MAPKシグナル伝達カスケード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 14:36 UTC 版)
「制限点」の記事における「MAPKシグナル伝達カスケード」の解説
細胞外の成長因子が対応する受容体型チロシンキナーゼ(RTK)に結合すると、RTKのコンフォメーション変化が開始され、二量体化とチロシン残基の自己リン酸化が促進される。リン酸化されたチロシン残基はSH2ドメインを含むタンパク質(Grb2(英語版)など)のドッキングを促進し、その後これらは他のシグナル伝達タンパク質を細胞膜へリクルートし、シグナル伝達キナーゼカスケードを開始する。RTKに結合したGrb2はSos(英語版)を結合する。Sosはグアニンヌクレオチド交換因子であり、膜結合型のRasを活性型へ変換する(Ras-GDP ⟶ {\displaystyle \longrightarrow } Ras-GTP)。活性型RasはMAPキナーゼカスケードを活性化する。RasはRafを結合して活性化し、RafはMEK(英語版)をリン酸化して活性化し、MEKはERK(MAPKとしても知られる)をリン酸化して活性化する(MAPK/ERK経路(英語版)も参照)。 活性型ERKは核へ移行し、そこで転写因子である血清応答因子(英語版)(SRF)などの複数の標的を活性化し、最初期遺伝子(英語版)、特に転写因子FosやMycなどの発現を引き起こす。Fos/Jun(英語版)二量体は転写因子複合体AP-1を構成し、主要なG1期サイクリンであるサイクリンD1など遅れて応答する遺伝子群の活性化を担う。また、Mycは増殖や成長を促進するさまざまな遺伝子の発現を調節し、サイクリンD2(英語版)やCDK4の誘導の一部も担う。さらに、持続的なERK活性はCDK2のリン酸化と核局在に重要なようであり、R点の通過のさらなるサポートを行う。
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