アブル・ファラジュ・イスファハーニー アブル・ファラジュ・イスファハーニーの概要

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アブル・ファラジュ・イスファハーニー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/09 09:36 UTC 版)

アブル・ファラジュ著『歌の書』挿絵。13世紀に作成された写本。

生涯

ウマイヤ朝最後のカリフであるマルワーン2世から数えて8代目の子孫である[1]。先祖はアッバース家の攻撃を逃れてイラクのブワイフ家の保護を受け、アブル・ファラジュはイスファハーンに生まれた。

やがて、アッバース朝のカリフ・ラシード期の音楽家、イブラーヒーム・マウシリー英語版がまとめた100首の詩と楽譜などをもとにして、古代からアッバース朝にいたるアラブ人の詩歌の伝記集成を編纂する[1]。これが『歌の書』(Kitāb al-Aghānī)であり、アラブ音楽、詩人、音楽家を中心とした逸話や風俗が盛りこまれた百科全書的な内容で21巻の大部となった。

『歌の書』の執筆には50年を要し、完成した際には、ハムダーン朝のサイフ・アッダウラに献上された[3]。サイフ・アッダウラは彼に金貨1000枚を与え、それでも足りないと考えて詫びた。アンダルスハカム2世もこれを欲し、金貨1000枚をアブル・ファラジュに贈って写本を入手しようとした。ブワイフ家の宰相だったイスマーイール・ビン・アッバードは、30頭のラクダで書物を運ぶのを常としていたが、『歌の書』を手に入れてからはこれのみですませたという。イブン・ハルドゥーンは『歴史序説』において、この書を「アラブ人の文書庫」として賞賛している。

参考文献

関連項目

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