電弱理論との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 04:29 UTC 版)
「フェルミ相互作用」の記事における「電弱理論との関係」の解説
フェルミの理論は、ワインバーグ=サラム理論を近似的に表した有効場の理論であり、弱い相互作用の性質を記述することによく成功している。この理論は、ベータ崩壊のような低エネルギー領域の物理現象を再現するには有効であるが、高エネルギー領域の現象に対しては破綻している。例えば、フェルミの理論によって計算される散乱断面積は散乱粒子のエネルギーの2乗に比例する。しかし、実際の散乱断面積には上限があるため、ある程度高いエネルギーを超えると理論値が上限を突破してしまう。これは、高エネルギー領域(粒子が高い運動量を運ぶ現象)においては、本来は媒介粒子として存在しているはずのWボソンが理論に組み込まれていないことによる齟齬が顕わに見えてくるためである。つまり、フェルミの導入した点状相互作用は、Wボソンの質量より十分に小さいエネルギー領域における現象を記述するには妥当な近似となっているが、Wボソンの質量程度(~100GeV)の高エネルギー領域では不適切な結果を与えてしまう。
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