Fenitrothionとは? わかりやすく解説

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フェニトロチオン

分子式C9H12NO5PS
その他の名称アコチオン、スミチオン、ホリチオン、メタチオン、ジコフェン、ベルチオン、アグロチオン、フェンスタン、フェニトロチオン、メチルニトロホス、メタチオンE-50MEP【農薬】、Dicofen、Fenstan、Verthion、Accothion、Agrothion、Folithion、Metathion、Sumithion、Fenitrothion、Metathion E-50、Methylnitrophos、Phosphorothioic acid O,O-dimethyl O-(3-methyl-4-nitrophenyl)、MEPpesticide】、Thiophosphoric acid O,O-dimethyl-O-(3-methyl-4-nitrophenyl) ester、Thiophosphoric acid O,O-dimethyl O-(3-methyl-4-nitrophenyl) esterMEP剤、MEP、Thiophosphoric acid dimethyl 3-methyl-4-nitrophenyl ester、Phosphorothioic acid O,O-dimethyl O-(3-methyl-4-nitrophenyl) ester、ガットサイドS、ガットキラー
体系名:チオりん酸O,O-ジメチル-O-(3-メチル-4-ニトロフェニル)、チオりん酸O,O-ジメチルO-(3-メチル-4-ニトロフェニル)、チオりん酸ジメチル3-メチル-4-ニトロフェニル、ホスホロチオ酸O,O-ジメチルO-(3-メチル-4-ニトロフェニル)


フェニトロチオン

農薬MEP
和名orISO名[商品名]フェニトロチオン(fenitrothion),スミチオン
分子式C9H12NO5PS
用途殺虫剤接触性)
LD50(ラット)/g kg-10.25
LD50(マウス)/g kg-10.715
劇毒区分指定なし
魚毒ランク
有機性320
無機225
農薬登録(1996年時点)1961年登録(日本)/承認ISO
その他温血動物対す毒性は低い
分子データ
» 「動く分子事典」の分子モデル表示の特性について、「生活環境化学の部屋」より補足説明をいただいております。

フェニトロチオン

(Fenitrothion から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/10 21:58 UTC 版)

フェニトロチオン
Fenitrothion
IUPAC名O, O-dimethyl O-(4-nitro-m-tolyl) phosphorothioate
別名MEP、スミチオン(商品名)
分子式C9H12NO5PS
分子量277.25
CAS登録番号122-14-5
形状黄褐色の液体
密度1.3 g/cm3, 液体
融点0.3 °C
沸点140-145(0.1mmHg) °C(分解温度)
水への溶解度不溶( 14 mg/L 30℃ )
SMILESCC1=C(C=CC(=C1)OP(=S)(OC)OC)[N+](=O)[O-]
出典国際化学物質安全性カード[1]
IPCS Environmental Health Criteria (EHC) No.133: Fenitrothion (1992)日本語訳[2]

フェニトロチオンMEPとも。英語: Fenitrothion)とは、住友化学が開発した有機リン有機硫黄殺虫剤の一種。1959年から使用されている[2]スミチオンの商品名で知られる。

用途

接触性・食毒性の殺虫剤として、農耕地や街路樹などのアブラムシアオムシカメムシを始めとする害虫防除に用いられる他、家庭用殺虫剤としてハエトコジラミの駆除[3]や、動物用医薬品シロアリ駆除剤としても使用される。

残留基準

残留基準は、小麦10.0ppm以下をはじめ、74種類の作物に対し0.05 - 10.0ppm以下と定められている。

毒性等

  • 定められた正しい使用方法を守る限り、農作物や使用者への安全性は十分に確保されており、ヒトや農作物いずれにも危被害は生じない[4]
  • フェニトロチオン(スミチオン)は哺乳動物の体内で速やかに代謝・分解され、容易に体外へ排泄される[5]性質を有する低毒性の殺虫剤である[6]
  • ラットを用いた経口毒性(LD50)は330mg/kg-1720mg/kgと、経口毒性は比較的弱い。ウサギを用いた眼刺激性試験において、眼刺激性は極めて軽度か又は刺激性は認められない。ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、皮膚刺激性も認められない。生殖細胞変異原性試験は、いずれの試験においても陰性。ラット・マウスを用いた発がん性試験(2年間の長期継続投与)でも発がん性は認められなかった。[7]
  • 自殺企図および誤飲事故による急性経口摂取中毒としてヒトに現れる症状としては、倦怠感、頭痛、吐き気、多量発汗、視力減衰、縮瞳など、有機リン剤に典型的な中毒症状がみられる。治療法としては、気管挿管による気道確保と、特異的拮抗薬としてアトロピンプラリドキシムヨウ化メチル(PAM=パム)の静脈投与を行う[8]
過去には千葉県でフェニトロチオン複合剤散布直後に水田に入った農夫が死亡した事例や、茨城県で住宅のダニ駆除にフェニトロチオン製剤を使用したところ一家全員に中毒症状が生じ、5歳の女児が死亡した事例がある。[要検証]
  • 可燃性(引火点157℃)であり、燃焼により窒素酸化物・リン酸化物・硫黄酸化物を含む有毒ガスを生じる。
  • 甲殻類を中心に、水生生物に対して強い毒性を示すほか、ミツバチに影響を及ぼす。養殖場や養蜂地の近辺では、使用に注意を払う必要がある。
  • 自動車塗装面を侵すため、広域散布や駐車場近辺の散布時には風向きを確認する必要がある。
  • アブラナ科植物(小松菜、大根、白菜、蕪、ブロッコリー、ストックetc)には薬害が出るので使用しないとともに、これら作物にドリフトしないよう注意して散布する必要がある。また、本剤を散布した器具でアブラナ科作物に農薬を散布しない。止むを得ない場合は当該器具をよく洗浄後、同器具で作物に清水を散布し、薬害の出ないことを確かめて使用する。
  • 散布されるとスミオキソンに変化し、一時的に殺虫力が強くなる。同物質は大気中から検出されてはならないので、特に空中散布する場合は注意を要する。

開発・流通

住友化学が開発し、1961年12月26日に農薬登録を受けた。以後、日本では60年以上にわたり使われている。原体生産量は4,110トン、単乳剤生産量431kL、単粉剤生産量1,637トン(いずれも1999年)。住友化学園芸の「スミチオン」や、複合剤として「オルトランC」「スミソン」「スミバッサ」「トラサイドA」「スミトップM」「オルチオン」の商品名で販売されている(複合剤には商品名に「スミ」のつく製剤が多い)。

ほぼ同等の成分の姉妹品で、対象をマツクイムシに特化した「スミパイン」、衛生害虫に特化した「プレミアムスミチオン」、ゴキブリ防除に特化した「ゴキアウトMC2」、カミキリムシに特化した「ガットキラー」や「ガットサイドS」、「サッチューコートS」も存在する。

脚注

参考文献

  • 『農薬毒性の事典』(改訂版)2002年三省堂 ISBN 9784385356044
  • IPCS Environmental Health Criteria(EHC)No.133: Fenitrothion(1992)

関連項目



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