シクロペンタジエン シクロペンタジエンの概要

シクロペンタジエン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/10 05:08 UTC 版)

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Cyclopentadiene
識別情報
CAS登録番号 542-92-7 
ChemSpider 7330 
J-GLOBAL ID 200907027902275091
RTECS番号 GY1000000
特性
化学式 C5H6
モル質量 66.1 g mol−1
外観 無色液体
密度 0.786 g/cm3(液体)
融点

-85 °C (188 K)[1]

沸点

41 °C (314 K)

への溶解度 不溶
酸解離定数 pKa 16
構造
分子の形 平面[2]
危険性
引火点 25 °C
関連する物質
関連する炭化水素 ベンゼン
シクロブタジエン
シクロペンタン
関連物質 ジシクロペンタジエン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

分子量66.10、融点-85 °C、沸点42 °C樟脳によく似た特異臭をもち、常温常圧下で無色透明の液体である。CAS登録番号は [542-92-7]。

性質

endo-ジシクロペンタジエン

シソイド配座型が固定された 1,3-ジエン構造を持つため、ディールス・アルダー反応を起こしやすい。室温で放置すると、徐々に二量化し、ジシクロペンタジエン (C10H12) に変わる[1]。このとき endo 体が優先する(エンド則)[1]。これを元のシクロペンタジエンに戻すためには熱分解を行う必要がある。ほか、無水マレイン酸など、各種ジエノフィルと反応する。

シクロペンタジエンは pKa = 16 と、炭化水素としては異常に強い酸性を示す。これは、共役塩基であるシクロペンタジエニルアニオンが 6π共役系の環状構造を持ち、ヒュッケル則を満たし、即ち、芳香族性を示し、電子の非局在化による強い安定化を受けているためである。このシクロペンタジエニルアニオンは、フェロセンをはじめとするメタロセンの配位子となる。

調製法

二量体であるジシクロペンタジエンを150℃以上で熱分解することで得られる。ただし、熱分解時に発生したシクロペンタジエンの一部は周囲のジシクロペンタジエンとすぐさまディールス・アルダー反応することで三量体(トリシクロペンタジエン)を生成する。同機構による四量体以上の生成速度は遅いが、徐々に溜まってくる。これらオリゴマーの融点は高く熱分解後の缶出液を固化させてしまうため、注意が必要である。


  1. ^ a b c 守谷一郎、藤原祐三「シクロペンタジエンの反応」『有機合成化学協会誌』第24巻第6号、有機合成化学協会、1966年、 435-452頁、 doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.24.435
  2. ^ Valery I. Faustov, Mikhail P. Egorov, Oleg M. Nefedov and Yuri N. Molin (2000). “Ab initio G2 and DFT calculations on electron affinity of cyclopentadiene, silole, germole and their 2,3,4,5-tetraphenyl substituted analogs : structure, stability and EPR parameters of the radical anions”. Phys. Chem. Chem. Phys. 2: 4293–4297. doi:10.1039/b005247g. 


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