重合速度の理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 06:25 UTC 版)
1945年、Harkinsが乳化重合の際の重合の場がポリマー粒子中であることを発表した。それを受け、1948年SmithとEwartは乳化重合の動力学を発表した(Smith-Ewartの理論)。 Smith-Ewartの理論 乳化重合の重合速度に関して、一粒子あたりの平均ラジカル数(以下、"粒子内平均ラジカル数"または"n"と記す)に関して、以下の3つのCaseがある。Case 1:n<<1。Case 2:n≒0.5。Case 3: n>>1。 Case 1とCase 3では、乳化重合の速度は、開始剤濃度の1/2乗に比例する。 Case 2では、乳化重合の速度は、開始剤濃度によらず、粒子数に比例する。 nが重合中にほぼ一定に保たれる場合に、最終的に生成する粒子数は、開始剤濃度の2/5乗、乳化剤濃度の3/5乗に比例する。 このようなSmith-Ewartの理論は、理想的な乳化重合の理論であり、以降多くの研究者によってSmith-Ewartの理論のズレに関する発表がなされている。 二分子停止が停止反応の主体であり、粒子外での二分子停止反応が粒子内でのそれに比べて無視できる場合で、しかもラジカルの粒子外への脱出が無視できる場合には、ある開始剤濃度以下では、n≒0.5となり、その開始剤濃度以上ではnは開始剤濃度の1/2乗に比例して増加する。ラジカルの粒子外への脱出が激しい場合には、粒子内の平均ラジカル数(n)は開始剤濃度の1/2乗に比例し、n≒0.5である開始剤濃度範囲は狭くなると予測されており、様々な系でこの予測と実験結果との一致が報告されている。
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