デンタルインプラント 概要

デンタルインプラント

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/02 21:05 UTC 版)

概要

インプラント体を手術により顎骨に埋め込み、インプラント体表面と骨の結合(オッセオインテグレーション)を期待し6週間から6ヶ月間の治癒期間を待ち、その上に人工歯冠・上部構造をスクリューセメント磁石などで装着する一連の治療を、インプラント治療と呼ぶ。

ブリッジ有床義歯と比較して天然歯の状態により近い機能・形態の回復が得られる可能性があり、また周囲の歯を削ったりそれらに負担をかけたりしない特徴がある。

インプラント体の材料は、現在ではチタンが多く使われ、その表面にコーティング(各種が存在する)が施される。実用に供されている人工臓器の中でも、デンタルインプラントは構成物すべてが人工物である(補助手術のような例外を除く)。

しかし、死亡事故のリスクもある外科手術が必要であり、通常の歯磨きなどの必要性や寿命が無いわけでもない。そもそも、手術が不可能な(もしくは、危険が多い)ケースや、手術をしても失敗(ロスト)するケースも相当数ある。他の治療法とは異なり負荷が顎骨へ直接掛かるため、インプラント治療にはしっかりした顎骨が必要で、歯周病、抜歯、長期間の可撤式義歯(入れ歯)の使用などで歯槽骨を喪失している人は、顎骨のほかの部分や腰などから骨を移植(自家骨移植)または、βTCPや脱灰乾燥した牛骨など(人工骨)を填入して、インプラントを埋め込む(歯科医は、「埋入=まいにゅう」と呼ぶ)土台となる骨を構築する補助手術を必要とする場合があったり、それでも不可能なケースもある。歯ぎしりの強さや、相対する歯の状態や、どの歯に適応するかによって、大きく状況が異なり、安全マージンを確保しない無理な治療は、顎骨などへ大きなダメージを与える結果ともなり得る。


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  19. ^ 「ワンピース型」インプラントのリスク、顎骨壊死や神経症も NEWSポストセブン 2018年8月18日
  20. ^ 硬組織のみ切削
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