リポアトロフィー

脂肪萎縮
【概要】 HAARTに成功してウイルスが抑制され、CD4細胞数が回復しているのに、顔面、腕、下肢、臀部の末梢皮下脂肪のやせが起こり、同時に内臓脂肪の蓄積が起こることが注目された。顔面の脂肪萎縮は容貌の変化に結びつくのでQOLを悪くする。脂肪萎縮と脂肪蓄積が同時に起こり、脂肪異栄養症(リポジストロフィー)と命名された。同じ人に同時に発生するとはかぎらず、現在は萎縮と蓄積は別と考えられている。
【詳しく】 HIV抑制が困難であった頃のHIV関連消耗症候群(別名ウェイスティング症候群)と脂肪萎縮症は区別される。長期間の治療、特にプロテアーゼ阻害剤が原因と考えられているが、同剤を含まないレジメンでも発生しており核酸系逆転写酵素阻害剤、ことにスタブジン(d4T)が疑われている。身体計測など脂肪萎縮を定量的に他覚的に評価する方法がない。対策としては、治療開始を遅らせる傾向、d4Tを他剤に変更、プロテアーゼ阻害剤をエファビレンツに変更などがとられている。良くなったというものも変わらないというものもある。短期間に確実な結果が得られるのは、自家脂肪組織を頬に充填する美容外科的手術である。
《参照》 リポジストロフィー

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