チピラシルとは? わかりやすく解説

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チピラシル

(Tipiracil から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/29 14:59 UTC 版)

IUPAC命名法による物質名
臨床データ
ライセンス EMA:リンク
薬物動態データ
生物学的利用能 ≥27%
血漿タンパク結合 <8%
代謝 10
半減期 2.1–2.4 hrs
排泄 Faeces (50%), urine (27%)
識別
CAS番号
183204-74-2
183204-72-0 (HCl)
PubChem CID: 6323266
DrugBank DB09343
ChemSpider 13243748
UNII NGO10K751P 
KEGG D10467
ChEBI CHEBI:90879 
ChEMBL CHEMBL235668
化学的データ
化学式 C9H11ClN4O2
分子量 242.66 g·mol−1
物理的データ
水への溶解量 5 mg/mL (20 °C)
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チピラシル(Tipiracil)は、癌の治療に用いられる医薬品である。切除不能な進行・再発の結腸直腸癌の治療に、トリフルリジン・チピラシルの配合剤の形で使用承認されている[1]。チピラシルは、トリフルリジンを代謝する酵素チミジンホスホリラーゼ英語版を阻害することで、トリフルリジンの血中濃度を維持する役割を担う[1][2]

副作用

単剤での副作用は知られていない。

相互作用

In vitro での相互作用の研究のみが利用可能である。これらの研究では、チピラシルは、溶質キャリア英語版(SLC)タンパク質であるSLC22A2英語版およびSLC47A1英語版によって輸送されることが判明した。これらの輸送体と相互作用する薬剤は、チピラシルの血中濃度に影響を与える可能性がある[3]

作用機序

チピラシルはチミジンホスホリラーゼ(TPase)阻害剤であり、TPaseを阻害することでトリフルリジンの分解を抑制するため、チピラシルをトリフルリジンと併用した場合、トリフルリジンの全身曝露量が増加する[3]

薬物動態

チピラシルの少なくとも27%は腸から吸収される。癌患者では、3時間後に最高血中濃度に達する。この物質は体内に蓄積される傾向はない。ヒト血漿でのin vitro タンパク結合率は8%以下である。チピラシルは、シトクロムP450(CYP)酵素では代謝されない。僅かに6-ヒドロキシメチルウラシルに加水分解されるが、主な部分は未変化体のまま糞便(50%)および尿(27%)に排泄される。排泄半減期は1日目に2.1時間、12日目に2.4時間とやや増加する[3][4]

チピラシルは、トリフルリジンのCmax(最高血中濃度)を22倍、曲線下面積を37倍に増加させる[3]

COVID-19

チピラシルはSARS-CoV-2のNsp15を阻害し、酵素の活性部位のウリジン結合ポケットと相互作用することが、結晶学、生化学、全細胞を用いたアッセイにより明らかになっている[5]。SARS-CoV-2の主要なプロテアーゼを標的とした非常に有望なヒット化合物として、計算機による薬物再利用研究で提案されていた[6]

参考資料




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