くしゃみ くしゃみの概要

くしゃみ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/27 15:27 UTC 版)

くしゃみ
シャドーグラフ英語版によるサージカルマスク、N95マスクなどを付けた場合のエアロゾル視覚化比較

原因

くしゃみの基本的な機能は二つある。一つは、体温を上げるための生理現象である。人は、吸気があっても、吐気で鼻腔(鼻の穴)内の体温を保とうとするが、鼻腔内の体温が著しく下がったとき、鼻腔内の知覚神経は脳に体を振動させて体温を上げる命令を出す。これがくしゃみである。二つめは、鼻腔内の、異物を体外に排出するための噴出機能である。

鼻腔内には、埃などを知覚しヒスタミンを出して脳が排出するよう判断する機能はあるが、ウイルスに対する知覚機能ではないため、鼻腔など上気道に付着したウイルスなどの異物を激しい呼気とともに体外に排出しようとして起こる呼吸器における反射的な反応ではない。くしゃみが続く現象は、鼻腔に接続する血管や、毛細血管の狭窄やつまりによって、鼻腔内の体温の継続的な格差が生じるためである。くしゃみをする原因としては物理的な刺激(鼻粘膜毛髪などで刺激する、冷気を吸うなど)や刺激物質の吸引、アレルギー反応などがある。風邪花粉症などのアレルギー性鼻炎の人でも一般的な症状である。また激しい光刺激(突然の強い太陽光 等々)でも発生することがある(光くしゃみ反射)。

アレルギーによらずに埃や冷気を急に吸い込むなどした物理的な刺激によるものも、ほぼ同様にして反射が起こる。通常は連続することは少ないが、自律神経の異常や精神的ストレスなどが原因で、アレルギーではないにもかかわらず過剰に反応することがある(血管運動性鼻炎)。風邪の場合は、炎症により鼻の粘膜が過敏になっているために発生する。

化学的刺激でも起きる場合がある[注釈 1]胡椒の粉末を吸い込んだ場合などは、異物が付着したという物理的刺激のほか、胡椒自体の刺激性物質による化学的刺激もあるためくしゃみが発生しやすい。

人為的には、花粉症などアレルギー性鼻炎の患者の鼻腔内にヒスタミンを噴霧することにより、ほぼ30秒以内にくしゃみを発生させることができる。また、こよりなどで鼻腔を刺激することでもくしゃみを発生させることができる(出かかったくしゃみが途中で止まってしまいすっきりさせたい場合にわざと行われることがある)。

メカニズム

くしゃみ反射の詳細なメカニズムは完全には明らかになっていないが、例えばアレルギー性鼻炎の場合は、アレルゲンの吸入により肥満細胞からヒスタミンなどが分泌され、それが鼻粘膜における知覚神経である三叉神経終末にあるヒスタミン受容体(H1受容体)と結合する。そこから求心性インパルスが延髄くしゃみ中枢へ伝わり、刺激を受けたくしゃみ中枢から遠心性インパルスが各種神経を通って呼吸筋(横隔筋、肋間筋など)、喉頭筋、顔面筋へと伝わりくしゃみが起こる。

なお、くしゃみは不随意運動ではあるが、演技でくしゃみ反応と同様の動作を意図的に行うことは可能であり、コントやコメディ(喜劇)などでも使われる。例えば日本では加藤茶の持ちネタの一つである。


注釈

  1. ^ 化学的刺激によりくしゃみ等を誘発する毒ガス・催涙ガスがある。くしゃみ反応は不随意運動であり「自力で抑制する」ことができないため、これを誘発することで行動力を奪い、自衛や攻撃に利用するというもの。
  2. ^ これがさらに砕けて、ちくしょう、べらんめえ等となり20世紀まで伝わったとの説もある。
  3. ^ もっとも、日本本土でも高度成長期以前は、庶民が乳幼児医療で医者にかかることはまれであった。

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