フィールドワーク 概要

フィールドワーク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/18 14:56 UTC 版)

概要

フィールドワークは、日本語現地調査(実地調査)ということがあるが、上記のような定義にしたがった調査技法を用いる場合は「フィールドワーク」との表記が一般的である。また、フィールドワークを行う調査者のことを「フィールドワーカー」、聞き取りやアンケートの対象者(情報提供者)のことを「インフォーマント」あるいは「話者」という。

フィールドワークは、学問的に客観的な成果を求める活動であるため、自身の見聞を広めるだけのいわゆる旅行や、学問的な手法に拠らずに未開・未踏の土地の実態を明らかにするだけの冒険とは一線を画する。

このように研究者が専門的に行うフィールドワークのほか、「自然の家」などと称される青少年育成機関が児童向けに行っている自然観察行事、海外での異文化体験なども広くフィールドワークと呼ばれることがある。

生物学系では実際の生態を観察できるため、生息する環境での生態や他の生物との関係など実験室の動物実験では再現が難しいデータを取得することができる。一方で実験室のように環境を画一化することが難しいため、データにばらつきが生じたり環境の変化や絶滅により調査自体が不可能となることも多い[1]。現代の生物学では実験室で研究する者とフィールドワークを主体とする者に二分される[1]。特に動物行動学はフィールドワークが重要となる分野である。

地学系では、「巡検」という名で市民対象の行事の一つとして行うことがある。多くは、鉱物採取や化石採取、地層観察などであるが、社会教育の一環として、化石友の会といった同好会や博物館などが主催している。参加者から見れば、趣味レクリエーションの延長上の野外活動として位置づけている。

近年、フィールドワークという研究手法が広く発達・普及し、より包括的にその特性を捉えるのが困難になっているという兆候がみられる。また、「フィールドワーク」という用語が専門的な研究以外にも(やや安易に)用いられるようにもなった。そこで、「フィールドスタディ」(field study、複数形でstudiesとも)という表現も現れるようになった。


  1. ^ a b c d e f g 前野浩太郎 (著) バッタを倒しにアフリカへ 光文社新書 2017年
  2. ^ Malonowski,B., Argonauts of the Western Pacific, London : Routledge and Kegan Paul, 1922.(寺田和夫ほか訳 「西太平洋の遠洋航海者」、泉靖一増田義郎編訳 『マリノフスキー・レヴィ=ストロース』、中央公論社<世界の名著59>、1967年)。
  3. ^ 佐藤郁哉 『暴走族のエスノグラフィー』、新曜社1984年
  4. ^ Evans-Pritchard, The Nuer, Oxford : Clarendon Press, 1940.(向井元子訳 『ヌアー族』、岩波書店、1978年)
  5. ^ Raymond Firth, We, the Tikopia, London : George Allen and Unwin, 1936.
  6. ^ 九学会連合編 『漁民と対馬 - 共同研究』、関書院、1952年。
  7. ^ 中根、1987年、22頁以下。
  8. ^ 佐藤、1992年、123-128頁。
  9. ^ 佐藤、1992年、140-145頁。
  10. ^ その一例として、経済学者中西徹によるフィリピンスラム経済に関する研究(1991年)、を参照。






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