ミスター・サタン ミスター・サタンの概要

ミスター・サタン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/04 00:37 UTC 版)

ミスター・サタン
Mr. Satan
ドラゴンボールのキャラクター
登場(最初) 其之三百九十三「新しい神様」
ドラゴンボールZ・第173話「デンデの初仕事!!ドラゴンボール復活だ」
作者 鳥山明
声優 郷里大輔(初代)
石塚運昇(二代目)
江原正士(三代目)
プロフィール
別名 マーク(本名)
性別
種類 地球人
親戚 ミゲル(妻)[1]
ビーデル(娘)
パン(孫)
孫悟飯(義理の息子)
孫悟空Jr.(昆孫)
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原作では其之三百九十三「新しい神様」、アニメでは『ドラゴンボールZ』第173話「デンデの初仕事!!ドラゴンボール復活だ」で初登場。

概要

エイジ736生まれで身長188cm、体重94kg。趣味はゴルフ、オークション。好きな食べ物は高級ステーキ。好きな乗り物は高級車(サタンモデル)[2]

作品後期における主要キャラクターの1人。人造人間編の終盤(セルゲーム)から登場し、魔人ブウ編でも全体にわたり活躍した。カーリーヘアーに割れた顎に黒い道着で、アクションスターのような風貌をしている[3]。「ミスター・サタン」の名は格闘家としてのリングネームであり[4]、本名は「マーク」(鳥山によると由来は「悪魔」をもじったものであるとのこと[5])。サタンの住む地域は苗字と名前に分かれていないので、名前はマークのみになる[6]。英語圏で翻訳された『ドラゴンボール』では、サタン(悪魔)という名は不穏当という理由で、"Hercule" (ギリシャ神話ヘラクレス)というファーストネームが使われている。

孫悟空らと比較するとコメディ要素の強いキャラクターで、作品自体としても戦闘シーンが増えて殺伐としがちだった展開の中で、ムードメーカー的なキャラクターになっていった。鳥山明はサタンについて「個人的に最も好きなキャラクター[7]」「個人的に一番描いていて楽しかった。僕は昔から、「威張っているけど、せこい」というキャラクターが好き[8]」と発言している。また、鳥山は好きな5人の戦士として、悟空、ベジータピッコロクリリンと共にサタンの名を挙げており「無口とは正反対のキャラで、こんなせこいヤツではあるけれど、悪いヤツじゃない的なキャラは、描いていて楽しかったから好き」[9]と語っている。本来はセルゲーム開幕前の単なるお笑いキャラクターで終わる予定だったが、担当編集者の武田冬門の「このキャラは面白いですね〜」という一言で鳥山も乗り気になり、その後も続けて登場することになった[10][11]

格闘技の世界チャンピオンであり、孫悟空など常人の域を超えた達人が出場しなくなり、武術界のレベルが大幅に低下した第24回天下一武道会で優勝している。間接的とはいえ、セルや魔人ブウを倒すきっかけを与えたキーパーソンでもあり、事の真実を知らない大多数の地球人からは、セルを直接倒した英雄だと思われている。魔人ブウについては、ドラゴンボールによって地球人の魔人ブウに関する記憶は消されたが、ただ漠然と何かから地球の危機を救ったという認識だけは残っている。

20代前半までに美人歌手ミゲルと結婚、「天使(ミゲル)と悪魔(サタン)が結婚!」と当時の世間を騒がせる[1]。魔人ブウ編開始ごろまでにはその妻は亡くなっている[注 1]が、一人娘のビーデルがいる。家族は2人だけだが、使用人はかなりいる[12]。魔人ブウを倒した後、ビーデルと孫悟飯が大学卒業後に結婚したため、孫一家とは縁戚になった。アニメでは一番弟子のピロシキと二番弟子のカロニー、マネージャーのピーザが登場し、弟子2人はセルゲームにてサタンの前座としてセルに挑んでいる。また、劇場版アニメでは幼馴染みでともに武道家の道を歩んだ大金持ちのジャガー・バッタ男爵が登場している。彼とは昔から仲が悪いうえ、小学6年の夏合宿でオネショしたことを唯一覚えていることから、弱みを握られている。

セルゲーム当時から運転手つきのリムジンを所有しており、鳥山明は「サタンは実は当時からお金持ちで、サタングッズなどを売っていて儲けていたと思う」と語っている[13]。また、鳥山明はキャラクターの中で一番美食家なのはサタンで、「値段で食べる感じ。高級なだけでOK」と評している[14]。一方で魔人ブウ編では料理が上手いという一面も見せている。

作中では明かされていないが若い頃は「サタンの城」と呼ばれる格闘技の道場に通っており、かなりの実力とライバルの対戦相手が食中毒になるなどの強い運の持ち主で、たちまち世界チャンピオンになり、道場の名前から「ミスター・サタン」と呼ばれるようになる。ある日、遠征先の南の都の酒場で師範と一緒にうっかり桃白白の髪型をからかい、師範は殺され自身も重傷を負う。それ以降、正体のわからない相手やメチャメチャ強そうな相手とは絶対に闘わないと固く誓うようになる[12]。また、悟空たちがいない時の天下一武道会で優勝できたのは本人の実力だが、あくまで常人レベルであり、モンスター系の強敵が出場した場合は体調不良を装って欠場していた[12]

人物像

格闘家としての実力
セルゲーム前、瓦割りを行い手刀で瓦を15枚中14枚破壊した。アニメではその後20枚中19枚と記録を更新し、その他岩を頭で破壊したり、大型バス4台を引っ張っていたり、分厚い電話帳を3冊重ねて引きちぎるシーンもある[15]。天下一武道会予選のパンチマシンの最高記録は139点であり、悟空らが参加するまでは歴代最高記録だった。チャンピオンになってからはあまり真面目に修行をしていないらしく、第25回天下一武道会の時の記録は137点だった。アニメでは体格で自身を上回る(洗脳前の)スポポビッチを苦も無く一蹴していたり、複数のマイクを両手で一まとめに握りつぶしたり[注 2]、銃を持った悪党を瞬く間に倒す場面が描かれている。鳥山はサタンの実力について、ボブ・サップほど強くはないかもと述べている[17][注 3]
性格
一人称は「わたし」「ワシ」「オレ」。自分の実力に過剰なまでの自信を持っており、パフォーマンスを欠かさないなど自己顕示欲が強い。相手には強気で見下した姿勢が目立つ。しかし相手の実力が判明すると途端に態度が変わり、身の安全を最優先に考えるようになる。セルゲームの際には、セルや悟空らを「身の程知らずの馬鹿」や「口先だけで実力の欠片もない素人」と称し、亀仙人には「あいつは殺されてもいいかもしれん」と言われ、クリリンには「正直言って、セルを応援した」、ベジータからは「バカの世界チャンピオン」と呆れ気味に評される。そしてセルからは「ホンモノのバカだ」と評される有様だった。悟空たちの超サイヤ人や気功波、舞空術なども簡単なトリックと最初は決め付け、セルに負けた後も途中まで言い続ける。これらの他人を馬鹿にする面は、魔人ブウとの戦い以降は見られなくなる。
普段は目立ちたがり屋のお調子者だが、声援に弱く困っている人を見ると放っておけないため、頭部のみになった人造人間16号の最後の頼みを、アナウンサーに反対されて戸惑いながらも「名前も知らない奴らまで闘っているんだ、チャンピオンが逃げたんじゃ笑い者だ」と引き受けている。その虚勢はファンを裏切れないチャンピオンとしての自負と姿勢である。正義感も持っており、後述の通り卑劣な悪人に対しては激しい怒りを見せる。魔人ブウ編では「魔人ブウはなぜ父のことを知っているのですか?」というビーデルの問いにピッコロは「オレたちが力でなんとかしようとしている時に、ミスター・サタンは動機はともあれ魔人ブウと友になることを選んだ。力はオレたちに敵わんかもしれんが、やはりお前の父は誇り高い世界チャンピオンだ」と評している。
アニメでは特大元気玉を放った悟空が体力の消耗によってブウに押された際、ベジータにまだ体力が回復していない地球人たちにもう一度元気を分けてもらうために説得するよう言われるが、これは夢ではなく現実だと認めたうえで、「地球人を死なすようなことはオレにはできない」と断っている。結果的には、これに激昂したベジータが「死んでしまってもドラゴンボールで生き返らせればいい!」と自ら口にしたことでドラゴンボールの存在を思い出し、デンデに指示、デンデが出現していたポルンガに「悟空の体力を通常に戻す」と願うことで悟空の体力が全快。魔人ブウを倒すきっかけを作った。
セルゲーム後、世界を救ったヒーローとしての名声をフルに利用し、かなりの金儲けをしているようである。天下一武道会では人造人間18号八百長勝ちの代償に2000万ゼニーを支払った他、親戚となってからは、悟空にも修行の費用を当てにされている。またサタンとブウの八百長劇が行われた大会以降、天下一武道会の賞金はサタンの負担になっている。
悟空とベジータの活躍を利用する形で再び英雄としての名声や存在感を得たものの、彼らには心のそこから感謝しておりブウとの戦いから数年後に悟空一行をパーティーに招待するなどしている。また、ことあるごとに「素人」と侮った態度を見せていた悟空に対してもセルゲームや魔人ブウ戦での経験から「悟空さん」と敬称をつけて呼ぶようになった。
家族思いの面もあり、一人娘であるビーデルを溺愛している。ビーデルの交際について「自分よりも強い男じゃないと付き合うな」と言うほどである。悟飯のことは成長して外見が変わったため、セルゲームの時に出会った少年と同じと気付いておらず、「あんな弱そうな奴は駄目だ」と当初は良く思っていなかった[注 4]。孫のパン誕生後はパンも溺愛するようになる。武道会の試合ではパンの圧勝だったにもかかわらず怪我をしていないか心配して、トランクスに呆れられる。孫家との関係も良好で、悟空のことを「さん」付けで呼び丁寧語で接するなど、一目置いている(『GT』では悟飯のことは「くん」付けで呼んでいる)。第28回天下一武道会では、観戦に来た娘夫婦や仲間たちのために特別席を用意している[注 5]
友人思いで、ベジータが無邪気な方のブウにトドメを刺そうとした時はブウを懸命に庇っている。特に身内への情は強く、『GT』でブウが消滅したことで意気消沈して格闘家引退を考えたり、『超』ではビルスが地球を滅ぼそうとした時には真っ先に娘と孫を守ろうと我が身を盾にするなど、普段のイメージを覆す男らしい行動に出ることも。

注釈

  1. ^ 妻が亡くなった後は、チャンピオンであることを利用して色々な女性と遊びまくっていると娘のビーデルから呆れられていた。
  2. ^ ビーデルがスポポビッチにより満身創痍にさせられたことでインタビュアーがサタンに質問した際に、サタンがマイクをまとめてとりあげ、仇をうつと宣言した際にとった行動[16]
  3. ^ ただし原作とは別の歴史のサタンは高い実力を持っていることが多く、『ドラゴンボール ゼノバース2』ではダーブラの手先になった魔人ブウ(善)と戦った際に「強いなおまえ、本当にサタンか?」と言われたり、『スーパードラゴンボールヒーローズ ワールドミッション』では「シャンパから破壊神候補に任命された別の歴史のサタン」が登場している。
  4. ^ 一部のゲームでは悟飯と対戦すると「娘はやらんぞ!」「娘が欲しければ、ワシを倒してからにしろ!」という台詞も用意されている。
  5. ^ ただし、ブルマたちは恥ずかしがって結局別の席に変えてもらっている。
  6. ^ アニメでは18号にあえなく敗北した場合、個人のオフィスビルが倒産したり、ビーデルや大勢のファンたちに嫌われてしまうことを予想し恐れていた。
  7. ^ ためらいながらの発砲後に、生き返った悟空の気弾によってブウの身体が割かれた際には神妙な表情でブウに詫びていた。
  8. ^ アニメでは、ブウ(善)がブウ(純粋)に向かっていき、その隙にベジータを救出している。
  9. ^ 悟空の前にベジータに渡そうとベジータのもとを訪れたが、ブルマの家が世界一の資産家ということもあり断られた。
  10. ^ サタンはビルスの名前が思い出せず、「ビビス」と呼んでいた。
  11. ^ このベビー編では他の多くのキャラクターがベビーに洗脳されたが、サタン、ブウ、ウーブは洗脳されていない。
  12. ^ 悟飯からは父(悟空)が出場すれば優勝は確実だと気づくが、ビーデルはそのことに呆れていた。
  13. ^ ドラゴンボールZ ドッカンバトル』ではサタンミラクルスペシャ(以下略)と短縮されている。
  14. ^ ただしドクター・ゲロと違い、奪うわけではないので自分の気力は回復しない。

出典

  1. ^ a b 鳥山明「DRAGON BALL 龍珠問答 鳥山先生ウラ話SPECIAL」『DRAGON BALL フルカラー 魔人ブウ編』 第6巻、集英社〈ジャンプ・コミックス〉、2014年7月9日、227頁。ISBN 978-4-08-880112-4 
  2. ^ 超EGC 2009, pp. 30, 「第1章 キャラクターコレクション Heroes collection 16 ミスター・サタン」
  3. ^ 大全集7巻 1996, pp. 111, 「第3章 キャラクター事典」
  4. ^ FOREVER 2004, pp. 158, 「capsule column 5 キャラ名の由来を知りたい!」
  5. ^ 超EGC 2009, pp. 91, 「マンガ「DRAGON BALL」の真実〜トリヤマはこう考えていたよスペシャル〜part2」
  6. ^ 「DRAGON BALL 龍珠問答」『DRAGON BALL フルカラー 人造人間・セル編5』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、221頁。
  7. ^ a b 超EGS 2009, pp. 90, 「マンガ「DRAGON BALL」の真実〜トリヤマはこう考えていたよスペシャル〜」
  8. ^ 「鳥山明先生からのメッセージ」『DRAGON BALL 劇場版 DVDBOX DRAGON BOX THE MOVIES特製ブックレットDragonbook』、1頁。
  9. ^ ジャンプ・コミック出版編集部編「特別コラム 鳥山明 わしが お答えしまっせ」『テレビアニメ究極ガイド DRAGON BALL 極限バトルコレクション ラウンド02 セル編〜魔人ブウ編』集英社、2010年8月9日、ISBN 4-08-874841-7、90頁。
  10. ^ 鳥山明○作劇場『改』 其之壱』188頁。
  11. ^ 漫道コバヤシ』#002「映画『ドラゴンボールZ神と神』公開記念 出でよ神龍!!鳥山先生アンケートに答えておくれーーー!!!!!SP」2013年3月24日放送。
  12. ^ a b c 「鳥山明先生 魔人ブウ編(秘)一問一答!」『最強ジャンプ』2014年6月号、集英社、8頁。
  13. ^ 大全集4巻 1995, pp. 129, 「乗り物の章 車〔自動車〕」
  14. ^ 大全集4巻 1995, pp. 39, 「鳥山明が選ぶ究極のベスト 種族のまき」
  15. ^ アニメ『ドラゴンボールZ』第174話
  16. ^ アニメ『ドラゴンボールZ』第218話、『ドラゴンボール改』第106話
  17. ^ FOREVER 2004, pp. 152, 「鳥山先生に聞いちゃいました! DBキャラ編」
  18. ^ PlayStation 2、Wii専用ソフト『ドラゴンボールZ Sparking! NEO
  19. ^ PlayStationソフト『ドラゴンボールZ Ultimate Battle 22
  20. ^ 鳥山明「其之四百五十四 勝者決定!!!」『DRAGON BALL 第38巻』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、1994年8月4日、ISBN 4-08-851497-1、119-121頁。
  21. ^ PlayStation 2ソフト「ドラゴンボールZ」シリーズ
  22. ^ PlayStation 2ソフト『ドラゴンボールZ Sparking!』シリーズ
  23. ^ a b PS4、PS3、Xbox 360、Xbox Oneソフト『ドラゴンボール ゼノバース』
  24. ^ 大全集4巻 1995, pp. 38, 「鳥山明が選ぶ究極のベスト 種族のまき」


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