ピックガード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/10/21 17:36 UTC 版)
英語ではスクラッチプレート (scratchplate) とも呼ばれ、フラメンコギターでは「ゴルペ板」「ゴルペアドル」(golpeador) と呼ばれる。 またフィンガーレスト (finger rest) と呼ばれることもある。
実用目的以外に、楽器の修飾のために使用されることもある。またしばしばボディカラーと対照的な色が用いられる(濃色のボディーに白いピックガード、淡色のギターに黒いピックガード等)。合成樹脂の他、アクリル樹脂、ガラス、合板、織物、金属や真珠貝/模造真珠等が使用され、高価なギターではエキゾティック・ウッド、毛皮、皮革、宝石、貴金属、真珠やアワビ真珠といった贅沢な材料も用いられる。
中でも合板はかなり一般的であり、その枚数は「プライ(ply=層)」で表される。しばしば異なる色の板が重ねられ、例えば白3プライなら「白・黒・白」の3枚板であることが多い。また「1プライ」と表記されていれば、それは単板のことである。
ピックガードはサインを書く一般的な場所でもある。サインされたピックガードは取り外して他のギターに取り付けることも容易である。
目次 |
タイプ
様々なデザインや形状があるが、通常はヘッド形状とのマッチングが考慮される。双方とも製造元のロゴや商標が記されることがある。
アコースティック/クラシックギター
激しいピッキングは表板の塗装を簡単に傷つけてしまう。アコースティックギターに取り付けるピックガードは通常2mmほどの薄いプラスティック板で、サウンドホールの真下に接着される。ボディの共鳴や音色、音量を変えてしまうので、素材は厚すぎたり重すぎたりしてはいけない。初心者が行ってはならないが、傷ついたピックガードは専門家によって取り替え可能である。 マーティンの古いギターで、黒いピックガードが反り、縁がボディから剥がれることがよくある。これは通常問題とはされず、楽器の個性となっている。
クラシック・ギターは通常指で弾くので、ピックガードを付けることは希有である。ただし、フラメンコギターは激しくかき鳴らし、ボディを指や爪で叩くのでサウンドホールの上下にピックガードが付けられる。これは「タッププレート (tap plate)」あるいは「ゴルペ板」と呼ばれる。
フェンダー・スタイル
フェンダースタイルのピックガードはストラトキャスターやテレキャスター(その他多くの類似品)のようなソリッド・ボディ・ギターに直付けされる。フェンダーギターはボディトップに穿孔されているので、それを大きなピックガードが覆っている。ピックアップ、ボリューム類、スイッチや配線といった多くの電気部品がピックガードの裏に取り付けられ、この設計は、ピックガードを外せば修理が簡単に出来るようにしている。ギブソンスタイルのギターの修理は面倒で、特にアコースティックボディのギターでは内部パーツにはf字孔を通じてアクセスするしかない。
浮揚型
ギブソン・レスポールのようなカーブド・トップのギターでは、ピックガードは高さ調整可能な金属ブラケットで持ち上げられている。この設計は、ギタリストのプレイポジションにあわせた高さに調整可能にし、ピックガードを指を休ませる場所にすることもできる(ゆえに "finger rest" と呼ばれる)。通常、電気部品はこのタイプのピックガードには取り付けられない。
素材
カスタムピックガードが様々な素材で作られたのと同時に、大量生産メーカーは色々な合成樹脂を使用している。一般的な素材を以下に挙げる。
- セルロイド - ヴィンテージギターでは一般的で、色やデザインも様々である。しかし今日、いくつかの問題が出ている。
- 非常に燃えやすい。楽器の近くで煙草を吸うミュージシャンは、火の不始末によりすべてを燃やしてしまうことがある。
- 溶剤ベースの合成樹脂なので経年収縮の傾向があり、縁が反ってくる。これはボディ材にストレスをあたえ、ひびが生じることがある。これは古いマーティンギターでは顕著である。エレクトリックギターでは、古いピックガード収縮ストレスによりネジの周辺にヒビ割れを生じることがある。
- 1 ピックガードとは
- 2 ピックガードの概要
- 3 カスタム・デザイン
- ピックガードのページへのリンク