オーストリア料理
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魚介類
過去のオーストリアでは大量の魚が消費されていたが、次第に魚が食卓にのぼることは少なくなっていった[26]。帝国時代のウィーンでは、中央市場の一つであるナッシュマルクト(Naschmarkt)でアドリア海やハンガリーで獲れた多くの魚介類を調達することができた。現在でもヨーロッパの南北から高価な魚介類がウィーンに輸入されているが、一般の家庭では安価な魚や国内で獲れた淡水魚が消費されている[26]。
淡水魚の中でも、特に鯉は人気が高い[27]。ウィーンで有名な鯉料理に、肝、白子、タマネギのみじん切り、柔らかくしたパン、卵を混ぜ合わせたものを鯉に詰めて赤ワインで煮込んだ料理(Wiener ausgebak-kener Karpfen)がある[28]。独特な川魚の調理法として、バッハフォレーレ(Bachforelle)という河川型のブラウントラウトを新鮮なうちに茹でて身を青くするブラウエ・フォレーレ(Blaue Forelle)またはフォレーレ・ブラウ(Forelle Blau)が知られている。
過去にはハンガリーやチェコから大量に輸入されていたザリガニは、現在では高級食材になっている[27]。ザリガニは主に冷製やスープにされて食べられる。
野菜
長く厳しい冬に備えてザウアークラウトや乾燥させた豆、レンズマメ(ヒラマメ)のように日持ちする野菜や調理法が好まれる傾向があると言われているが、もちろん様々なサラダも食べられている[29]。
オーストリアではドイツと同じようにジャガイモが多く消費され、ポテトサラダや肉料理の付け合せとして食卓にのぼる[30]。新ジャガイモを茹でて薬味をまぶし、熱いうちに食べる簡単な料理はご馳走として好まれている。マッシュルームも、オーストリア料理によく使われる食材である[30]。ウィーンなどの都市では、春になると旬の野菜アスパラガスの料理が多くのレストランで供される[31]。
スープ
オーストリア料理のスープは、栄養価とボリュームに優れると言われている[23]。
かつてのオーストリアでは教会が定めた断食の期間には固形物を口に入れることは禁止されており、断食の期間をしのぐ栄養源としてビールとスープが重宝された[23]。時代が経って禁止事項が緩和されると、断食の期間には肉以外のものなら何でも食べていいと解釈されるようになり、鳥や魚介類が具材に用いられた豪華なスープが生まれる[23]。
牛肉のスープはオーストリア料理のスープの基本であり[3]、クラーレ・リントズッペ(Klare Rindsuppe 透明なビーフコンソメスープ)はオーストリアのスープの代表格である。バロック時代には、貴族たちが飲んだクラーレ・リントズッペの出汁をとった後の肉塊は召使に与えられていたという[5]。コンソメスープの名前は、浮き身にちなんでつけられることが多い[4][26]。ハンガリー風スープのグーラシュはパプリカの量が抑えられているため、辛みは強くない[4]。また、ハンガリーのさらさらしたスープ状のグヤーシュとは異なり、グーラシュにサワークリームや小麦粉でとろみをつける例がある。
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