除菌療法の変遷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 04:22 UTC 版)
「ヘリコバクター・ピロリ」の記事における「除菌療法の変遷」の解説
ヘリコバクター・ピロリの除菌は、発見と同時に始まっており、分離培養に初めて成功したマーシャルは、ただちに除菌治療に有効な薬剤の検討を開始している。初期にはビスマス製剤による除菌が試みられたが、単剤では効果が低かったため、アモキシシリンやチニダゾールといった抗生物質を組み合わせた2剤併用、さらにはメトロニダゾールを加えた抗生物質3剤による方法が開発された。この方法は古典的3剤併用療法と呼ばれ、改良を加えながら高い除菌率を得ることに成功したが、一方で副作用の問題が残された。 初期のビスマス製剤を軸にした除菌療法は、抗菌薬の種類を増やし、効果の上昇を狙ったものだった。抗生物質の活性は一般的にpH中性環境で最も高いため、プロトンポンプ阻害薬 (PPI) などの酸分泌抑制薬を併用し、胃内環境を中性に近づける試みが行われた。この方法は一過性の胃酸過多による副作用を抑えられるという利点もあり、その後クラリスロマイシンの併用を加え、90%超という除菌率を達成した。これが新3剤併用療法であり、1週間という短期間の服用で高い効果を得られることから、除菌療法の標準になっている。
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