プルシリーズ
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デザイン・名称
キャラクターデザインは北爪宏幸。小説・アニメ『機動戦士ガンダムUC』に登場するマリーダ・クルス(プルトゥエルブ)は安彦良和、ゲーム『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』に登場するノン、リン、レイはことぶきつかさ。
エルピー・プルの名付け親は『ΖΖ』総監督の富野由悠季で、本で見つけた「可愛い妖精の一族(エル・ピープル)」にちなむ[1]。脚本担当の遠藤明吾は、すでにエルもルーもいると突っぱねたが、この名前を気に入った富野は結局使うことにした[1]。
概要
ネオ・ジオン軍のクローン技術により、NTパイロットとして人工的に生み出された、少女兵士たちである。第1号であるエルピー・プルら多数の個体は、いずれも『ΖΖ』の時点で最低12体の存在が確認されており[2]、10歳程度の少女の姿をしている。外見は一般的な少女と大差ないが、その肉体は遺伝子工学やバイオテクノロジーなどにより、常人よりも強化されている[要出典]。それらに加え、「刷り込み」[2][3]と呼ばれる意識操作(洗脳)により、指示を下す人間を慕うように仕向けられているほか、モビルスーツ (MS) やモビルアーマー (MA) といった機動兵器による戦闘の実行に適した調整が施されている[要出典]。
後述の誕生の経緯や各々の最期の描写からも、ぴあの書籍『機動戦士ガンダム ニュータイプ伝説ぴあ』では「命令を実行するだけの人形」「軍事利用のニュータイプ能力だけの存在とはいえ、倫理観が問われる」とまで酷評されている[2]が、竹書房の書籍『’80sリアルロボットプラスチックモデル回顧録』では「エルピー・プルのたどる悲劇も、本作(『ΖΖ』)を語る上では欠かせないエピソードとなった」と物語上における役割を重く評されている[4]。
誕生の経緯
一年戦争末期にジオン公国が実用化したサイコミュ搭載のNT対応兵器は、単独の機動兵器としては破格の戦果をもたらした。サイコミュが潜在的に持つ戦術・戦略的な価値は計り知れないものだったが、それを操縦できるNTは絶対数が非常に少なく、パイロットの確保が困難だった。このため、戦後に地球連邦軍はNT能力の低い人間でもNT対応兵器を操縦できるインコムや、人工的にNT能力をパイロットに付与する強化人間などの技術を開発した。これに対し、ネオ・ジオンではNT対応兵器の運用体系の確立に非常に独創的なアプローチをもって臨んでいる。それが、クローン技術によるNTパイロットの複製である。ネオ・ジオンはNT能力が遺伝的な形質に依存する側面があると考え、士官グレミー・トトによる指揮下でNTの素養を持つ人間の遺伝子を組み込み、発生段階から遺伝子レベルでの肉体強化を施したデザイナーベビー、プルシリーズを生み出した。かつてのザビ家主導によるジオン公国は、血統に対してある種のドグマを抱いており、そのことがこのような技術の進展を促したと考えられる[5]。
また、ギレン・ザビの子を自称するグレミーと同じく、ギレンの遺伝子とNTの素養を持った女性の遺伝子を人工授精させて生まれた存在という説がある。プルとプルツーは同じ女性の遺伝子から生まれた双子であり、同じ経緯で誕生したグレミーとは異母兄妹に当たる。他のプルシリーズも、見た目や声が異なる(プルやプルツー以外のプルシリーズの声優は2人を演じた本多知恵子ではなく、松岡ミユキが担当している)ことなどから、異母姉妹と推測されている[6]。
注釈
- ^ 小説版『機動戦士ガンダムUC』では、プルシリーズは高G下においても血流を一定に保つ強化筋肉や、合計12か所の心臓補助器官のほか、情報処理速度を高めた神経系を備えるとされている[7]。
- ^ 物語開始時。ジュドーと初めて会ったU.C.0088年4月29日時点では11歳。
- ^ 綺麗好きかつ風呂好きでもあることについては、「交感神経の働きが活発になり、NT能力を高める効果につながる」との旨が、書籍『ガンダム MS&人物列伝 Special Edition2 ガンダムΖΖ・逆襲のシャア編』にて分析されている[10]。
- ^ アニメ版でも一度だけ、ジュドーが「エルピー」と呼んでいる(第25話)。
- ^ この時の戦いで、プルは劣勢に陥った自分に思念の「声」を送り続けたカミーユのことを、「やさしい人」と評している。
- ^ 書籍『機動戦士ガンダム ニュータイプ伝説ぴあ』では、プルを殺害したことによるトラウマも含め、「心は逃げ出したいのに、肉体は兵士としてふるまうしかない」と記述されている[2]。
- ^ マリーダがリディに対して説得を繰り返したとする資料もある[15]が、劇中ではおもにミネバが説得を繰り返している。
- ^ デザイン担当のことぶきつかさによれば、同ゲームは "UC NEXT 0100" の一環であり、オリジナル部分の物語に関しては宇宙世紀の正史扱いとなるとしている[17]。
- ^ なお、前編に相当する『時獄編』でも条件を満たすとマリーダだけが離脱し、クシャトリヤはそのまま自軍として入手できる。
出典
- ^ a b アニメディアΖΖ2 1987, p. 91.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n NT伝説ぴあ 2021, pp. 50–51.
- ^ 『機動戦士ガンダムΖΖ』小説版より。
- ^ あさのまさひこ、五十嵐浩司『’80sリアルロボットプラスチックモデル回顧録』竹書房、2022年、ISBN 978-4-80-192972-2、p.28。
- ^ 『データコレクション 機動戦士ガンダムΖΖ』より。
- ^ 『ビークラブ』No.15、『アニメディア』別冊「機動戦士ガンダムΖΖ PART2」。
- ^ 小説『機動戦士ガンダムUC 4巻 パラオ攻略戦』、ISBN 978-4047150607、p.238
- ^ 漫画『機動戦士ガンダムΖΖ外伝 ジオンの幻陽』、書籍『データガンダム キャラクター列伝[宇宙世紀編II]』p.131
- ^ 『プルFile』(カンゼン刊、2016年10月27日発売、ISBN 978-4-862-55369-0) p.199
- ^ a b c d レッカ社『ガンダム MS&人物列伝 Special Edition2 ガンダムΖΖ・逆襲のシャア編』PHP研究所、2015年、ISBN 978-4-56-982336-2、p.139
- ^ a b c レッカ社『ガンダム MS&人物列伝 Special Edition2 ガンダムΖΖ・逆襲のシャア編』PHP研究所、2015年、ISBN 978-4-56-982336-2、p.138
- ^ 『ジ・アニメ』1986年8月号。
- ^ 『機動戦士ガンダムヒロインズ』宝島社、1998年、ISBN 978-4-79-661418-4、p.117
- ^ 週刊MSバイブル135 2022, p. 16.
- ^ a b c 週刊MSバイブル135 2022, p. 23.
- ^ 週刊MSバイブル135 2022, p. 4.
- ^ ガンダムエース02 2022, p. 527, 「《ことぶきつかさ》の出来るまで」第54回.
- ^ UC ENGAGE公式キャラ 2022.
- ^ ガンダムエース01 2023, p. 38-39.
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