隔地的不法行為
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/09 04:01 UTC 版)
不法行為地法を準拠法とした場合に生じる困難な問題は、不法行為の要件の成立が複数の法域にまたがっている場合に、いずれの地の法を準拠法にするかという点にある。 例えば、加害者がA国内で被害者に毒入りの食品を食べさせ、その後被害者がB国内で中毒症状を起こし、C国で死亡した場合(直列型)、A国内で名誉毀損行為が行われたが、その情報が国外の複数の国(B国、C国)にも拡散した場合(並列型)などについて、どの地が不法行為地となるかという問題が生じる。 この点については、加害者の行動地の法を準拠法にすべきとする考え方(行動地説)、現実に損害が発生した地の法を準拠法にすべきとする考え方(結果発生地説)、過失責任の場合は行動地の法が準拠法になるが無過失責任の場合は損害が発生した地の法が準拠法になるとする考え方(二分論)などが存在する。立法例としても、隔地的不法行為の場合を考慮した規定を置いている場合があり(イギリス、ドイツ、イタリア、スイスなど)、行動地法か結果発生地法かを被害者が選択することを可能とする例も存在する(ドイツ、イタリア)。
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