龍と霊―DRAGON&APE―
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龍と霊―DRAGON&APE― | |
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ジャンル | アクション |
漫画 | |
作者 | 東直輝 |
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | モーニング |
レーベル | モーニングKC |
発表期間 | 2024年38号 - |
巻数 | 既刊3巻(2025年6月23日現在) |
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『龍と霊―DRAGON&APE―』(りゅうとれい ドラゴンアンドエイプ)は、原案:久正人、作画:東直輝による日本の漫画。『モーニング』(講談社)にて、2024年38号から連載中[1]。久正人の『ジャバウォッキー』シリーズの第三作。
本作の舞台は第二次世界大戦前夜の世界で、新たなる主人公ダンテと銃三の活躍を描いたスパイアクションで、過去作に引き続き、絶滅を乗り越えて直立二足歩行に進化した恐竜が生きる架空の世界で、歴史上の実在の人物や重大事件が作中に多く登場している[2]。
ストーリー
第一次世界大戦が終結して23年が経った1941年、世界は再び世界大戦へと突入しつつあり、その裏にはかつての大戦と同じく恐竜の秘密結社「殻の中の騎士団」が暗躍していた。
元陸軍中野学校の諜報員であった銃三は、オヴィラプトルのダンテに勧誘され、秘密結社「イフの城」のエージェントとして共に、「殻の中の騎士団」の野望を阻止するべく立ち向かう。
登場人物
※「(斜体文字)」は各シリーズ名、下記詳細を参照。
イフの城
シャトー・ディフに由来する、「明日を救う」ために活動する秘密結社。『1914』開始前に「有翼の蛇」教団との抗争に敗れ壊滅してたが、ミレディがトップとなり再結成された。
- 銃三
- 主人公の1人。
- 元は陸軍中野学校の諜報員として活動していたが、恋人の雪子を喪った悲しみから上海で阿片に溺れる日々を送っていた。だがダンテの勧誘を受け、直後にかつての盟友・真壁との死闘を通じて「前へ進む」道を選び、イフの城に加わる。
- 元日本軍の諜報員としての経験故に、爆破工作に精通しており、また海外の詩などにも詳しい。
- ダンテ・ガルシア・バラ
- もう一人の主人公で、オヴィラプトルの氏族。
- 前作の主人公・サモエドと同じく、南極にあるジャンゴの秘密基地で実験体となっていた卵の生き残りの一人で、劇中では最後のオヴィラプトルとされている。
- 武器の「シチホダ」はコルトSAAにコルト・パイソンのようなベンチレーテッドリブ・アンダーラグを追加したオリジナルのカスタム銃。
- ミレディ
- 現在のイフの城のトップを務める初老の白人女性。
- 作中での描写から、過去二作で活躍した第一作の主人公リリー・アプリコットと同一人物である可能性が示唆されている。
調達屋
自分たちをゴールドラッシュ時のツルハシ売りに例え、「マッチ一本から潜水艦まで何でも調達する」と掲げるイフの城の協力者。
- ココ・メイロン
- メイ・ロンの氏族の女性。
- 先祖返りで尾が生えた「タドポル」として恐竜世界では差別された過去を持ち、故に尾の有無で差別しない人間の世界に惹かれ現在の人生を選んだ。そうした過去からか、同じくタドポルとして差別されてきたプレスター・ジョンの民にも同情的。
- 人間世界で活動する際は、ヴァレリーの首に身体を丸めて襟巻を装って活動する。
- ヴァレリー
- ココのパートナーの白人女性。
- ココにとってコンプレックスだった尾を可愛いと認めた理解者で、一心同体のコンビとして活動する。
- 同じ種族である人間についてはいつ絶滅しても自業自得と考えてはいるものの、それまでは儲けさせて貰うと語りイフの城に協力する。
殻の中の騎士団(ナイツ・イン・ザ・シェル)
『1914』から引き続き登場する、「@」を旗印に人類絶滅を目論む恐竜の秘密結社。前作で用済みと見做したジャンゴにより最高幹部達が粛清されたものの、今なお20世紀を「戦争の世紀」とすることで人類の同士討ちによる絶滅を目論んでおり、今なお暗躍を続けている。
- 真壁
- 中野学校の諜報員の日本人で、銃三のかつての盟友。
- 表向きは汪兆銘政権の国家樹立の資金源として騎士団と協力関係にあるが、実際は永年の諜報員としての経験から「世界は絶え間ない更新され続けなければならない」という価値観を持つようになり、人類滅亡の行末を見届けようと目論んでいる。
- 銃三とダンテとの最初の戦いで右目を負傷してからは眼帯で右目を隠している。
- 銭龍
- 「龍の勝利」に登場する、カロノサウルスの氏族。
- 元々は青幇によって幼少期に両親を殺され、自身も頭を撃たれて脳を損傷するが、トサカの内部に脳細胞が再生するかたちで脳が肥大化するという突然変異を起こし、その頭脳で活かした株取引で組織内部で成り上がった。
- 「龍の勝利」の化石をはじめ、数多くの古代中国における恐竜の秘宝を真壁より購入すると、青幇の乗っ取りを開始し、これらの秘宝を旗頭に中国全土を恐竜のものにせんと目論んだ。
- ダッケル二世
- 「火をもたらすもの」に登場する、オリクトドロメウスの氏族。
- 『1914』に登場したダッケルの子孫で、初代と異なり頭頂部が尖った形状となっている。
- ヒューロン湖の湖底に秘密基地を作り、拉致してきたフックスを懐柔するかたちで核兵器の開発に乗り出す。
その他
- 雪子
- 銃三のかつての恋人。故人。銃三にとって彼女の死はトラウマとなっており、彼が一時阿片に溺れる要因になっていた。
- クラウス・フックス
- 「火をもたらすもの」に登場する、ドイツ人の物理理論学者。
- 本作ではケベック州の収容所に収容される直前、騎士団に拉致されており、ダッケルと真壁から「恐怖による均衡が齎す平和」と懐柔させられるかたちで水素爆弾の開発に手を貸してしまう。
- プレスター・ジョンの民
- 「翼なき女王」に登場する、伝説のキリスト教国の民として暮らす恐竜達。ネストリウス派の流れを汲み、かつては人と恐竜が共存して暮らす理想郷としてカッパドキアの地下洞窟に建国された。
- 民の全員が「タドポル」として同胞から迫害された末に此処へ逃れてきた過去を持ち、十字架から放たれる「光」を神の真の姿として崇めている。
用語
- オヴィラプトル
- 詳しくは「オヴィラプトル」を参照。
- 過去作同様、卵泥棒の子孫として他の恐竜たちから迫害の対象となっているが、本作では人体実験ならぬ「龍体実験」の格好の的にされていた事も判明しており、作中ではダンテが最後の生き残りとされている。
- カロノサウルス
- 詳しくは「カロノサウルス」を参照。
- 近縁種同様に頭部の鶏冠を利用して仲間とコミュニケーションを取っていたとされ、本作ではその空洞部に音階を調整するための粘液で満たされていたとされている。
- 銭龍はこの粘液が幼少期に脳を怪我した際に脳細胞の再生の足がかりとなり、鶏冠の内部に溢れんばかりに脳が肥大再生した。
- オリクトドロメウス
- 詳しくは「オリクトドロメウス」を参照。
- 『1914』での設定と同様、地中生活に特化して目を退化させた代わりに眼窩に発達させた触覚で地磁気を探知する恐竜として描かれている。
- ダッケル二世は自身が開発した増幅器で自身の発する電波を強化するとともに、配下の恐竜達を全盲にして自身の視界と共有させ、視力に頼らない戦闘スタイルを獲得している。
- 北京原人
- 詳しくは「北京原人」を参照。
- 史実では頭骨のみの発見で第二次世界大戦の混乱により行方不明とされているが、本作では全身骨格が揃っていた上に恐竜も一緒に寄り添うかたちで化石となっていた。
- 騎士団は恐竜が原人を捕食しようと襲いかかり化石化したと見做し「龍の勝利」と名づけ、人類殲滅の旗頭にしようと目論んでいたが、ダンテは火山の噴火による土石流などに偶然2種が呑み込まれて化石化しただけの「地球の気まぐれが生んだ犠牲者同士」に過ぎないと一蹴している。
- プロメテウス
- 詳しくはプロメテウスを参照。
- 本作では第一作で語られたヘレネと同じく、正体は恐竜だったとされている。
- タドポル
- 英語でオタマジャクシを意味する。
- ココやプレスター・ジョンの民のように、先祖返りで一般の恐竜では退化した尾を有している個体への罵称で、他個体より未熟と見做され差別の対象となってきた。
詳細
()は話数。
- 龍の勝利(11)
- 火をもたらすもの(10)
- 翼なき女王(9)
書誌情報
- 原案:久正人、作画:東直輝『龍と霊―DRAGON&APE―』 講談社〈モーニングKC〉、既刊3巻(2025年6月23日現在)
- 2025年1月22日発売、ISBN 978-4-06-538100-7
- 2025年4月23日発売、 ISBN 978-4-06-539289-8
- 2025年6月23日発売、 ISBN 978-4-06-539820-3
脚注
- ^ “恐竜×霊長類、種族を超えたバディが歴史の裏を駆け抜けるスパイアクション「龍と霊」”. コミックナタリー. ナターシャ (2024年8月22日). 2024年8月24日閲覧。
- ^ “バディは恐竜!?魔都・上海を舞台に繰り広げられるスパイ・アクション『龍と霊 ―DRAGON&APE―』【書評】”. ダ・ヴィンチWeb. KADOKAWA Group (2025年1月22日). 2025年9月23日閲覧。
関連項目
- 龍と霊―DRAGON&APE―のページへのリンク