オキシトシン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/04 15:22 UTC 版)
受容体
オキシトシンの受容体は、Gタンパク質共役受容体でありGqタンパクと結合し、ホスホリパーゼCを活性化させる。バソプレシンとも強い親和性を持つ。中枢神経、子宮、乳腺のほか、腎臓、心臓、胸腺、膵臓、脂肪組織でも発現が確認されている。
注射剤
アトニン-Oが販売されている。
臨床試験
オキシトシンを鼻からの吸引によってヒトに投与する実験では、金銭取引において相手との信頼関係を強める影響があることが示された[5]。
日本をはじめ世界のすべての国でオキシトシンを自閉症の治療に使用することは薬事法で認められていない[6]。
2010年4月24日、金沢大学「子どものこころ発達研究センター」が知的障害のある自閉症の人々にオキシトシンを投与したところ自閉症患者の症状が改善したと発表した[7]。2014年には東京大、金沢大、福井大、名古屋大の4大学で大規模な臨床試験が行われた[8]。
しかし、2017年1月のシステマティックレビューでは、2015年6月までの12件のランダム化比較試験があり、社交的な認知機能への影響はあったが、また反復行動も含めて、偽薬に比較して統計的に有意な差ではなかった[1]。2018年1月のシステマティックレビューで、2017年8月までの17件のランダム化比較試験があり、感情認識、共感への影響はあったが、また社交的な認知機能も含めて偽薬に比較して統計的に有意な差ではなかった[2]。
- ^ a b Ooi YP, Weng SJ, Kossowsky J, Gerger H, Sung M (January 2017). “Oxytocin and Autism Spectrum Disorders: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials”. Pharmacopsychiatry (1): 5–13. doi:10.1055/s-0042-109400. PMID 27574858.
- ^ a b Keech B, Crowe S, Hocking DR (January 2018). “Intranasal oxytocin, social cognition and neurodevelopmental disorders: A meta-analysis”. Psychoneuroendocrinology: 9–19. doi:10.1016/j.psyneuen.2017.09.022. PMID 29032324.
- ^ Goldstein, Irwin; Meston, Cindy M.; Davis, Susan; Traish, Abdulmaged (17 November 2005). Women's Sexual Function and Dysfunction: Study, Diagnosis and Treatment. CRC Press. pp. 205–. ISBN 978-1-84214-263-9
- ^ Chiras, Daniel D. (2012). Human Biology (7th ed.). Sudbury, MA: Jones & Bartlett Learning. p. 262. ISBN 978-0-7637-8345-7
- ^ P. J. ザック「信頼のホルモン オキシトシン」『日経サイエンス』2008年10月号、2008年。
- ^ オキシトシンの広場 (リンク先閉鎖) 金沢大学「子どものこころ発達研究センター」
- ^ 毎日新聞 2010年4月24日付
- ^ 自閉症で大規模臨床試験 ホルモン投与の効果調べる 共同通信 2014年10月10日付
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