ウォール・オブ・デス (曲芸) インド

ウォール・オブ・デス (曲芸)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/04 17:45 UTC 版)

インド

インドでは、この見世物はウェル・オブ・デス(the Well of Death、ヒンディー語: मौत का कुआँ (maut kā kuām̥)、パンジャブ語: ਮੌਤ ਦਾ ਖੂਹ (maut dā khūh))とも呼ばれ、全国各地の様々なメラ英語版(フェア)で興行されている[9]。バイクのほかに、自動車などが走ることもあり、例えば2005年以来アーディラーバードで定期的に興行されているもので披露されている[10]

自動車が走る場合、ショーは、厚板で組まれた、25フィート (7.6 m) ほどの高さがある直径30フィート (9.1 m) 以上の仮設の円筒で行われる。観衆は円筒の上部の周囲に設けられたプラットフォーム上から、バイクや自動車が走る円筒の中を見下ろす[11][12][13]

日本

2016年現在、日本では、札幌市に拠点を置くワールドオートバイサーカスが、北海道を中心に「オートバイサーカス」という名称でウォール・オブ・デスの興行を行っているのが唯一の事例とされる[14]。使用するコースの大きさは、高さ4メートル、直径9メートルで、宮大工が製作したものである[15][16]。この興行は、かつてのキグレサーカスの流れを汲むものとされている[17]

ワールドオートバイサーカスについては、小林三旅が制作したドキュメンタリーが、2013年にDVDで発表されている[16]

大衆文化の中で

ウォール・オブ・デス用に改造された、インディアンのバイク。

ウォール・オブ・デスの演技が盛り込まれた映画作品には、『Spare a Copper』(1941年)、『There Is Another Sun』(1951年:アメリカ合衆国での公開タイトルは『The Wall of Death』)、『Scotland Yard: The Wall of Death』(1958年)、『青春カーニバル (Roustabout)』(1964年)、『夜行性情欲魔 (The Lickerish Quartet)』(1970年)、『Eat the Peach1986年)、『美しきイタリア・私の家 (My House in Umbria)』(2003年)などがある。日本映画では『男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎』(1984年)が、当時のオートバイサーカスの様子を捉えている[18]

ギリシャにおける興行を記録したギリシア語短編ドキュメンタリー映画『Ο γύρος του θανάτου (The Spin of Death)』(2004年)は、国内各地の様々な映画祭で上映された[19]

この作品より前に、同じ題名で発表されていたギリシャ映画は、1983年の劇映画で、主人公が地域の祭りでウォール・オブ・デスを実演するという内容で、カルト的人気を博した古典的作品となっている[20]

リチャード・トンプソンリンダ・トンプソン英語版は、彼らのアルバム『シュート・アウト・ザ・ライツ (Shoot Out the Lights)』に「Wall of Death」という曲を収録しており[21]、リチャードは自身のライブでも時々この曲を取り上げて歌っている。歌詞の内容は、祭りの他の出し物で時間を無駄に使うのではなく、「ウォール・オブ・デスを走りたい、もう一度 (ride on the Wall of Death one more time)」という歌い手の望みを歌っており、ウォール・オブ・デスは「生きていることに一番近い (is the nearest to being alive)」ものだからと述べている[22]

アイルランド系アメリカ人のバンドであるゲーリック・ストーム英語版は、2010年のアルバム『Cabbage』に収録した「Cyclone McLusky」という曲でウォール・オブ・デスに言及している。

ザ・シンプソンズ MOVIE』で、ホーマーはウォール・オブ・デスと同じ原理で、スプリングフィールドを覆うドームの内側を周回する。

イギリスのバンド、ジャンゴ・ジャンゴ英語版の曲「WOR」のミュージック・ビデオには、イラーハーバードのマハ・クンブ・メーラ・グラウンド (the Maha Kumbh Mela Grounds) におけるウォール・オブ・デスの映像と、一部のドライバーへのインタビューが盛り込まれている。

2009年ナショナルジオグラフィック協会が選んだ最も人気の高い画像のひとつは、ウォール・オブ・デスを捉えたものであった[23]


  1. ^ The Harley-Davidson Reader. Jean Davidson, Hunter S. Thompson, Sonny Barger. MotorBooks International, 15 Aug 2006
  2. ^ Mahanakorn's Physics Magic: The Wall Of Death. Retrieved on 2015-10-12.
  3. ^ "The Pictorial History of the American Carnival - Volume 1" by Joe McKennon
  4. ^ d’Orléans, Paul (2015年11月4日). “1915 'RACE FOR LIFE' - THE FIRST 'WALL OF DEATH'?”. Paul d’Orléans. 2017年8月15日閲覧。
  5. ^ The Kursaal Flyers, Nick Corble, Essex Life, February 2007
  6. ^ Ken Fox Hellriders: a Journey With the Wall of Death Gary Margerum, The History Press April 1, 2012. ISBN 0752465732
  7. ^ Demon Drome Wall of Death”. 2017年2月1日閲覧。
  8. ^ new home page”. 2017年2月1日閲覧。
  9. ^ Neena Sharma, Well of Death faces extinction, The Tribune, Chandigarh, India - Dehradun Plus
  10. ^ S. Harpal Singh (2005年12月15日). “Defying death in `maut ka kuan'”. The Hindu. 2017年8月18日閲覧。
  11. ^ 'Well of Death' carnival show in India at PoeTV.com
  12. ^ ਸਾਂਝਾ ਪੰਜਾਬ ਕਿਸ਼ਤ-26, Punjabi Newspaper Ajit
  13. ^ India's 'well of death', Reuters
  14. ^ 手塚耕一郎 (2016年9月11日). “フォトスクランブル:ワールドオートバイサーカス 樽の中の妙技に歓声”. 毎日新聞・北海道: p. 26  - 毎索にて閲覧:手塚耕一郎 (2016年9月10日). “オートバイサーカス たるの中で曲芸、見る絶叫マシン!”. 毎日新聞社. 2017年8月19日閲覧。
  15. ^ a b 宮﨑健太郎 (2015年4月23日). “ケリさんの職場は「ウォール・オブ・デス」なのdeath!!”. ロレンス. 2017年8月20日閲覧。
  16. ^ a b オートバイサーカス〜21世紀に残る見世物興行の世界〜”. ジェイ・ブイ・ディー. 2017年8月20日閲覧。
  17. ^ 塚田敏信 (2016年11月4日). “(まち歩きのススメ)神仏編 栗山天満宮例大祭の露店 心躍る、ずらり300店”. 朝日新聞・夕刊・北海道: p. 6  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  18. ^ 第33作 男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎”. 松竹. 2017年8月19日閲覧。
  19. ^ ecofilms web site, Thessaloniki Documentary Film Festival web site
  20. ^ ΠΡΟΓΡΑΜΜΑ 5ου FESTIVAL CULT ΕΛΛΗΝΙΚΟΥ ΚΙΝΗΜΑΤΟΓΡΑΦΟΥ”. 2017年2月1日閲覧。
  21. ^ Richard & Linda Thompson – Shoot Out The Lights - Discogs (発売一覧)
  22. ^ Richard Thompson's website
  23. ^ Shirley, Chris (2016年12月14日). “Daredevil, India”. Photo of the Day (National Geographic). http://www.nationalgeographic.com/photography/photo-of-the-day/2009/12/daredevil-india-pod-best09/ 





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