鉄穴流しによる影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/26 16:50 UTC 版)
鉄穴流しによる砂鉄採集方法は悪影響と良い影響との二つをもたらす。まず、悪影響は鉄穴流しによって河川下流域に大量の土砂が流出してしまうことである。これによって、下流域の農業灌漑用水に悪影響を与えてしまう。そのため、一時期は禁止になっていたものの、鉄山で働く労働者の強い要請や藩財政を安定させるためにも復活される。その悪影響の解決方法は、鉄穴流しをおこなう期間は農閑期である秋から春までと定めることであった。この解決策は農閑期における農民の臨時的な仕事となり、良い収入源となった。良き影響は、鉄穴流しの水路、池跡地や、河川下流域は流出する大量の土砂によって堆積し平地となることである。その平地は田畑として耕地され、たたら集団の食糧を補った。現在、中国山地で棚田として残っている多くのものは、この影響によって耕地されたものである。 砂鉄が埋蔵されていそうな場所や鉄穴流しの経路を掘り崩す時、墓地や祠、神木などがある土地は避けられた。こうして残った丘は地元では「鉄穴残丘(ざんきゅう)」と呼ばれ、上記の棚田や段々畑とともに独特の景観を成している。
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