開けっぱなしのエスカレーター開口部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:45 UTC 版)
「千日デパート火災」の記事における「開けっぱなしのエスカレーター開口部」の解説
1階から3階までのエスカレーター周りに設置されていた防火区画シャッターは、閉店後に1枚も閉鎖されておらず、4階から6階までの各エスカレーター開口部に設置されている防火カバーシャッターのうち4階部分だけが閉鎖されていなかった。さらには3階E階段出入口の防火シャッターも閉店後に閉鎖されていなかった。3階で発生した火災は、それらの開放されていた部分から最初に上下階へ火災が延焼した。特に3階のエスカレーター開口部4か所のうち、上階(4階)に繋がる2か所からは、直接的な炎と熱気によって、また下階(2階)に繋がる2か所からは、燃焼した物品や建材の落下によって延焼が拡大した。4階から5階および5階から6階に通じているエスカレーター開口部の防火カバーシャッターは、火災発生時に閉鎖されており、4階からの火炎を食い止めて5階から上階への延焼を完全に防いでいる。その効果によって5階から7階までは延焼による被害はほとんどなく、煙によって煤を被った程度であった。つまり、もしも3階から4階までのエスカレーター開口部、同階エスカレーター周辺の防火区画シャッター、3階E階段出入口シャッターが火災発生時に閉鎖されていたならば、3階から上下階へ火災が延焼した可能性は低くなったと考えられた。また3階で行われていた電気工事現場周辺の防火区画シャッターは作業中に閉鎖しておらず、火災を限られた区画内に閉じ込めることができなかった。工事を行ううえで開放を要する防火区画シャッター2枚を除いて、その他の防火区画シャッターをあらかじめ全て閉鎖しておけば、火災を3階のごく狭い範囲に閉じ込めることができたと考えられており、防火区画シャッター閉鎖の必要性と義務は、のちの刑事および民事裁判において重要な争点となった。
※この「開けっぱなしのエスカレーター開口部」の解説は、「千日デパート火災」の解説の一部です。
「開けっぱなしのエスカレーター開口部」を含む「千日デパート火災」の記事については、「千日デパート火災」の概要を参照ください。
- 開けっぱなしのエスカレーター開口部のページへのリンク