アメリカ本土砲撃 アメリカの反応

アメリカ本土砲撃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 14:33 UTC 版)

アメリカの反応

情報管制

1942年6月21日にフォート・スティーブンスへの攻撃を受けた際に、アメリカ政府は自国の基地が攻撃を受けた事実こそ認めたものの、国民の動揺を防ぐためと防諜上の理由から攻撃を受けた基地名を公表しないようマスコミに指示を出した。

また、9月にオレゴン州に空襲を受けた際にも、太平洋戦線における相次ぐアメリカ軍の敗北と、相次ぐ自国本土への攻撃に意気消沈する国民に対する精神的ダメージを与えないために、軍民に厳重な緘口令を敷きこの空襲があった事実そのものを極秘扱いにした。しかし、まもなくマスコミに知れ渡ることになり、当時太平洋戦線で負け続きであったアメリカ国民を大いに怯えさせることとなった。

政府と軍への非難

日米間の開戦後に、サンフランシスコロングビーチサンディエゴ等の西海岸の主要な港湾においては、日本海軍機動部隊の襲来や陸軍部隊の上陸作戦の実行を恐れて、陸海軍の主導で潜水艦の侵入を阻止するネットや機雷の敷設を行った他、その他の都市でも爆撃を恐れ、防空壕を作り、防毒マスクの市民への配布などを行っていた。

しかし、数度に渡る潜水艦による砲撃作戦の成功のみならず、沿岸での通商破壊戦が行われたことに対して、アメリカ陸海軍がさしたる反撃すらできなかったことに対して、アメリカ国民からは政府と軍の防衛体制に対して批判が相次いだ。

ロサンゼルスの戦い

「ロサンゼルスの戦い」を報じるロサンゼルス・タイムス

なお上記のように、日本海軍の潜水艦によるエルウッド石油製油所への砲撃作戦が実施された翌々日には、同じ南カリフォルニアのロサンゼルスにおいて、アメリカ陸軍が観測気球らしき飛来物を日本軍の航空機と誤認し、多数の対空砲火を行った「ロサンゼルスの戦い」が発生した。

一般市民は「日本軍の真珠湾攻撃は気を抜いたアメリカ海軍の失態」であるとして、この事件における陸軍の対応を支持するなど[要出典]、相次ぐ日本軍の襲来を受けた世論の沸騰を受けて西海岸における防空体制はさらに強化されることとなった[要出典]

哨戒体制強化

この一連の砲撃と空襲作戦の成功以降、西海岸地域を問わずアメリカの全ての沿岸部における哨戒活動および防空が厳重なものとなり、サンフランシスコロングビーチサンディエゴ等の西海岸の主要な港湾においては、日本海軍機動部隊の襲来や陸軍部隊の上陸作戦の実行を恐れて、陸海軍の主導で潜水艦の侵入を阻止するネット機雷の敷設を行った他、その他の都市でも爆撃を恐れ、防空壕を作り避難訓練を実施をし、灯火管制を行い映画館ナイトクラブの夜間の営業停止、防毒マスクの市民への配布などを行っていた。さらには西海岸沿岸地域に住む子供たちの学童疎開が検討された。

日系人の強制収容の正当化

なお、この一連の砲撃と空襲作戦の過程においては、日本人移民日系アメリカ人の関与、協力などは何もなかったにも拘らず成功を収めたことから、人種差別的指向を持ち、さらに日本軍の上陸を恐れていたフランクリン・ルーズベルト大統領の命令により、1942年2月からハワイを除くアメリカ全土で行われていた日系人の強制収容を正当化する口実の1つになった[6]


  1. ^ a b c 『歴史群像アーカイブ Filing book』VOLUME 9 帝国海軍太平洋作戦史 1、学習研究社〈歴史群像シリーズ〉、2009年、99頁。ISBN 978-4056056112
  2. ^ a b c Attack on Ellwood – Goleta History
  3. ^ 実際の攻撃の様子は、伊17に乗艦して作戦に参加した南部伸清の手記『米機動部隊を奇襲せよ。潜水空母「401」艦長の手記』(二見書房1999)に詳しく記載されている。
  4. ^ a b Bombs Fall on Oregon: Japanese Attacks on the State” (英語). Life on the Home Front. 2015年3月25日閲覧。
  5. ^ 帝国海軍太平洋作戦史 2009, p. 102
  6. ^ 産経新聞「ルーズベルト秘録」取材班『ルーズベルト秘録』上、産経新聞ニュースサービス〈扶桑社文庫〉、2001年、[要ページ番号]ISBN 4-594-03318-0
  7. ^ エーリヒ・ギンペル『Uボートで来たスパイ あるナチス・ドイツ諜報員の回想』村田綾子(訳)、扶桑社、2006年、[要ページ番号]ISBN 4594051219






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