ミケランジェロ・ブオナローティ 建築作品

ミケランジェロ・ブオナローティ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/26 03:43 UTC 版)

建築作品

ミケランジェロが設計したサン・ピエトロ大聖堂のドーム。

ミケランジェロには別人が始めた計画を引き継いだ建築物も多く、それらの中でも最も有名なのがブラマンテ、ラファエロらの作業を受け継いだローマのサン・ピエトロ大聖堂である。カンピドリオ広場の、建物と空間とで明快に表現された設計も、ミケランジェロがサン・ピエトロ大聖堂と同時期に手がけたものである。カンピドリオ広場は正方形ではなく菱形で構成されており、このことが見かけ上の遠近感を弱める役割を果たしている。フィレンツェでミケランジェロが建築に関わった有名な建物として、サン・ロレンツォ大聖堂英語版の未完に終わったファサード、同じくサン・ロレンツォ大聖堂付属のメディチ家礼拝堂、ラウレンツィアーナ図書館英語版、要塞などがある。ローマでは、サン・ピエトロ大聖堂、ファルネーゼ宮殿や、サン・ジョヴァンニ・ディ・フィオレンティーニ教会英語版サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂スフォルツァ家礼拝堂、ポルタ・ピアサンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会などがある。

ラウレンツィアーナ図書館

メディチ家の私設図書館を欲したローマ教皇クレメンス7世の依頼で、ミケランジェロがフィレンツェのサン・ロレンツォ大聖堂付属ラウレンツィアーナ図書館の設計を開始したのは1523年ごろである。下部に行くにつれて細くなっていく装飾用の付柱や直線と曲線が組合された階段など、新しい要素を設計に取り入れている。その後13年の間、ミケランジェロはラウレンツィアーナ図書館を断続的にしか行わず[26]、図書館が完成、開館したのはミケランジェロが死去した後の1571年になってからだった[27]。現在では、このラウレンツィアーナ図書館はマニエリスム様式の代表的建築物と見なされている[34][35]

メディチ家礼拝堂

サン・ロレンツォ大聖堂でミケランジェロはメディチ家礼拝堂の設計も手がけ、その構成はミケランジェロに一任された。メディチ家礼拝堂は「君主の礼拝堂 (Cappella dei Principi )」と「新聖具室 (Sagrestia Nuova )」で構成され、内部にはメディチ一族に捧げられた記念碑が存在している。ミケランジェロはこの礼拝堂の完成を見ずにフィレンツェを離れており、礼拝堂は最終的にミケランジェロの弟子たちの手によって仕上げられた。メディチ家の墓所としても使用されている新聖具室の入り口には、壁際にロレンツォジュリアーノのメディチ家兄弟の墓所として用意された2つの霊廟がある。霊廟は一日の時間帯を表現した裸体の人物彫刻で飾られており、ロレンツォの側には『夕暮英語版』と『英語版』が、ジュリアーノの側には『英語版』と『英語版』が、それぞれ存在する。さらにロレンツォの霊廟には『聖母子』と、メディチ家の守護聖人である聖コスマスと聖ダミアンの彫刻で飾られており、この『聖母子』はミケランジェロ自身の作品である。ミケランジェロが彫刻と内装計画の両方を担当した仕事のなかでも、このサン・ロレンツォ大聖堂メディチ家礼拝堂の聖具室が、ミケランジェロが持つ彫刻と建築の才能が一体化して表現された好例といえる建物となっている[36]。また、1976年には聖具室の下に、壁にミケランジェロのドローイングがある隠し廊下が発見されている[37][38]




  1. ^ ミケランジェロの父はミケランジェロの誕生日は1474年3月6日と記録している。ただし、この記録は当時フィレンツェで用いられていた年記法によるもので、ローマで採用されていた年記法では1475年となる。
  2. ^ ミケランジェロが学問を学ぶために親元を離れた年齢は文献ごとに相違がある。ド・トルナイは10歳とし、アスカニオ・コンディヴィの伝記を翻訳したセジウィクは7歳としている。
  3. ^ ヘラクレス像を購入したのはストロッツィ家である。1529年に一族のフィリッポ・ストロッツィがこの彫刻をフランス王フランソワ1世に売却した。1594年にはアンリ4世フォンテーヌブローの別宅に持ち込んだ記録があるが、1713年にその別宅が破壊されて以降、行方不明となっている。
  4. ^ ヴァザーリの『画家・彫刻家・建築家列伝』には、このエピソードに関する記述はない。パオロ・ジョヴィオの『ミケランジェロの生涯』には、ミケランジェロがこの彫像を古美術品として売却しようとしたことを示唆する記述がある。
  5. ^ 現在はフィレンツェのバルジェロ美術館が所蔵している。
  6. ^ 『キリスト昇天』はキリストとともに多くの天使などが描かれていた作品で、現在ではキリストを描いた部分はローマのクイリナーレ宮殿に、その他の部分はバチカン美術館サンピエトロ大聖堂聖具室に収蔵されている。
  7. ^ 以前はギルランダイオの工房作といわれており、ミケランジェロの作品ではないかとする説は2度否定されていた。
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  5. ^ a b J. de Tolnay, The Youth of Michelangelo, 11
  6. ^ メルロ, クラウディオ 『ルネサンスの三大芸術家』 坂巻広樹訳、PHPエディターズ・グループ、42頁。ISBN 4569608833
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  47. ^ Opere di Michelangelo





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