トーラス結び目 トーラス結び目の概要

トーラス結び目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 23:02 UTC 版)

(3,7)型トーラス結び目の立体的な図。

p , q)型トーラス結び目

赤色の線がメリディアン、桃色の線がロンジチュード
(3,8)型トーラス結び目の射影図

p , q互いに素または片方が0でもう片方が±1の整数としたとき、トーラス結び目の標準形として(p , q)型のトーラス結び目というものが定義できる。

3次元ユークリッド空間 R3 または3次元球面 S3 内の自明なトーラス(中心曲線が自明な結び目となっているトーラス)を考え、メリディアンとロンジチュードに向きを与えておく(中心曲線・メリディアン・ロンジチュードの定義はトーラス#ドーナツ型を参照)。

このとき、トーラス上のある1点から出発して、トーラス上をメリディアンの方向に p 回、ロンジチュード方向に q 回だけまわって元に点に戻ってくるような閉曲線を(p , q)型のトーラス結び目という[1]。ただし、p , q が負のときは、最初に向きをつけたメリディアン・ロンジチュードとは逆向きにまわることにする。もし向きをつけてトーラス結び目を考える場合は、このとき点を移動させた方向に沿って向きをつけることにする。

(p , q)型のトーラス結び目は、そのトーラスのメリディアンと |q| 個の交点を持ち、ロンジチュードと|p|個の交点を持つことになる。また、特に q = 2であるようなトーラス結び目(絡み目)は、初等トーラス結び目(絡み目)という[2]

(p , q)型のトーラス結び目・絡み目には他にも以下のような定義の方法がある。 p , q が互いに素でない場合は、それらの最大公約数 k と、互いに素な整数 p′ , q′ を使って、p = k p′ , q = k q′ と表せるので、始点を k 個取ってそれぞれからメリディアンの方向に p′ 回、ロンジチュード方向に q′ 回だけまわって元の点に戻ってくるような閉曲線を交わらないようにかけば、それらはトーラス上での k 成分の絡み目となる。これを(p , q)型のトーラス絡み目といい、各成分は(p′ , q′)型のトーラス結び目となる。

ねじった円柱による定義

円柱を用意し、底面の円周q 等分するような q 個の点をとる。それぞれの点から側面に沿って垂直に上へ線分を引き、上面の円周とぶつかったところにも点をとる(合計で2q 個の点があることになる)。ここで、この円柱に対し、底面と上面の中心同士を結ぶ線分を軸として 2πp/qrad)だけのねじれを与える。ねじれを与えたことにより、さきほど底面の円周から上面の円周へ垂直に引いた線分は、円柱の側面を 2πp/q (rad)だけ回転しながら底面の円周と上面の円周を結んでいることになる。この状態で円柱を曲げて底面と上面を q 個ずつの点同士が重なるように貼りあわせて同一視すると、円柱はトーラスになる(ただしこのときトーラスの中心曲線が自明な結び目になるようにする)。さきほど引いた線分は、底面と上面を貼り合せたことによって端点同士が繋がり、トーラス上で絡み目となっている。これを(p , q)型のトーラス絡み目と定義する[3]

組み紐による定義

以下の語の組み紐で表された絡み目として(p , q)型のトーラス結び目(絡み目)を定義することもできる[4]

図1(平滑化前)

  • 図2(平滑化後)

  • 座標による直接的な定義

    p , q は互いに素とする。3次元ユークリッド空間 R3円柱座標(r,θ,z)を使うとき、媒介変数 t (0≦t≦1)を使って

    三葉結び目は(2,3)型のトーラス結び目でもある。

    基本的な性質として、以下が成り立つ[7][8]

    • (p , ±1)型、(±1 , q)型のトーラス結び目は自明な結び目である。特に(±1 , 0)型はトーラスのメリディアン、(0,±1)型はロンジチュードとなる。
    • (p , q)型トーラス結び目と(q , p)型トーラス結び目は等しい。
    • (-p , q)型または(p , -q)型のトーラス結び目は(p , q)型の鏡像である。
    • トーラス結び目は可逆である。

    また、以下の公式が知られている(以下では p , q は非負とする)。

    (p , q)型トーラス結び目の交点数 c は、
    [9][10]
    (p , q)型トーラス結び目の橋指数 br は、
    [10]
    (p , q)型トーラス結び目の組み紐指数 b は、
    [11]
    (p , q)型トーラス結び目の結び目解消数 u は、
    [10]
    (p , q)型トーラス結び目の種数 g は、
    [12]
    (p , q)型トーラス結び目のジョーンズ多項式 f(t) は、
    [13]
    (p , q)型トーラス結び目のアレクサンダー多項式 f(t) は、
    [2]
    (p , q)型トーラス結び目の基本群 π (K)は、
    [14]



    「トーラス結び目」の続きの解説一覧



    英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
    英語⇒日本語日本語⇒英語
      

    辞書ショートカット

    カテゴリ一覧

    すべての辞書の索引



    Weblioのサービス

    「トーラス結び目」の関連用語











    トーラス結び目のお隣キーワード
    検索ランキング

       

    英語⇒日本語
    日本語⇒英語
       



    トーラス結び目のページの著作権
    Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

       
    ウィキペディアウィキペディア
    All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
    この記事は、ウィキペディアのトーラス結び目 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

    ©2024 GRAS Group, Inc.RSS