タカラトミー 概要

タカラトミー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/21 15:30 UTC 版)

概要

2006年平成18年)3月1日に玩具メーカーであるタカラトミーが合併して誕生した[2][3][4]。なお、日本国外ではトミーの知名度が高いことから、英文社名に「タカラ」の名称を含めておらず、旧トミーの英文社名「TOMY COMPANY,LTD.」を継続使用している。

21世紀初頭、日本の玩具業界は1990年代後半から続く少子化の流れを受けて縮小傾向にあり、業界大手のバンダイが大手ゲームメーカーのナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)と経営統合するなど、業界再編が進んでいた。

この頃、タカラはヒット商品を相応に出してはいたが、ベイブレードブーム終了の反動で過剰な在庫を抱えることが多発した事や、別途展開していたチョロQ実車化によるミニカー事業や家電品事業がそれぞれ失敗したことで経営危機に陥り、廃業倒産の危機にあった。

一方、トミーはバブル崩壊後の経営危機(自社ブランドによるヒット商品に恵まれなかった事に起因する停滞など)をファービーポケモン関連商品のヒット、リストラなどの事業縮小で乗り切ってはいたものの、今ひとつ派手さにかける企業イメージの改善と更なる経営基盤の改善を求められていた。

この様な経緯により、共に葛飾区に本社を持つ両社は水面下で企業提携などを含めた交渉を図り、最終的には合併という形に落ち着いた。もっともこの合併は決して平坦ではなく、一時は物別れになりそうなところをインデックスグループ(当時)のCEOだった落合正美が間に入って合併にこぎつけている。合併時の存続会社はトミーであり、トミーが同日付でタカラトミーへ商号変更した(合併比率はトミー1株に対してタカラ0.178株)[5]。新会社の社長にはトミー社長・富山幹太郎が就任し、タカラ会長・佐藤慶太が副社長に就任した。なお、タカラトミーはインデックスの民事再生法申請前の2013年6月12日に、インデックスが「金融商品取引法違反容疑による証券取引等監視委員会の調査について」を公表したことを受けて、保有していたインデックス株全株を売却し[6]、2013年10月までに関係を解消している。

現在は旧トミー・タカラ両社の持っていた資産を活用して開発・発売される新商品や、タカラトミーのグループ会社間でコンテンツや版権ビジネスの相互活用を図る。

しかし、短期間で性急に合併した反動による数々の課題点(日本国外の現地法人社名が「TOMY」であることや、日本国内でもトミー興産やトミーテックに代表されるようにタカラトミーアーツなど一部の例外を除いてブランド統合が進んでいないこと、旧社同士で被る事業の整理や負債解消など)を抱えており、今後はそれらの解消と更なる発展が求められている。

合併後に発売された現在の新製品は新ロゴ(青地に前身2社のロゴを組み合わせたもの)を使用しているが、合併後もしばらくの間は一部の新製品に旧タカラ、旧トミーのブランドを使用していたものもあった(ネオブロックスなど)。

特色

日本国外での販売に力を入れている。これは"Tomiyama"(トミヤーマ)のブランド名で知られた旧トミーの前身企業である富山商事時代からの流れを受けたもの。トミー時代にはハズブロと業務提携して代理店(実質的には子会社のトミーダイレクトが担当)となり、スター・ウォーズシリーズ関連商品などを扱ったり、ディズニーの関連商品をほぼ独占的に扱っていた。この様な経緯により、合併後の会社名も英語表記では「TOMY COMPANY,LTD.」となっている。キャラクターコンテンツ産業については先代のトミー社長・富山允就の方針もあり、ほぼ無関心で手を出そうとしなかった。允就がキャラクターの人気を利用したやり方を否定し、あくまでも玩具の出来あいで勝負という職人気質に近い持論を持っていたからである。

2015年6月、旧トミー創業家の富山家以外かつ日本国外の出身者としては初めてオランダ人ハロルド・ジョージ・メイが代表取締役社長に就任した。

コンピュータゲーム関連事業

合併当初はゲーム事業に力を入れる事を公言し、旧・タカラモバイルエンタテインメントを改組してインデックスとの合弁会社・タカラトミーエンタメディア(現:タカラトミーフィールドテック)を設立した。しかし、エンタメディア社はゲームソフト開発会社ではなくパブリッシャー(発売専門)会社であり、実際の開発は、ドリームファクトリーなど、設立以前と同様外部ソフトメーカーに完全に依存している。合併前は、タムソフトやE-GAMEやバーンハウスエフェクトなどが主に実制作を担当していた。

2012年以降、AQインタラクティブ(マーベラスAQLを経て現在のマーベラス)と共同開発した『ポケモンバトリオ』やシンソフィアと共同開発した『プリティーリズム』などのトレーディングカードアーケードゲームを含めたコンピュータゲーム関連事業の大半が子会社のタカラトミーアーツへ移管されたが、タカラトミー本体にもゲーム開発部門は残されており2015年には『イジン爆闘!! ウデジマン』をリリースした。その後2016年に『WAR OF BRAINS』、2017年に『ZOIDS FIELD OF REBELLION』をリリースするなどゲーム事業を本格的に再開させており、2019年発売のNintendo Switch用ソフト『ゾイドワイルド キングオブブラスト』よりコンシューマゲーム市場にも再参入した。


注釈

  1. ^ 同社が展開するシリーズとは別にコトブキヤとのコラボレート企画商品であるHMMシリーズも展開している。
  2. ^ 親会社が展開するシリーズとは別に子会社のトミーテックが発売する『チョロQzero』も展開している。
  3. ^ 爆丸ジオガンライジング』以降は、同社による日本国内での玩具展開は行われていない。
  4. ^ ニンテンドー3DS専用ソフト「NARUTO -ナルト- 疾風伝 忍立体絵巻! 最強忍界決戦!!」(2011年3月31日発売)まで。
  5. ^ 2006年発売のアトラス版の同名ゲームとは別物。
  6. ^ V03弾以降は、子会社・タカラトミーアーツへ移管されたが、2012年5月にV05弾を以ってサービス終了している。
  7. ^ シーズン9以降は、子会社・タカラトミーアーツへ移管。

出典

  1. ^ JPX日経中小型株指数構成銘柄一覧 (2021年9月30日時点) jpx.co.jp 2021年10月4日公表 2021年10月8日閲覧。
  2. ^ a b 株式会社トミーと株式会社タカラの合併による新会社「株式会社タカラトミー」の基本方針に関するお知らせ 株式会社タカラ、株式会社トミー、2005年(平成17年)8月24日、2022年7月19日閲覧。
  3. ^ a b トミーとタカラ、来年3月に合併 ITmediaニュース、2005年5月13日、2022年7月19日閲覧。
  4. ^ a b 「数時間前までもめていた」──タカラトミー、スピード交渉の舞台裏 ITmediaニュース、2005年5月13日、2022年7月19日閲覧。
  5. ^ 合併公告 タカラトミー[リンク切れ]
  6. ^ a b 株式会社インデックスの民事再生手続開始の申立てに伴う当社への影響に関するお知らせ”. タカラトミー (2013年6月28日). 2013年7月5日閲覧。
  7. ^ 孫会社の合併に関するお知らせタカラトミー 2009年10月21日
  8. ^ 組織変更並びに人事異動に関するお知らせタカラトミー 2012年9月24日
  9. ^ 子会社の商号変更に関するお知らせタカラトミー 2012年9月19日
  10. ^ タカラトミーグループ再生計画タカラトミー 2013年3月25日
  11. ^ 子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせタカラトミー 2013年7月16日
  12. ^ 子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ
  13. ^ 連結子会社間の合併に関するお知らせタカラトミー 2014年9月24日
  14. ^ 代表取締役社長の異動及び執行役員人事に関するお知らせ
  15. ^ 「ブライス」製造および製品流通についてグッドスマイルカンパニー 2021年12月3日
  16. ^ ブライスドールの発売元変更のお知らせクロスワールドコネクションズ 2021年4月6日
  17. ^ タカラトミーの新商品「OHaNAS」を共同で開発
  18. ^ 話の分かる、ロボットです
  19. ^ タカラトミー、会話ロボOHaNAS(オハナス)発表。ドコモのクラウドで自然な会話を実現
  20. ^ 人生ゲームがNintendo Switchで登場!/パーティーゲームで盛り上がろう!”. タカラトミー. 2023年10月21日閲覧。
  21. ^ 引き続き、お客様へのお願いです。謹告「レンジでチン ハローキティホット2フレンド」の商品回収を進めています タカラトミー、2013年11月、2022年7月19日閲覧。
  22. ^ 【PDF】「トワールリングバトン」発売延期のお知らせ| タカラトミー
  23. ^ リカちゃん困惑!?…“#個人情報暴露”で炎上、タカラトミー公式「不適切ツイート」謝罪スポニチ Sponichi Annex、2020年10月25日。
  24. ^ a b タカラトミー「リカちゃん」炎上に学ぶ、致命的なNG投稿と話題になる投稿の紙一重の違い 企業公式の炎上が後を絶たない理由”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン). p. 2 (2020年11月6日). 2020年11月6日閲覧。
  25. ^ TDRに大異変! 入場減とスポンサー離れ - J-CASTニュース 2006年10月20日






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