LCAO法とは? わかりやすく解説

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LCAO法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/01 08:35 UTC 版)

LCAO法(LCAOほう、: Linear combination of atomic orbitals method)あるいは原子軌道による線形結合法とは、電子状態(分子軌道)を原子軌道波動関数線形結合量子力学重ね合わせとしての着想から)による計算手法のことである[1]

この場合、原子軌道が基底関数となっている。原子軌道はその原子に強く束縛された局在された軌道であり、隣合う軌道間の重なりは通常小さい。この意味で、LCAO法はタイトバインディング法とほぼ等価として扱われることがある。比較的扱い易い計算手法であるが、原子軌道同士の重なりの部分(重なり積分)の扱いが計算の負担となることがある。

LCAO法は、ジョン・レナード=ジョーンズによって周期表の第2周期の2原子分子における結合の描写と共に1929年に導入されたが、それより前にライナス・ポーリングによってH2+に対して用いられていた[2][3]

数学的記述は以下の通りである。

最初の仮定は、分子軌道の数は線形展開に含まれる原子軌道の数に等しい、というものである。つまり、n個の原子軌道が組み合わさり、n個の分子軌道(i = 1からnと番号付けされる)が作られる。i番目の分子軌道の式(線形展開)は

点群におけるそれぞれの操作が分子に対して行われる。変化しない結合の数がその操作の指標である。この可約表現は既約表現の和へと分解される。これらの既約表現は関与する軌道の対称性と対応する。

分子軌道ダイアグラムによって単純な定性的LCAO取扱いを図示することができる。

定量的理論としてはヒュッケル法拡張ヒュッケル法パリサー・パー・ポープル法がある。

脚注

  1. ^ Huheey, James (1997). Inorganic Chemistry: Principles of Structure and Reactivity (4 ed. ed.). Prentice Hall. ISBN 978-0060429959 
  2. ^ Werner Kutzelnigg (1996). “Friedrich Hund and Chemistry”. Angew. Chem Int. Ed. 35 (6): 572–586. doi:10.1002/anie.199605721. 
  3. ^ Robert S. Mulliken (1967). “Spectroscopy, Molecular Orbitals, and Chemical Bonding”. Science 157 (3784): 13-24. doi:10.1126/science.157.3784.13. 

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