ディスカバー・ジャパン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/27 14:48 UTC 版)
先行・後続のキャンペーン
同じ1970年の、3月に始まった富士ゼロックス(現:富士フイルムビジネスイノベーション)のキャンペーン「モーレツからビューティフルへ」も、藤岡和賀夫が手がけていたものだった[13]。1970年の同社の広告には「ディスカバー・ゼロックス」というのもあった。
直前の1970年9月頃、「Make Your Country 東北」というキャンペーンが実施され、首都圏の国鉄列車内に4枚組のポスターが掲示された。英語を含むタイトル、女性モデルの使用、場所の不明さ、国鉄の文字の小ささといった「ディスカバー・ジャパン」初期ポスターとの類似点があった。一方で、国鉄本社旅客局ではなく首都圏本部の事業であり、代理店も電通ではなく、制作者も初期のメンバーとは異なるなどの点もある。初代の旅客局サービス課長・佐々木峻一による「キャンペーンの下地のような形で」という証言もあり[14]、テスト版という位置づけとも捉えられる[7]。
アンノン族に代表される女性客が増えるにつれ、国鉄のキャンペーンも女性を重視していった。1977年1月6日に始まった「一枚のキップから」は長続きしなかったが、1978年11月4日には山口百恵が歌う『いい日旅立ち』をキャンペーンソングとした「いい日旅立ち DISCOVER JAPAN 2」が始まった。また1980年には国鉄全線完乗を目指す「いい旅チャレンジ20,000km」が始まった。
1980年を過ぎると、国鉄の累積赤字が社会的に大きな問題となりはじめ、労使間の紛争も多発するようになった。さらに航空網や高速道路網の整備の進捗や、モータリゼーションに伴うマイカーの普及に加え、国鉄運賃・料金の値上げが毎年のように行われたこともあり、私鉄や航空機、自動車などに対する競争力が低下し、俗に「国鉄離れ」と呼ばれる現象が起きるようになった。さらには航空機の大型化などに伴う国際線航空運賃の相対的な低下によって海外旅行に行く者も増加していった。そのような状況下で、国鉄は赤字ローカル線(特定地方交通線)の廃止・経営移管を進めるようになり、このような大型キャンペーンも下火になっていった。
その後
1984年、国鉄は「エキゾチック・ジャパン」のキャンペーンを開始した。これは国鉄分割民営化が不可避な情勢となる中、最後の起死回生策として、郷ひろみが歌う『2億4千万の瞳』(歌詞に前記のキャッチフレーズが含まれる)をキャンペーンソングとした新たな取り組みであった。そのキャンペーンは1987年の国鉄分割民営化まで続けられたが、分割民営化後JR各社によって行われた様々なキャンペーンの下地を作った。
なお、2008年時点では西日本旅客鉄道(JR西日本)が「DISCOVER WEST」(ディスカバー・ウエスト)という、「ディスカバー・ジャパン」をもじったキャンペーンを実施している。
「Japanese Beauty ホクリク」(JR東日本・JR西日本・JR東海)の2006年のポスターは、「ディスカバー・ジャパン」のNO.4のポスターと同じく、金沢にある俵屋の店先を撮影地に女性モデル2人が写る構図のものだった。
- ^ 「1964年10月1日国鉄ダイヤ改正」も参照。
- ^ 当時万博輸送と呼ばれた。大阪万博の交通も参照。
- ^ 「新幹線と日本の半世紀」p122
- ^ 桑本咲子「ディスカバー・ジャパンをめぐって : 交錯する意思から生まれる多面性」『大阪大学日本学報』第32号、大阪大学文学部・大学院文学研究科、2013年3月、131-145頁、ISSN 0286-4207、NAID 120005304644。
- ^ a b 「新幹線と日本の半世紀」p125
- ^ a b c d 「ディスカバー・ジャパン」の衝撃、再び。(2010年12月27日時点のアーカイブ)『Voice』2010年10月号、PHP研究所
- ^ a b ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 「遠く」へ行きたい インターネットミュージアム 取材レポート(取材:2014年9月12日)
- ^ 『遠くへ行きたい』は形を変えて2019年現在も続いている長寿番組である。
- ^ 「鉄道100年」の年でもあった。
- ^ 「新幹線と日本の半世紀」p126
- ^ テレビCMの文化力
- ^ 戦後ユース・サブカルチャーズについて(2)
- ^ 「DISCOVER JAPAN」 展覧会で再発見 今、何を見つけますか 産経ニュース 2014年9月18日
- ^ 「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 「遠く」へ行きたい」図録
- 1 ディスカバー・ジャパンとは
- 2 ディスカバー・ジャパンの概要
- 3 経緯
- 4 先行・後続のキャンペーン
- 5 脚注
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