Limnologyとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Limnologyの意味・解説 

湖沼学

(Limnology から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/01 02:57 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

湖沼学(こしょうがく、: limnology)とは、陸水学の一分野で、湖沼の様々な性質を総合的に研究することを目的とする科学である。その範囲は地理学物理学地形学地質学気象学水理学化学熱学光学生物学生態学などの他、歴史航行漁業にいたるまでとする。たとえば物理学的な研究は水位、水温水色透明度、静振、湖流などの研究が挙げられる。

Limnologyという言葉は本来湖沼学を指してきたが、1931年(昭和6年)に日本陸水学会が設立された際、訳語により広い意味を持つ陸水学と言う造語を充てたため、limnologyは狭義では湖沼学、広義では陸水学を指すと解釈されるようになった。

歴史

湖沼学の歴史は、スイスフランソワ=アルフォンス・フォーレルが先駆けであり、ドイツアウグスト・ティーネマンスウェーデンアイナル・ナウマンによって総合湖沼学が体型づけられた。その後オーストリアフランツ・ルットナーら多くの学者により世界中の湖沼が調査された。

日本における湖沼学の歴史は、田中阿歌麿山中湖の測深をおこなった1899年(明治32年)を嚆矢とし、その後田中館秀三、宮地伝三郎吉村信吉らにより、大いに飛躍した。第二次世界大戦後は、陸水学の他分野や地質学および自然地理学の影響を受けた。とりわけ第四紀学の影響を受け、第四紀地殻変動気候変動との関連の研究も行われた。

関連項目

参考文献

外部リンク


陸水学

(Limnology から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/03 13:18 UTC 版)

陸水学(りくすいがく、Limnology)とは、科学的な手法によってあらゆる内陸水(ないりくすい、: inland waters)を調査・研究する学問である。生態系としての陸水の構造と機能の解明を主目的とする総合科学であり、ダム湖渓流河川温泉湿地河口域地下水ならびに雪氷等を対象としている(海洋学海洋を対象としている)[1]

概説

当初は、主に湖、沼、池、河川等の内陸の比較的身近な水塊が研究対象とされてきた[1]。しかし、測定手法の開発にともない、内陸部に存在するあらゆる水塊を対象とするようになった。近年では、他惑星の水塊も対象としている。陸水とは、海洋に対する語であり、内陸部に含まれる淡水塩水、つまり内陸水(ないりくすい、: inland waters)のことを示し、また、止水と流水を含める[2][3]

歴史

Limnology(陸水学)という言葉の語源は、ギリシャ語λίμνη(limne), "lake"(湖)とλόγος(logos), "knowledge"(学術・学科)に由来しており、レマン湖(Lake Geneva)の調査により当分野を開拓したフランソワ=アルフォンス・フォーレル(François-Alphonse Forel)(1841-1912)によって用いられた[4]。フォーレルの陸水学の定義は、“湖の海洋学”であり、これは全ての内陸水研究を含み、拡張された。

陸水学の原語Limnologyは元来、湖沼学を意味してきたが、1921年アウグスト・ティーネマン(August_Thienemann)(ドイツの動物学者)とアイナル・ナウマン(Einar_Naumann)(スウェーデンの植物学者)は一層広い意義に解釈し、現在では、湖沼だけでなく陸水全般に関する科学として定義づけられている[5]。その後、1922年にティーネマンとナウマンが国際理論応用陸水学会(SIL-International Society of Limnology)を共同設立した。

日本国内において、陸水学という国語は、1931年6月2日の日本陸水学会創立発起人会で、新たに選定された。発案者は発起人のひとり川村多実二である[6]。内陸水あるいは内陸水域を簡略に陸水としたのであって、英語のinland watersに相当する。

陸水学は淡水科学に等しく扱われることもあるが、陸水学は内水塩湖の研究も含んでいるため、これは誤りである。陸水学の目標は、本来、陸水の基本原理を解明する基礎陸水学にあり[1]、その発展のなかから物質循環や生態系など、後の環境科学の基礎となる重要な諸概念が生み出され、人間と深く関わりのある応用陸水学もその重要性を増してきた[1]

著名なアメリカの初期の陸水学者にはジョージ・イヴリン・ハッチンソンエドワード・スミス・ディーベイ・ジュニア英語版エドワード・アサエル・バージ英語版チャンシー・ジュデイ英語版、そしてアーサー・D・ハスラー英語版らがいる。

日本では1899年に山中湖の測深をおこなった田中阿歌麿などの研究がその始まりとされている[7][1]

脚注

  1. ^ a b c d e 日本陸水学会 (2006-03-31). 陸水の事典. 講談社. p. 487. ISBN 4-06-155221-X 
  2. ^ A.J.Horne and C.R. Goldman: Limnology (1994), ISBN 0-07-023673-9
  3. ^ Wetzel, R.G.:Limnology Lake and River Ecosystems (2001), 3rd ed. Academic Press, ISBN 0-12-744760-1
  4. ^ F.-A.Forel : LE LÉMAN (1895), monographie limnologique. LAUSANNE, F.ROUGE&Cie, EDITEURS.
  5. ^ 吉村信吉:湖沼学 (1937), 三省堂.
  6. ^ 上野益三:陸水学史 (1977), 培風館.
  7. ^ 日本陸水学会 陸水学(Limnology)とは, http://www.jslim.jp/?page_id=144 

参考文献

  • 陸水学(Limnology)とは”. 日本陸水学会. 2016年3月15日閲覧。
  • F.-A.Forel: LE LÉMAN (1895), monographie limnologique. LAUSANNE, F.ROUGE&Cie, EDITEURS.
  • Wetzel, R.G.:Limnology Lake and River Ecosystems (2001), 3rd ed. Academic Press, ISBN 0-12-744760-1
  • A.J.Horne and C.R. Goldman: Limnology (1994), ISBN 0-07-023673-9
  • B. Moss:Ecology of Fresh Waters (1998), Blackwell.
  • S. Horie(ed.): LAKE BIWA (1984), Dr. W. Junk Publishers.
  • Horn J.A.、Goldman R.C.『陸水学』京都大学出版会、1999年。 
  • 上野, 益三『陸水学史』培風館、1977年。 
  • 吉村, 信吉『湖沼学』三省堂、1937年。 
  • 西條, 八束、三田村, 緒佐武『新編 湖沼調査法』講談社サイエンティフィク、1995年。 

関連項目

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Limnology」の関連用語

Limnologyのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Limnologyのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの湖沼学 (改訂履歴)、陸水学 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS