スィノプ 経済

スィノプ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/08 02:42 UTC 版)

経済

農林水産業がスィノプの中心産業となっており、穀物トウモロコシタバコの栽培、漁業が盛んに行われている[8]。南のポントス山地では林業が行われているが、オスマン帝国が動乱期を迎えた19世紀には山地の森林が乱伐され、軍艦の建造、首都イスタンブールへの供給に充てられた[8]。二次産業は町で収穫された産品の加工業が主流であり、製粉、精米、魚粉・魚油・乳製品の製造が行われている[8]2009年選挙反原発を掲げた市長が就任したが、トルコで2番目となる原子力発電所としてスィノプ原子力発電所を建設する計画が進行している[3]

オスマン帝国の統治時代は、金銀細工の手工業が町の主産業となっていた[4]

地理・気候

アナトリア最北端のインジェ岬から北に突き出たボズテペ半島(スィノプ半島)中央部の幅300mほどの地峡に、スィノプの街区は位置する[8]。街区は東西に広がり、南北を海に囲まれている。北側の港には風が吹き付けているが、南側の港は半島が防風壁となっているために風が遮られ、古くから良港として知られている[8]

町のすぐ南にはポントス山脈が屹立しているため後背地が無く、ポントス山脈はスィノプとアナトリア内陸部の交通の障害となっている[4]。サムスン、トラブゾンなどの他のアナトリア北部の都市に比べてスィノプは内陸部との交通が不便な場所に位置しており、19世紀の乱伐によって森林資源が激減した後は港湾都市としての機能が低下した[8]。第一次世界大戦後、アナトリア東部への赴任を命じられたケマル・アタテュルクは当初スィノプへの上陸を予定していたが、スィノプの交通の便の悪さを知って上陸先をサムスンに変更し、列強諸国への抵抗運動を展開した[8]

スィノプの気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平均最高気温 °C°F 9.5
(49.1)
9.3
(48.7)
10.6
(51.1)
14.2
(57.6)
18.3
(64.9)
23.2
(73.8)
26.0
(78.8)
26.5
(79.7)
23.2
(73.8)
19.2
(66.6)
15.1
(59.2)
11.7
(53.1)
17.23
(63.03)
平均最低気温 °C°F 4.6
(40.3)
4.0
(39.2)
5.2
(41.4)
8.1
(46.6)
12.2
(54)
16.8
(62.2)
19.9
(67.8)
20.4
(68.7)
17.3
(63.1)
13.6
(56.5)
9.5
(49.1)
6.6
(43.9)
11.52
(52.73)
降水量 mm (inch) 71.2
(2.803)
49.2
(1.937)
49.3
(1.941)
37.7
(1.484)
33.1
(1.303)
36.3
(1.429)
37.3
(1.469)
41.1
(1.618)
65.0
(2.559)
94.2
(3.709)
85.0
(3.346)
82.8
(3.26)
682.2
(26.858)
平均降雨日数 15.0 12.9 13.2 11.8 9.9 8.8 5.9 6.5 8.8 12.6 12.5 15.6 133.5
湿度 68 68 73 75 76 74 74 67 71 71 68 68 71.1
平均月間日照時間 71.3 86.8 127.1 153 207.7 264 291.4 263.5 207 145.7 96 68.2 1,981.7
出典1:Sinop Turkish State Meteorological Service
出典2:Weatherbase [15]

観光

旧刑務所民俗博物館

ミレトス人によって建設され、後世に成立した国家によって修復と改築が重ねられた城塞が代表的な観光名所として知られている[8]。海岸沿いに立てられた城壁は全長約2053m、高さ25-53m、幅3mの規模を持ち、階段から城壁の上に登って町の景色と黒海を見渡すこともできる[7]。内城に存在していた旧造船所は旧刑務所民俗博物館英語版に姿を変えたが、1877年から1997年まで刑務所として使用されていた。

他の観光地

  • アラエッディン・モスク - ルーム・セルジューク朝の君主カイクバード1世の治世に建設が始まり、1267年に完成した。モスクの名前は、彼にちなむ。アラエッディン・モスクのミンバルの美しさに惹かれたスレイマン1世はミンバルをイスタンブールのスレイマニエ・モスクに運ぼうとしたが、運搬の段階でミンバルが破損したために計画は中止されたという[4]
  • スィノプ県農村支援連合郷土手工芸販売所
  • スィノプ考古学博物館

  1. ^ TÜRKİYE İSTATİSTİK KURUMU 2013年6月10日閲覧
  2. ^ シノプ【Sinop】 大辞泉
  3. ^ a b 三菱重工と仏アレバ、トルコの原発建設プロジェクトに署名 ブルームバーグ 2013年5月4日 2013年6月10日閲覧
  4. ^ a b c d e f g h 『シルクロード事典』、136-138頁
  5. ^ a b この国と原発:第6部・輸出の最前線で今/上(その2止) 悲願へトルコしたたか 毎日新聞 2012年07月11日 東京朝刊2013年6月12日閲覧
  6. ^ シノプ(しのぷ) 日本大百科全書小学館
  7. ^ a b 地球の歩き方編集室編『イスタンブールとトルコの大地(2013‐2014年版)』、439-441頁
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 由利「シノップ」『世界地名大事典』3、477-478頁
  9. ^ 別枝篤彦「シノプ」『世界地名大事典』6巻収録(朝倉書店, 1973年)、475頁
  10. ^ バットゥータ『大旅行記』3巻、394-395頁
  11. ^ バットゥータ『大旅行記』3巻、395頁
  12. ^ バットゥータ『大旅行記』3巻、393頁
  13. ^ バットゥータ『大旅行記』3巻、331-332頁
  14. ^ 地震国トルコは原発推進 人口増の新興国は「電力」優先 MSN産経ニュース、2011年6月25日
  15. ^ http://www.weatherbase.com/weather/weatherall.php3?s=62071&refer=&units=us&cityname=Sinop-Turkey


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