ETと血管イベントについて最新の知見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 06:59 UTC 版)
「本態性血小板血症」の記事における「ETと血管イベントについて最新の知見」の解説
本態性血小板血症患者において、従来、血液の凝固に関わる血小板数が多ければ血栓症のリスクが高いと思われていたが、近年、ETにおいて血小板数の増加は血栓症リスクとの相関はなく、むしろ易出血傾向をもたらすことが多いと判明してきた。これは多すぎる血小板のために主要な凝固因子であるvon willebrand因子が消費されて減少し後天性von willebrand病状態になるからだと考えられている。この場合、治療によって血小板数が減少すると返って易出血傾向が改善されることが分かっている。 また、血栓症リスクについて従来の概念と違い白血球数が大きく相関していると考えられ始めている。近年(2007-2008)の報告(Carobbio他によるET患者439名、Hsiao他によるET患者53名の解析)によれば、ETにおける血栓症発症では白血球数が多い症例で明らかに血栓症の発症が多く、必ずしも血小板数の増加には相関はしていない。これらの報告では血栓症リスクが高いのはJAK2遺伝子変異陽性と白血球数増加、血小板数低値(100万/µL以下)であると結論されている。そのことから、ヒドロキシカルバミドが血栓症の減少に有意な効果があるのは血小板数よりも白血球数のコントロールによるものだとの見解も出ている。今後はET患者の血栓症リスクの評価には白血球数が重要と考えられるようになると思われる。
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