キャットニップ (筑摩薄荷)
イヌハッカ
(catnip から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/06/07 15:11 UTC 版)
| イヌハッカ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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1. 花序
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| 分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| Nepeta cataria L., 1753[2][3] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| イヌハッカ(犬薄荷)[4]、チクマハッカ(筑摩薄荷、千曲薄荷)[2][5]、キャットニップ[6][7] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| catnip[8], catmint[8][注 1], catwort[8] |
イヌハッカ(犬薄荷、学名: Nepeta cataria)は、シソ科イヌハッカ属の多年草の1種である。日本では古くから長野県筑摩地方で知られ、チクマハッカともよばれる。本種はイヌハッカ属(Nepeta)のタイプ種であり[11]、カール・フォン・リンネの『植物の種』で記載された種、つまり最初に学名がつけられた種の一つである[3]。高さ40–150センチメートルになり、葉は対生し、粗い鋸歯がある。花期は夏、白色から淡紫色で紫色の斑点がある唇形花からなる断続的な花穂を茎頂につける(図1)。ヨーロッパから東アジア原産とされ、日本では筑摩地方のものは自生とも古くの帰化ともされ、その他の地域にも散発的に帰化している。ハーブとして利用され、風味付けや民間薬に利用される。ネコを誘引する効果がある精油(ネペタラクトン)を有し、学名の種小名 cataria は、ラテン語で「ネコの」を意味する[12]。また英名のcatnipは「ネコが噛むもの」を意味し、日本でもキャットニップとよばれることがある。
特徴
多年生の草本であり、高さ40–150 cm[3][13][14](図1, 2a)。茎は直立して分枝し、微細な白毛が密生し、横断面は四角で中空[13][14][15](図2b)。葉は対生し、毛が生えており、葉柄は長さ 0.5–3 cm、葉身は三角状卵形で 2–7 × 1–4.7 cm、基部は心形で先端は鋭頭、葉縁には粗い鋸歯があり、裏面は白色を帯びる[3][13][14][15](図1, 2)。
植物体には芳香(やや悪臭ともされる[15])があり、精油としては(4a-α,7-α,7a-β)および(4a-α,7-β,7a-α)ネペタラクトンを多く含み、ほかにクリプトン、α-ピネン、イソリモネン、カリオフィレンオキシドなどを含む[16]。
花期は夏(日本では7–8月)、花は茎の先に集まって長さ 2–4 cm の断続的な花穂を形成する[3][13][14](図1, 3a)。苞と小苞は小さい[3]。萼は毛で覆われ、15脈があり、ほぼ等しく5裂するが背面の3裂片がやや長く、萼裂片先端はいずれも細く尖る[3][13][14](図2a, 3)。花冠は白色から淡紫色、毛が生えており、唇状で長さ 8–10 mm、上唇は直立し浅く2裂し、下唇は3裂し、中央裂片は大きく、紫色の斑点があり、先端は7–8歯に分かれる[3][13][14](図1, 2a, 3)。雄蕊は4個、二長雄蕊、葯は紅紫色、葯室は水平に開出する[13][14](図3b, c)。雌蕊は1個、柱頭は2裂する[14]。果実は4個の分果からなる分離果であり、萼で包まれ、分果は長球形で稜がなく、黒褐色で白い着点が目立ち、やや扁平で平滑、長さ約 1.5 mm[3][13][14]。染色体数は 2n = 32, 34, 36[3][13]。
分布
自生地はヨーロッパから中近東、中央アジア、中国、朝鮮半島とされ[3]、日本では長野県筑摩地方のものは自生とも古い時代の帰化植物とも考えられている[13][14]。北欧、ロシア極東部、北米、南米、ニュージーランドにも帰化している[3]。日本でも長野県以外の北海道から九州の低地に散発的に見られるが、多くは人家付近に限られており、かつて眼薬として利用されていたことから、薬草として栽培されていたものが逸出したと考えられている[13][14]。
人間との関わり
ハーブ
強いミント系の香りとかすかな渋みがあり、葉や花はハーブとして用いられる[7]。スープやソースの風味付けに用いられる[6]。ポプリなどにすることもあり、またネコのおもちゃにすることもある(下記参照)[17]。またハーブティーは発汗作用があり、風邪の初期に有効とされ、また精神安定、頭痛緩和、消化促進などの働きがあるとされる[7]。ただし妊娠・授乳中や子供は避けるべきとされる[6]。また幻覚作用を引き起こすことがあり、多用は厳禁とされる[6][10]。日本では長野県筑摩地方で古くから知られており、眼の民間薬として利用されていた[4]。
ハーブとしての利用のために栽培されることもある[6][18]。丈夫で繁殖力が強く、地植えや鉢植えにされ、苗や種子、挿し木、株分けによって増やす[18]。葉を多く収穫するためには、摘芯や切り戻しを行い、つぼみがつき始めたら枝ごと刈り取って陰干しにする[18][17]。また、アブラムシやハムシの被害を減らすコンパニオンプランツとしても使われる[10]。
ネコとの関わり
本種は香りが強いが、特に精油の主成分であるネペタラクトンはネコのフェロモンに似ているとされ、ネコを呼び寄せる効果がある[6][7]。そのため、この葉を用いたネコ用のおもちゃも作られている[6][19]。英名のcatnip(キャットニップ)は「ネコが噛むもの」を意味する[20]。日本ではネコが好む植物としてはマタタビがよく知られており、イヌハッカを「西洋マタタビ」とよぶこともある(両種は分類学的には全く異なる)が、マタタビよりも効果は弱い[21]。
脚注
注釈
出典
- 1 2 3 米倉浩司 (2019). 新維管束植物分類表. 北隆館. p. 226–230. ISBN 978-4-8326-1008-8
- 1 2 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Nepeta cataria L. イヌハッカ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2026年6月2日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 WFO (2026年). “Nepeta cataria L.”. World Flora Online. 2026年5月22日閲覧。
- 1 2 「イヌハッカ」『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』。コトバンクより2026年6月6日閲覧。
- ↑ 「千曲薄荷」『動植物名よみかた辞典 普及版』。コトバンクより2026年6月7日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 岩槻秀明 (2007). “キャットニップ”. 身近にあるハーブがよーくわかる本. 秀和システム. p. 191. ISBN 9784798016931
- 1 2 3 4 林真一郎 (2021). “キャットニップ”. アロマ&ハーブ大事典. 新星出版社. p. 108. ISBN 978-4405094031
- 1 2 3 {Cite GBIF|id=5341499|taxon=Nepeta cataria L.|access-date=2026-06-06}}
- ↑ “イヌハッカ”. みんなの趣味の園芸. NHK出版. 2026年6月7日閲覧。
- 1 2 3 “キャットニップ”. 東邦大学薬学部付属 薬用植物園. 2026年6月7日閲覧。
- ↑ Homrani Bakali, A., Dirmenci, T., Celep, F., & Drew, B. T. (2026). “Pitardia resurrected: A new member of subtribe Menthinae (Lamiaceae)”. Taxon 75 (1): e70053. doi:10.1002/tax.70053.
- ↑ Fazil, H. & Porwal, O. (2022). “Catnip (Nepeta cataria L.): Recent advances in pharmacognosy, cultivation, chemical composition and biological activity”. Journal of Drug Delivery & Therapeutics 12 (4-S): 254-263. doi:10.22270/jddt.v12i4-s.5559.
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 米倉浩司 (2017). “イヌハッカ属”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 5. 平凡社. pp. 136–137. ISBN 978-4582535310
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 長田武正 (1976). “イヌハッカ”. 原色日本帰化植物図鑑. 保育社. p. 134. ISBN 978-4586300532
- 1 2 3 清水矩宏・森田引彦・廣田伸七 (2001). “イヌハッカ”. 日本帰化植物写真図鑑. 全国農村教育協会. p. 273. ISBN 978-4881370858
- ↑ Ashrafi, B., Ramak, P., Ezatpour, B., & Talei, G. R. (2019). “Biological activity and chemical composition of the essential oil of Nepeta cataria L.”. Journal of Research in Pharmacy 23 (2): 336-343. doi:10.12991/jrp.2019.141.
- 1 2 “キャットニップ(イヌハッカ)の育て方・栽培方法”. LOVEGREEN. 2026年6月7日閲覧。
- 1 2 3 ブティック社編集部, ed (2019). “キャットニップ”. 改訂版ビギナーシリーズはじめて育てるハーブ. ブティック社. p. 43. ISBN 978-4834775600
- ↑ ハーブ事典 ハーブを知りつくすAtoZ 文化出版局 レスリー・ブレムネス 1999年p64
- ↑ 「キャットニップ」『デジタル大辞泉』。コトバンクより2026年6月7日閲覧。
- ↑ “キャットニップの使い方”. sincerejapan (2025年7月3日). 2026年6月7日閲覧。
参考文献
- “キャットニップ”. 東邦大学薬学部付属 薬用植物園. 2026年6月7日閲覧。
- “キャットニップ(イヌハッカ)の育て方・栽培方法”. LOVEGREEN. 2026年6月7日閲覧。
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