ヴィジュネル暗号とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 情報 > コンピュータ > 暗号 > ヴィジュネル暗号の意味・解説 

ヴィジュネル暗号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/19 13:20 UTC 版)

ブレーズ・ド・ヴィジュネル

ヴィジュネル暗号(ヴィジュネルあんごう、Vigenère cipher)とは、フランスの外交官ブレーズ・ド・ヴィジュネルによる多表式の換字式暗号のことである。多表式の暗号は、単一換字式暗号が安全でなくなってきた15世紀後半から16世紀後半にかけて考え出された暗号で、ヴィジュネル暗号はその中で恐らく最も有名なものである。 ビジュネル暗号とも書く。

発明

1460年代レオン・バッティスタ・アルベルティが、多表式の暗号の原型を思いついた。それは、今までの換字式暗号は一つの暗号アルファベットを使ってきた。そうではなく、2つ以上の暗号アルファベットを使ってはどうかと考えたのだ。これを引継いだのが、ドイツ修道院長、ヨハンネス・トリテミウス、次は、イタリア科学者、ジョヴァンニ・ポルタ。そして、フランス外交官、ブレーズ・ド・ヴィジュネルにバトンされていった。各々がこの暗号に重要な発展をもたらしたが、最終的な形に仕上げたヴィジュネルの名前が付いている。ヴィジュネルは1586年、『秘密の書記法について』を出版した。ここまでくるのに100年以上費やした「難産」の暗号だったが、しばらくの間、無視された。その理由として、いまだ単一換字式が虫の息ながら残っていたこと、単一換字式に対して暗号化・復号が難しいこと、が挙げられる。

暗号化と復号

ヴィジュネル方陣:最上段の行が平文、左段が鍵。平文がc、鍵がaの場合、最上段がCの列、左端がAの行の交わったCが暗号文になる。

右図(ヴィジュネル方陣)を使って暗号化を行う。以下、平文を小文字、暗号文を大文字で表す。例として鍵を arm、平文を code とすると、ヴィジュネル方陣で、aとcの交わりはCであり、rとoはF、mとdはPというように暗号文 C, F, P が得られる。平文が鍵よりも長い場合、鍵を繰り返して用い、最後の平文eはaとの交わりでEとなる。すると、平文「code」は暗号文「CFPE」となる。ここで平文が暗号文と同一の文字になる箇所があるが、解読者にそれは分からない。大事なのは(例では3である)鍵の周期を解読者は知らないということだ。また、この鍵は文字数の制約がないので、鍵の個数は無数である。実際に利用するという観点からみれば、覚えやすいほうがよい(紙に書くとそれが漏れる場合があるので)が、逆に敵に推測されやすいという危険もある。ここでの鍵は、単に例として arm つまり「」または「武器」という覚えやすい単語にした。

復号はこの逆をすればよい。つまり、鍵がaで暗号文がCならば、左端のaの行でCの場所を探し、そこから上に辿った最上段の文字が平文cである。鍵が同一であることは当たり前のように感じられるかもしれないが、現代の暗号には、公開鍵暗号のように暗号化と復号の鍵が異なるものもある。

数式でみる暗号化と復号

文字を数値としてみれば (a = 0, b = 1, ..., z = 25)、次の式が成り立つ。ただし、 カテゴリ





ヴィジュネル暗号と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ヴィジュネル暗号」の関連用語











ヴィジュネル暗号のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ヴィジュネル暗号のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのヴィジュネル暗号 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS