カーリング 派生スポーツ

カーリング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/14 02:52 UTC 版)

派生スポーツ

カーリングからはいくつかのニュースポーツが派生している。障害者スポーツである車いすカーリングは氷上で行われる。ユニカール、フロアカーリング、カローリングは、いずれも氷上ではなく床の上で競技する。

氷上

車いすカーリング
車いすの使用者によるカーリングで、1990年代にヨーロッパで始まり、2006年のトリノパラリンピックから正式競技となった[50]。車いすカーリングは、試合形式は6エンドで、スウィーピングが行われないこと以外はカーリングのルールとほぼ同じである。

床上

ユニカール
1979年にスウェーデンで研究開発された競技。「ユニバーサルカーリング」の略であり、特殊なカーペットの上でストーンを滑らせるように投げて競う。現在はスカンジナビア半島の諸国のほかイギリスドイツオランダなどのヨーロッパの国々で親しまれている。日本には1986年に紹介された[51]。なお「ユニバーサルカーリング」は日本語では「みんなのカーリング」といった意味になる[51]
フロアカーリング(フロッカー)
1993年北海道上川郡新得町で考えられたスポーツである[52]。遊動キャスターつきの木製ストーンを用いる。標的となる固定したハウスは存在せず、あらかじめ緑色のターゲットストーン(4輪)を投げ、それに向かって赤と黄色のフロッカーストーン(3輪)と呼ばれるストーンを投げ合ってゲームを進める。スタイルはカーリングだが、実質的なゲーム進行はペタンクと同様である。
カローリング
フロアカーリング同様、カーリングをヒントに生まれたスポーツであるが、こちらはカーリングのハウスに相当するターゲットが固定されていて、進行はカーリングに近い。ストーンに相当する「ジェットローラー」は、方向が固定されているのでフック、スライスなどのテクニックが使えない。ターゲットに記入されている数字によって採点する点がカーリングと異なる。1993年、愛知県名古屋市にあるベアリングメーカー「中部ベアリング」社長(当時)の田中耕一によって考案されたとされる。田中曰く、カローリングは「軽やかにロールする」から取ったとのことである。
ヤカーリング(やかぁりんぐ)
セメントなどの重りを入れたヤカンにキャスターをつけた簡易カーリング。2006-2009年頃より大阪市淀川区三津屋商店街や徳島県美馬市などで考案されたとされ、それぞれ独自のルールで行っている[53]
インタラクティブカーリング
スペインのエクストラアイス社が特許を取っているモーションセンサーを搭載した所謂インタラクティブシステムを採用したカーリング。
合成アイスリンクカーリング
近年スケート用として登場した合成樹脂製のパネル(所謂プラスチックアイス)を製作しているスペインのエクストラアイス社が自社製品のスケート用プラスチックアイスパネルをカーリングに応用した物。特に名称はなく、ただ「合成アイスリンクを使用したカーリング」と紹介されており、専用に作られたストーンとペブルの代わりとなる専用のワックスを使用するとしている。同社に依るとこのカーリングシートはパネルを組み立てる方式であり、紹介画像を見る限り通常の物よりもかなり小さい。このパネルを購入すると専用ストーンがセットで付属するとのことである。日本国内に於ける同社の製品は三菱エレクトロンが正式な代理店として販売を行っている。

卓上

カーレット
カーレットはカーリングを卓上で手軽に楽しむことを目的に開発された、長さ3.6メートル、幅60センチのマット上で行う競技である[54][55][56]。カーレット(Curlet)は、Curling(カーリング)に、名詞語尾に付けて「小さい」の意味を表す「let」を合わせた造語で[57]千葉大学保健体育科同窓会のメンバー有志により考案された[54]、日本で田邊陽二が2012年にこの名前で実用新案を登録し[58]、カーレットジャパン協会を設立した[59][60]。2019年にフジテレビ『FNS27時間テレビ』がマイナースポーツとして取り上げた[61][62]

注釈

  1. ^ 野球やソフトボールで言う、大差コールドに近い。
  2. ^ カーリグシートは1シートあたりの長さが最低40m必要なため、シートを増やすと専用のカーリングホールの建設費は高額となる。競技人口が少ないため建設費の採算をとることは難しい。2006年トリノ五輪および2010年バンクーバー五輪でカーリングの解説を行い有名となった後、2016年2月に死去した小林宏が生前、山梨県山中湖村に私財を投じて私設のカーリング場「Curlplex Fuji」を建設し話題となったが、常設2シートで建設費用は約1億3000万円と言われている。2020年に北海道北見市柏陽町内の北見ハイテクパーク内に開業したアルゴグラフィックス北見カーリングホールの建設費は、3シートで約10億2300万円余だったとのことである。 製氷なども含めた年間の維持費は約2000万円~4000万円とされており、またストーンは高額かつ高重量となることからカーリングホールの所有物となることが多い。ペブルを作るために専用の製氷機の使用は国家資格を必要とする。
  3. ^ かつては試合中に1チームが1分間のタイムアウトを2度取ることができ、時計を止めた上でコーチの助言を仰ぐことができた。
  4. ^ 2018-2019シーズンより前は最初の4ストーンまで。
  5. ^ 長野オリンピック開催前まではタイムアウト時もコーチとの話し合いは認められていなかった。

出典

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