鍵推理による解読法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 06:06 UTC 版)
「ヴィジュネル暗号」の記事における「鍵推理による解読法」の解説
たとえば、暗号文「talsyvbaeifvmssmms」が与えられたとしよう。最初に種明かしをしてしまえば、この暗号文に使われた鍵は平文と同じ長さ、つまり18文字で、鍵にある規則があり、平文は英語である。前述のカシスキー・テストが使えない。(以下、*は未知の文字) 平文 :******************鍵 :******************暗号文:talsyvbaeifvmssmms まず、英語にありふれた「The」などの単語を仮に平文として考えてみる。たとえば、最初の3文字が「THE」ならば、 平文 :THE***************鍵 :ath***************暗号文:talsyvbaeifvmssmms 鍵は「ath***************」である。鍵は意味のある文だから、得られた仮の鍵は文章の一部として成り立つ。しかし、たとえば、4文字目から平文「THE」があるならば、 平文 :***THE************鍵 :***lrr************暗号文:talsyvbaeifvmssmms 鍵は「***lrr************」と不可思議な文字列となり、ここに「The」は入らないと仮定できる。 次に、鍵が「ath***************」の場合、「ath」に続くものを探す。「athabaskan」(アサバスカ諸語)「athanasius」(アタナシオス)などがあるが、実際に鍵として用いたとき、平文が意味のある文字を探す必要がある。そうして見ていくと、「athens************」で平文「THEOLD」が得られる。同様に、また、先に得られた鍵が都市名であることも踏まえて考えていくと、 平文 :THEOLDMANANDTHESEA鍵 :athensparisstlouis暗号文:talsyvbaeifvmssmms 鍵「Athens Paris St. Louis(アテネ、パリ、セントルイス)」が考えられ、平文「THEOLDMANANDTHESEA(『老人と海』)」が得られるのだ。なお、アテネ、パリ、セントルイスは、夏季オリンピックの第1回、2回、3回大会の都市であるので、もし鍵が長くなった場合は「london」(ロンドン)が追加された可能性を考えるのもいいだろう。
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