ミヤイリガイ ミヤイリガイの概要

ミヤイリガイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/31 10:15 UTC 版)

ミヤイリガイ
ミヤイリガイ
Oncomelania hupensis nosophora
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物Mollusca
: 腹足綱 Gastropoda
上目 : 新生腹足上目 Caenogastropoda[1]
: タマキビ型新生腹足類 Littorinimorpha[1]
: イツマデガイ科 Pomatiopsidae[1]
: ミゾヒダニナ属 Oncomelania[2]
亜属 : カタヤマガイ亜属 Katayama[2]
: O. hupensis
亜種 : ミヤイリガイ O. h. nosophora
学名
Oncomelania hupensis nosophora
(Robson, 1915)[3][4]
シノニム[4]

Katayama nosophora Robson, 1915
Katayama nosophora yoshidai
Bartsch, 1936

和名
カタヤマガイ[3]

和名に付けられたカタヤマガイの「カタヤマ」は、日本住血吸虫による感染症の呼称の1つである「片山病」に由来する[3]。もう1つの和名であるミヤイリガイの「ミヤイリ」は、本亜種が日本住血吸虫の中間宿主であることを発見した宮入慶之助に由来する[5]

ミヤイリガイの名は発見者の宮入慶之助に、カタヤマガイの名は日本住血吸虫症の症状を書き記した19世紀半ばの書物『片山記』[6]に由来する。

分布

日本千葉県山梨県固有亜種[3]

模式標本の産地(基準産地・タイプ産地・模式産地)は、福山市神辺町片山[5]。以前は関東地方から九州北部にかけて、局所的に分布していた[3][5]。具体的には、茨城県[7]群馬県および埼玉県東京都利根川水系、千葉県の小櫃川下流域[5](中流域とする文献も見られる)[8]、山梨県の甲府盆地[5]静岡県富士川下流域および浮島沼周辺[9]、広島県の高屋川佐賀県および福岡県筑後川下流域で、これらは日本住血吸虫症の流行地域と一致する[5]

形態

殻長6 - 8ミリメートル[3]。殻径2.8 - 3ミリメートル[3]。螺層が膨らみ、縫合が深い[3][5]。殻の表面は滑らか[3][5]

殻は栗褐色ないし[3]、黄褐色 - 赤褐色で厚く、光沢が有る[7]。巻きは8階[10]

コモチカワツボ外来種)に酷似しているものの、本種の方が大きくて細長く、殻口外唇が肥厚する点で区別できる[7]


  1. ^ a b c d 佐々木猛智 (2010年). “『貝類学』 > 1.6 腹足綱の系統と分類”. 東京大学. 2021年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月21日閲覧。 - 佐々木の著書『貝類学』(東京大学出版会:2010年、ISBN 978-4130601900)より。
  2. ^ a b 兵庫県立人と自然の博物館 1999, p. 10.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 湊宏 著「カタヤマガイ」、環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室 編『レッドデータブック2014 日本の絶滅のおそれのある野生動物 6 貝類』(PDF)株式会社ぎょうせい、2014年9月、66頁。ISBN 978-4324099001オリジナルの2021年5月21日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210521132112/https://ikilog.biodic.go.jp/rdbdata/files/envpdf/%E8%B2%9D%E9%A1%9E_064.pdf2021年5月21日閲覧 
  4. ^ a b MolluscaBase eds. (2021). MolluscaBase. Oncomelania hupensis nosophora (G. C. Robson, 1915). Accessed at: https://www.molluscabase.org/aphia.php?p=taxdetails&id=1446824 on 2021-05-14
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 福田宏 著「ミヤイリガイ」、岡山県野生動植物調査検討会 編『岡山県版レッドデータブック 2020 動物編』(PDF)岡山県環境文化部自然環境課、2020年3月、391頁。 NCID BA6178133Xオリジナルの2021年5月21日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210521124800/https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/656841_5703464_misc.pdf 
  6. ^ 小林照幸、1998年7月20日発行、『死の貝』、文藝春秋 ISBN 4-16-354220-5
  7. ^ a b c d 芳賀拓真、池澤広美「カタヤマガイ(ミヤイリガイ)」『茨城における絶滅の恐れの有る野生生物 茨城県版レッドデータブック 動物編』(2016年改訂版)(編集・発行)茨城県生活環境部環境政策課、2016年3月、281頁。 NCID BB21828016オリジナルの2021年5月21日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210521132629/https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/shizen/tayousei/redbook/documents/ibaraki_rdb2016_4web.pdf#page=2922021年5月21日閲覧 
  8. ^ a b 二瓶直子 2012, p. 253.
  9. ^ a b c d 加藤徹「カタヤマガイ」『まもりたい静岡県の野生生物2019 ―静岡県レッドデータブック― <動物編>』(PDF)企画・編集:静岡県くらし・環境部環境局自然保護課、2019年3月31日、437頁。 NCID BB28510172オリジナルの2021年5月21日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210521130456/http://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/ka-070/wild/documents/2-7_shell01_rdbshiz2019ani.pdf2021年5月21日閲覧 
  10. ^ 種の解説 カタヤマガイ”. 福岡県レッドデータブック. 福岡県 (2001年3月). 2020年12月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月21日閲覧。
  11. ^ 飯島利彦 1965, pp. 50–51.
  12. ^ ミヤイリガイの生態”. 宮入慶之助記念館. 2021年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月21日閲覧。
  13. ^ 飯島利彦 1965, p. 35.
  14. ^ 飯島利彦 1965, pp. 43–47.
  15. ^ 飯島利彦 1965, p. 47.
  16. ^ 飯島利彦 1965, pp. 47–48.
  17. ^ 稲田 龍吉、塩田 広重 監修。榊原 仟、小林 太刀夫 編 『家庭の医学(第4次改定版)』 p.412 時事通信社 1965年発行
  18. ^ 黒住耐二 著「カタヤマガイ」、千葉県レッドデータブック改訂委員会 編『千葉県の保護上重要な野生生物-千葉県レッドデータブック- 動物編』(PDF)(2011年改訂版)千葉県環境生活部自然保護課、2011年3月、434頁。 NCID BB05867979オリジナルの2020年11月14日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20201114130910/http://www.bdcchiba.jp/endangered/rdb-a/rdb-2011re/rdb-201112kai.pdf2021年5月21日閲覧 
  19. ^ 二瓶直子 2018, p. 28.
  20. ^ 2020年2月3日(月)〜常設展示「ミヤイリガイと地方病」”. 森の中の水族館。公式サイト. 山梨県立富士湧水の里水族館 (2020年2月3日). 2021年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月21日閲覧。


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