イギリス鉄道350形電車とは? わかりやすく解説

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イギリス鉄道350形電車

(Class 350 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 10:17 UTC 版)

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イギリス鉄道350形電車
基本情報
運用者 ウェスト・ミッドランズ・トレインズ
製造所 シーメンス クレーフェルト工場
製造年 2004年 - 2014年
製造数 4両編成87本
運用開始 2005年
主要諸元
電気方式 交流25000 V 50 Hz 架空電車線
直流750 V 第三軌条(350/1形のみ)
最高速度 110 mph (180 km/h)[1]
車体長 20.34 m[1]
車体幅 2.80 m[1]
台車 シーメンス SGP SF5000
主電動機 シーメンス 1TB2016-0GB02[1]
主電動機出力 250 kW[1]
編成出力 2000 kW
制御方式 IGBT-VVVF制御
制御装置 シーメンス SIBAS32
制動装置 空気ブレーキ回生ブレーキ
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イギリス鉄道350形電車(イギリスてつどう350がたでんしゃ、英語: Class 350)はシーメンスデジロUKファミリーに属するイギリス電車である。2004年から2014年にかけて4両編成87本が製造され、2021年現在すべての車両がウェスト・ミッドランズ・トレインズによって運行されている。

概要

350形の中で初めに製造された350/1形は、サウス・ウェスト・トレインズ向けの450形として発注されたものの一部を変更したものであった。2004年から2005年にかけて30本が製造され、セントラル・トレインズシルバーリンクの下で2005年に営業運転を開始した。最高速度は当初100 mph (160 km/h)であったが、2012年12月からは110 mph (180 km/h)となっている。

両社の跡を継いだロンドン・ミッドランド英語版は、2007年に350形37本を発注し、2008年から2009年にかけて営業運転に投入した。これらは350/2形と呼ばれ、主に短距離列車で運用されることから座席は350/1形のような2+2配列ではなく[2][3]、2+3配列となっている。製造時の最高速度は100 mph (160 km/h)であったが、350/1形との共通運用への投入のため、2018年に110 mph (180 km/h)対応となった[4][5]

2013年から2014年にかけてはさらに20本の350形が製造された。内訳はロンドン・ミッドランド向けが10本、ファースト・トランスペナイン・エクスプレス英語版向けが10本であり、前者が350/3形、後者が350/4形と付番された。

350形は450形に極めて類似している。最大の相違点は集電方式であり、450形が直流電車であるのに対し、350形は交流または交直流電車である。350形のうち、集電靴を装備しているのは350/1形のみであるが、それ以外の車両も改造は可能である。なお、2009年にはその能力を活かし、350/1形の一部がサザンに貸し出された[6]

350形のうち、350/2形には置換計画があるが、350/2形を所有するポーターブルーク英語版は2018年10月、非電化路線への転配のため蓄電池電車への改造を検討していることを明らかにしている[7][8]

運用

セントラル・トレインズ/シルバーリンク

2005年から2007年にかけてはセントラル・トレインズおよびシルバーリンクの2社(いずれもナショナル・エクスプレス英語版傘下)が350/1形30本を共同で使用していた。

セントラル・トレインズでは2005年6月に350形の営業運転を開始した[3]。投入先はバーミンガム - コヴェントリー英語版 - ノーサンプトン英語版間とバーミンガム - リヴァプール間であり、170形を置き換えた。また、バーミンガム - ウォルソール英語版間の列車についてもピーク時の一部がのちに350形による運行となった。

シルバーリンクでの350形の運用は2005年7月に開始された。運行区間はロンドン・ユーストン - ミルトン・キーンズ・セントラル英語版間およびロンドン・ユーストン - ノーサンプトン間であった[9]

ロンドン・ミッドランド

ロンドン・ミッドランド英語版

セントラル・トレインズおよびシルバーリンクの運行権が2007年11月に満了すると、350/1形とその運行区間はロンドン・ミッドランド英語版に引き継がれた。

ロンドン・ミッドランドは公約の一つとして新型車両の導入を掲げており、321形を置き換えるため350/2形37本を発注した。2008年12月には初めの10本が営業運転を開始し、最後の1本は2009年7月30日に引き渡された[10][11]

2012年には、輸送力増強のため350/3形10本が追加で発注され、2014年10月に営業運転を開始した[12][13]

ロンドン・ミッドランドの運行権は2017年12月に満了した。なお、この間、2008年から2009年にかけて350/1形の一部がサザンに貸し出された[6]

サザン

2009年には、350/1形の一部がロンドン・ミッドランドからサザンに貸し出された。これは、ファースト・キャピタル・コネクト向けの377/5形の導入遅れに伴ってサザン所有の377/2形が貸し出された穴を埋めるためのものであり、イースト・クロイドン英語版 - ミルトン・キーンズ・セントラル間で運用された[6]

ファースト・トランスペナイン・エクスプレス

ファースト・トランスペナイン・エクスプレス英語版

2013年から2014年にかけて、ファースト・トランスペナイン・エクスプレス英語版は350/4形10本を導入した。これはマンチェスター - ニュートン・ル・ウィロウズ英語版間の電化に伴うもので、アードウィック車両基地英語版に配置され、2013年12月30日に営業運転を開始した[12][14][15][16]。投入先はマンチェスタースコットランドウェスト・コースト本線経由で結ぶ系統であり、従来使用されていた185形のほとんどは他の系統の増発に回された[14]。同社の運行権は2016年に満了した。

トランスペナイン・エクスプレス

ファースト・トランスペナイン・エクスプレスが営業を終了すると、トランスペナイン・エクスプレスがその後を継いだ。同社は350形を置き換えるため、397形を発注し、350形は2019年夏から2020年4月にかけてウェスト・ミッドランズ・トレインズに転出した。

ウェスト・ミッドランズ・トレインズ

2017年12月、ウェスト・ミッドランズ・トレインズがロンドン・ミッドランドの跡を継いで営業を開始した。350形はロンドン・ミッドランド所属の車両すべてが同社に引き継がれており、加えて2019年から2020年にかけてトランスペナイン・エクスプレス所属車もすべてが転入した。

同社ではウェスト・コースト本線とその支線区の列車とそれ以外の列車を明確に分けており、総勢87本の350形は前者のロンドン・ノースウェスタン・レールウェイで運行されている。

350形のうち、350/2形については730形英語版の導入による置き換え対象となっている[17]

編成表

350/1形、350/3形、350/4形はエンジェル・トレインズ英語版が、350/2形はポーターブルーク英語版が所有している[1][18]

全車両がウェスト・ミッドランズ・トレインズによって使用されており、キングス・ヒース車両基地英語版に配置されている。

形式 運行事業者 編成両数 製造本数 製造年 編成番号 備考
350/1形 ウェスト・ミッドランズ・トレインズ 4両 30本 2004年 - 2005年 350101 - 130 交直両用
350/2形 37本 2008年 - 2009年 350231 - 267 置換予定
350/3形 10本 2014年 350368 - 377[19]
350/4形 10本 2013年 - 2014年 350401 - 410[19]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f Class 350 – Angel Trains”. angeltrains.co.uk. 2021年8月28日閲覧。
  2. ^ Desiro UK Class 350/1 Multiple Unit Archived 6 October 2011 at the Wayback Machine. - Siemens Mobility. Page 40. Retrieved 19 July 2011.
  3. ^ a b "Central Trains launches Class 350 EMU". Archived 2 October 2011 at the Wayback Machine. Railway Herald. Issue 11. Page 3. 10 June 2005. Retrieved 19 July 2011.
  4. ^ Porterbrook Class 350/2 Technical Information”. 2018年12月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年1月25日閲覧。
  5. ^ West Midlands Prospectus”. 2019年1月25日閲覧。
  6. ^ a b c Desiros for Loan to Southern Archived 28 September 2013 at the Wayback Machine. - Southern Electric Group. Retrieved 6 June 2013.
  7. ^ Porterbrook investigates battery-powered Desiros - Rail Magazine. Retrieved 2020-10-08.
  8. ^ Barrow, Keith (2018年10月16日). “Porterbrook plans Siemens Desiro battery-electric conversion”. International Railway Journal. 2018年10月17日閲覧。
  9. ^ "Siemens hands over first 'Desiro' EMU" Archived 2 October 2011 at the Wayback Machine.. Railway Herald. Issue 151. Page 4. 13 October 2008. Retrieved 19 July 2011.
  10. ^ “London Midland completes £190m investment with final Siemens Desiro” (プレスリリース), Siemens UK, (2009年7月30日), オリジナルの2011年8月6日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20110806024814/http://www.siemens.co.uk/en/news_press/index/news_archive/londonmidland.htm 2011年7月19日閲覧。 
  11. ^ a b New Rolling Stock for London Midland and for First TransPennine Express”. London Midland (2011年9月14日). 2013年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年9月17日閲覧。
  12. ^ Announcements - GOV.UK”. 2020年12月3日閲覧。
  13. ^ a b Rail Passengers in the North of England and Scotland to benefit from new trains”. First TransPennine Express. 2012年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年3月16日閲覧。
  14. ^ Gibbs, Nigel (November 2017). “Vivarail 230s for new West Mids franchise as 170s to go”. Today's Railways (191): 8. 
  15. ^ Electric trains boost”. Wigan Today (2014年1月3日). 2014年1月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月29日閲覧。
  16. ^ Class 350 & 319 Fleet | London Northwestern Railway” (英語). www.londonnorthwesternrailway.co.uk. 2021年7月18日閲覧。
  17. ^ Class 350 - London Midland Archived 31 July 2017 at the Wayback Machine. - Porterbrook. Retrieved 2017-07-31.
  18. ^ a b - EMU Pocket Book 2013 from Platform 5.

関連項目




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