ジブラルタルの交通 鉄道

ジブラルタルの交通

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/16 18:34 UTC 版)

鉄道

鉄道の歴史

現在のジブラルタルでは鉄道は運行されていない。以前にはイギリス海軍基地内、労働者地区、貯蔵施設付近を走る無数の鉄道が存在した。トンネルを走る鉄道もあり、そのうちの一本はザ・ロックを貫通していた。この鉄道跡は、今日では道路トンネルとして利用されている。19世紀と20世紀の変わり目には仮設の工業用鉄道も存在し、この時代には鉄道でジブラルタルの全海岸線をめぐることが可能だった[1]。イギリス海軍基地内の鉄道は17台の機関車を持ち、そのうちの多くは数字で区別されていたが、4台だけは「ジブラルタル」、「カタラン」(カタラン湾英語版)、「ロシア」、「カルペ」(ザ・ロックの旧名)と呼ばれていた。

近隣の鉄道

スペインの鉄道線はラ・リネア郊外まで広がっており、ジブラルタルにもっとも近い鉄道駅は、アルヘシラスからロンダを経由してアンテケラまで運行されるスペイン国鉄のサン・ロケ=ラ・リネア駅である。1969年までは、アルヘシラス駅へのアクセスに便利なフェリーがジブラルタルから運航されていた。

海上交通

半島のジブラルタルは国土が細長いため、海は重要な交通結節点である。かつてイギリス海軍基地はジブラルタル住民の重要な雇用者であり、基地は依然としてジブラルタル西岸のジブラルタル港に存在する。ジブラルタルに登録された1000トン以上の商業船は26隻にもなる。

年間を通して、様々なクルーズ客船ジブラルタル港を訪れ、ノース・モールの西埠頭にあるジブラルタル・クルーズ・ターミナルに接岸する。ジブラルタルを訪れる日帰り観光客のかなりの割合はクルーズ客船によるものである。

モロッコ行きのフェリー

ジブラルタルからはFRSによるフェリーが週2回、ジブラルタルとタンジェ新港(モロッコの鉄道網に結節)を結んでいる[2][3]が、スペインのアルヘシラスタリファ起点の方が便数が多いため、今日では多くの乗客がジブラルタル港ではなくアルヘシラス港かタリファ港を使用する。

スペイン行きのフェリー

かつてはジブラルタル湾を挟んで対岸にあるアルヘシラス行きのフェリーが存在したが、1969年にフランシスコ・フランコ独裁政権によって便が断たれていた。しかし、2009年12月16日にスペインの企業トランスコマ英語版によって運航が再開され[4]、1960年代に両港を行き来していたフェリーを思わせる双胴船のプンタ・エウローパ・セグンドが就航した。2010年11月10日、トランスコマによる運航はグルポ・メデックスによって引き継がれ、2011年には定員を拡大した新造船の就航が発表された[5]

航空

ジブラルタル国際空港はジブラルタルにある唯一の空港である。空港はスペインとの国境のすぐそばにある。土地の狭さから滑走路は半島の付け根を東西に横断する形で設けられ、南北の土地は滑走路によって完全に分断されている。このため、ジブラルタルからスペインに向かう唯一の道路が平面交差の形で滑走路を横切っており、旅客機が着陸もしくは離陸するたびに道路側に設置された遮断機が降りて通行が一時停止される。イージージェットブリティッシュ・エアウェイズがイギリス本土に向けて、ロイヤル・エア・モロッコモロッコに向けて民間定期便を運航しているが、現在はスペインへの定期直行便は運航されていない。

スペイン便

スペインのコルドバにおいて2006年9月、イギリス、スペイン、ジブラルタルの3政府はジブラルタル国際空港がジブラルタル人とスペイン人双方にサービスを提供することで合意に達した。ジブラルタル国際空港はスイスのバーゼル空港ジュネーヴ空港(いずれも国境に隣接している)などと同様に、スペイン側にも入口を有するように改修される。

2006年12月16日、イベリア航空はスペインの首都マドリードとの間に直行便の運航を開始し、2007年5月1日にはGBエアウェイズ英語版との共同運航となった。しかし2007年9月30日、GBエアウェイズはマドリード便の運航から撤退し、イベリア航空は小型機の使用も検討したが、結局イベリア航空は2008年9月にマドリード便の運航から撤退した。2009年にはアンダルス航空英語版がマドリード便の運航を開始したが、スペインの航空当局が同社の運航ライセンスを取り消したため、アンダルス航空は2010年8月13日にマドリード便から撤退した。

イギリス便

路線の人気が残っているのは明らかだったが、GBエアウェイズは2006年10月28日にロンドン・ヒースロー空港便の運航から撤退した[6]。GBエアウェイズは撤退の理由について、「ロンドンでのサービスを準ハブ空港であるロンドン・ガトウィック空港に集中させるため」だとした。その後、GBエアウェイズのヒースロー空港の発着スロットは8000万ポンドにまで上昇していると信じられている[7]。2007年10月、GBエアウェイズはイージージェットによって買収され、ブリティッシュ・エアウェイズのフランチャイズ・パートナーではなくなった。2008年3月には全便がイージージェットによる運航にリブランドされた。

ジブラルタル国際空港からイギリス本土には、イージージェットとブリティッシュ・エアウェイズの2社によってヒースロー空港、ガトウィック空港、ロンドン・ルートン空港マンチェスター空港ブリストル空港エディンバラ空港に定期直行便が飛んでいる。ヒースロー空港便のみがブリティッシュ・エアウェイズによる運航で、残り5空港との直行便はイージージェットによる運航である。2012年中には格安航空会社(LCC)のBmibabyイースト・ミッドランド空港との間に就航したが、Bmibabyは同年9月に全便の運航を終了し、ジブラルタル便からも撤退した。

モロッコ便

週に2往復、タンジェイブン・バットゥータ国際空港経由でカサブランカムハンマド5世国際空港に至る定期便が設定されている。運航会社はロイヤル・エア・モロッコ。




  1. ^ Friends of Gibraltar Heritage Society, December 2003, pp 7-8, ptovide full details.
  2. ^ Morocco Travel Information
  3. ^ London this morning, Morocco tomorrow night, by train!
  4. ^ New ferry 'repairs 40 year gap' says Spanish Diplomat, Gibraltar Chronicle, 2009年12月17日
  5. ^ Gib Ferry Company Taken Over, Gibraltar Chronicle, 2010年11月10日
  6. ^ Gibraltar News Online, GB Airways drop Gib-Heathrow route this Winter[リンク切れ]
  7. ^ Gibraltar News, GB Airways sells Heathrow slots for £80 million[リンク切れ]


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