量子力学の対称性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/03 20:28 UTC 版)
「ウィグナーの定理」の記事における「量子力学の対称性」の解説
量子力学と量子場理論では、一つの粒子、複数の粒子、場の量子状態は、複素ヒルベルト空間の中のベクトル(ケット)で表される。任意の対称演算子(英語版)、例えば、「すべての粒子や場を5秒間時間を前へ進める」とか「ローレンツ変換すべての粒子と場を x 方向へ 5 m/sで移動する」とかは、ヒルベルト空間の上の演算子 T に対応する。この演算子 T は全単射である必要がある。何故ならば、すべての量子状態は互いに変換された対応する状態がユニークである必要があるからである。また、初期状態が y {\displaystyle y} 系が状態 x {\displaystyle x} である確率は、 | ⟨ x , y ⟩ | 2 {\displaystyle |\langle x,y\rangle |^{2}} で与えられる.T は対称演算子なので、初期状態が T y {\displaystyle Ty} の系が状態 T x {\displaystyle Tx} である確率は等しいはずである。従って、 | ⟨ T x , T y ⟩ | 2 = | ⟨ x , y ⟩ | 2 {\displaystyle |\langle Tx,Ty\rangle |^{2}=|\langle x,y\rangle |^{2}} である。このことから T はウィグナーの定理の仮定に従う。 このようにして、ウィグナーの定理に従い、T はユニタリかもしくは反ユニタリである。上の2つの例(時間の移動とローレンツ変換)では、T はユニタリ演算子に対応する。時間反転対称性 (time-reversal symmetry) 演算子は、反ユニタリ対称演算子の有名な例である。
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