年12月21日閲覧。
  6. ^ a b ニッダー 2007, p. 184.
  7. ^ Sanhedrin 55b:4”. Sefaria. 2019年12月21日閲覧。
  8. ^ ニッダー 2007, p. 185.
  9. ^ ニッダー 2007, pp. 185–186.
  10. ^ 『タルムード ナシームの巻 ケトゥボート篇』三好迪訳、三貴、1994年、33頁。
  11. ^ 『タルムード ネズィキーンの巻 アヴォダー・ザラー篇』宇佐美公史訳、三貴、2006年、157頁。
  12. ^ Avodah Zarah 37a”. Sefaria. 2019年12月17日閲覧。
  13. ^ ニッダー 2007, p. 186.
  14. ^ Sanhedrin 55b:10”. Sefaria. 2022年3月28日閲覧。
  15. ^ ニッダー 2007, pp. 195–196.
  16. ^ イスラエル基礎データ”. 日本国外務省 (2018年7月5日). 2019年3月4日閲覧。
  17. ^ 臼杵陽『イスラエル』岩波書店〈岩波新書〉、2009年4月、96-97頁。
  18. ^ イスラエル外務省 2010, p. 145.
  19. ^ イスラエル外務省 2010, p. 137.
  20. ^ “超正統派ユダヤ教徒も兵役/イスラエル、17年から”. 四国新聞社 SHIKOKU NEWS. (2014年3月12日). http://www.shikoku-np.co.jp/national/international/20140312000659 2019年3月4日閲覧。 
  21. ^ イスラエル外務省 2010, p. 135.






ユダヤ教と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ユダヤ教」の関連用語

ユダヤ教のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ユダヤ教のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのユダヤ教 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS